2009年 06月 08日

糖尿病の診断基準/ヘモグロビンA1c

隣家の屋根を見ると、今朝も濡れている。微かに霧雨が舞っている。
アメダスでは深夜1時過ぎには雨は止んだけれど、その後も雨勝ち、4日からの累積雨量は180ミリ。

現在、第69回米国糖尿病学会のシンポジュウムが開かれているが、6/5、
米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)の3団体は、合同で新たな
糖尿病診断基準として、指標にHbA1cを採用し、「HbA1c6.5%以上を糖尿病とする」と定めた。
と公表した。
日経メディカルonline(参照)によると、その根拠は、以下の通り。
特に、(1)糖尿病の基本的概念である持続性高血糖は、空腹時血糖値や食後2時間血糖値などでは代表
できず、現行の指標の中ではHbA1cが最も適切である、(2)HbA1cの測定は、空腹時採血や負荷試験を
必要としない、(3)現行の治療目標はHbA1cに基づいており、診断でもHbA1cを使った方が診断と治療の
間に連続性が認められる--などを指摘、HbA1cによる新診断基準への理解を求めた


食事を摂ると炭水化物は、胃と腸で分解され、最終的には腸でブドウ糖にまで分解されて、肝臓を経由して
心臓に送られ、血液によって全身に供給される。血液中のブドウ糖濃度が高くなると、すい臓からインスリン
が分泌され、インスリンを介して、ブドウ糖は細胞内に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵されたり(エネル
ギーの貯蔵庫=身体のバッテリーと考えればよい。グリコーゲンが余剰になると、更に脂肪に変わる)、エネ
ルギーとして利用される。ブドウ糖はエネルギーのフロー状態、グリコーゲンと脂肪はエネルギーのストック
状態と考えればよい。
フローとストックは、一定のバランスを保つ必要がある。フローだけでは、食事を摂れなければエネルギー
が尽きてしまうし、ストックが多すぎれば肥満になる。
ブドウ糖を細胞に取り込み、血液中のブドウ糖濃度を下げるにはインスリンが不可欠で、インスリンに代わる
代替作用をできるものはない。何らかの理由でインスリンが分泌されなかったり、分泌状態が悪かったり、
分泌されているがインスリンの働きが悪かったり(この状態をインスリン抵抗性という)すると、血液中のブドウ
糖濃度が高いままになる。ブドウ糖濃度が高い状態=持続的高血糖が、数年から十数年続くと(最初は何の
症状もない)、必ず血管の損傷に伴う合併症を引き起こす。損傷を受ける血管の場所によって目、腎臓、心臓
神経、歯に障害が現れる。血管は全身を巡っているから全身に障害は及ぶ可能性があるが、特に微細血管
が詰まりやすいので目、腎臓、神経に最初に障害が現れやすい。この過程は、放置すれば不可逆的に進行
する。
インスリンはすい臓から分泌されるが、すい臓の使いすぎ(食べすぎ)・病気・遺伝的原因などで、いったん、
すい臓の働きが悪くなると決して回復しないとされている。すなわち、糖尿病は、いったん罹ると(血糖値を)
管理はできるし、合併症の発症を防ぐことはできるけれど、「決して直らない」とされる所以である。

血糖値は、常に変動する。食事を摂れば上がるし、食事内容によっても上がりかたは違う。運動をすれば
下がるし(インスリンを介する経路とは別の経路で細胞内に取り込まれる)、また心的状態やストレスによって
も変化する。そこでいつ、どういう状態で血糖値を測るか
・糖尿病かどうか
・糖尿病を管理できているかどうか
を判定する基準として、重要なポイントになる。

一般的に、尿糖検査(血糖値がある限界を超えると尿中にブドウ糖が溢れ出るので、それで間接的に血糖値
の状態を測る)、空腹時血糖値、食後二時間血糖値、ヘモグロビンA1c、ブドウ糖負荷検査などが行われる。
最初の三つは定点検査、後の二つは経時的検査、ブドウ糖負荷検査(ブドウ糖を飲んで、一定の時間間隔で
血糖値の下がり方を検査する)は糖尿病の可能性が疑われる場合の精密検査に使われている。いろいろな
検査法があるのは、大量に検査する場合の時間とコストの関係である。尿糖検査と血糖値は、検査用紙や
器具を買えば、自分で検査できるが、尿糖検査は一回数十円、血糖値検査は器具が1-2万円、検査用紙が
一回150円前後、最近はヘモグロビンA1cも検査機関に血液を送って検査してもらえるが2-3千円等。

ヘモグロビンA1cの説明は、とりあえず「糖尿病教室」の解説(参照)を読むと良い。
但し、「外来で血液検査をすると、その日から1~2ヶ月前の血糖の状態を推定できることになります」とあるが
正しくは「1~2ヶ月間の平均的な血糖状態」と書くべき。
一般的に赤血球の寿命は四ヶ月だから、ヘモグロビンとブドウ糖の結合したヘモグロビンA1cの割合は四ヶ月
前のものが最も高く、最近のものは低い。一方、四ヶ月前のものから赤血球自体は徐々に入れ替わっていく
から古い赤血球ほど血液全体の中での割合は下がっていく。というわけで「具体的にはヘモグロビンA1c値の
50%は過去一ヶ月間の血糖値に、残り50%がそれ以前の血糖値によって影響され、正しくは赤血球寿命の
四ヶ月間の影響を受けることになる」(「糖尿病学」873.p、参照)。
というわけで、日々の変動の影響を消去して、ある程度の期間にわたる安定的な血糖値の推移を推測できる
ので、糖尿病かどうかの判定及び安定した血糖値管理ができているかどうかの判定の指標として最適だと
いうわけだ。
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by agsanissi | 2009-06-08 11:06 | 糖尿病


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