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2009年 06月 20日

糖尿病と心血管障害

日経メディカルonline(09/06/02号)に「心血管イベント防止のための糖尿病治療は?」と題する
第73回日本循環器学会総会・学術集会での順天堂大学の河盛隆造氏の講演の紹介ニュースが
載っている(参照)。
講演の重要ポイントを、僕なりに簡単に要約すると、
糖尿病の場合(またはその可能性のある場合)、非常に早期の段階で、動脈硬化が進行している可能性が
あり、高血糖に「軽度の肥満、脂質代謝異常、高血圧が合併する」と動脈硬化は加速度的に進行する。
従って、心筋梗塞・脳卒中の発症を防止するには、糖尿病の「診断直後から体重、血糖、血圧、脂質のコン
トロールに力を注ぎ」、早い段階から「真に厳格な」血糖コントロールを目指すことが不可欠だ(論文参照)。
ということになる。

この講演の重要性を理解するには、幾らか予備知識が必要だ。
1.糖尿病合併症
従来は、「糖尿病合併症」というと網膜症、神経症、腎症が三大合併症とされた。最近はこれに歯周病と
心血管イベント(心筋梗塞、脳梗塞など)を加えて五大合併症という場合が多い。
三大合併症の特徴は、「糖尿病は専門医にまかせなさい」(牧田善二、参照)によると
・どんなに血糖値が高くても1~2年では合併症は起こらず、長期間高血糖が続かなければ(最低3~5年)
決して発症しない。
・合併症が起きるのは、非常に細かい血管が密集している神経、目、腎臓の三つの臓器に限られる。


ところが、心血管イベントの場合、非常に早期の段階、実際に糖尿病と診断される前から動脈硬化が進行
している可能性があり、しかも細かい血管にではなく大血管に障害が発生する点に特徴がある。
河盛氏によると、具体的には
日本では、はっきり糖尿病ではないが、正常とも云えない、「境界型」に分類されている(ブドウ糖を飲んで
二時間後の血糖値が140~200(単位は省略する)レベルの)耐糖能異常(IGT)のレベルで、すでに動脈
硬化の兆候が見られる。
動脈硬化の進行具合を、頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)(参考サイト)によって判定すると
健常人でも加齢とともにIMT値が高くなること、一方、IGTの平均IMT値は健常人に比べ大であり、糖尿病
患者と同様であることが示されている。つまり、これはIGTの段階から動脈硬化が進行している可能性がある
という見解を裏付けている。
注目すべきは、20~40歳代の2型糖尿病病患者のIMT値は50~70歳代の健常人のレベルに匹敵して
いる点である。このデータから河盛氏は、糖尿病患者においては約20年早く動脈硬化が進行している可能性
が大としている
。(参照

2.「真に厳格な」の意味
従来、米国での様々な実証試験の結果、
・“厳格な”血糖コントロールを行っても大血管障害の発症低下につながらなかったこと
・厳格な血糖コントロールが大血管障害の発症低下につながらなかったばかりか、むしろ死亡率を増加させ
たという衝撃的な成績も示された
参照
という事実を受けて、血糖値の「厳格な」コントロールを疑問視する意見があり、これについて
河盛氏は
2型糖尿病患者のnatural historyとして動脈硬化が進行し続けることを考慮すべきであり、それを阻止
するためには“真に厳格な”血糖コントロールが必須であり、早期からの積極的な治療介入がきわめて重要

との見解を示した。(日本人の糖尿病の95%は2型で、インスリンの不足または機能不全に対して、1型では
インスリンが全くでないタイプで小児に多い)
その根拠として
HbA1cが6%前後であるが、既にIMTが高値である、罹病期間が2年以上の2型糖尿病患者多数を3年間
前向き観察した研究において、HbA1cが6.0%か6.5%へとやや悪化した群ではIMT値が健常人の3倍の
速度で増加し、一方、6.0%から5.6%へと改善した群ではIMT値が低下したという成績を示した。

という事実を挙げている。
講演の紹介レポートでは、「真に厳格な」の「真に」の意味については指摘していないが、
2型糖尿病の膵β細胞では経年的に自然に、あるいはSU薬刺激によりインスリン分泌が徐々に低下するので
は決してない。高血糖こそが膵β細胞を障害するのだ

という河盛氏の指摘、すなわち
高血糖状態そのものが、細胞内の酸化ストレス(酸化ストレスについては、とりあえずここを参照)を引き起
こし膵β細胞の働きを抑制するという悪循環に陥るのだという指摘を踏まえると、
境界型の血糖値レベルでも、早期に血糖値を厳格にコントロールするとともに、
診断直後から体重、血糖、血圧、脂質のコントロールに力を注ぎ、より早期から、より完璧なコントロールを
目指したい

という内容に尽きるか。

自身の経験について触れておくと、
唯一の懸念材料は、丁度一年前、多少、息せき切ってカボチャを拾い集めているときに、突然、
胸痛に襲われたこと。左胸から左肩にかけて締め付けられるような圧迫感を覚えて、そのまま
仕事を止めて寝ていた。胸の痛みは10分程度で収まったが、左肩の腕の付け根に投げ出して
しまいたいようなダルサが残った。
参照
と書いたことがあるが(08/12/04)、
この時期にすでに軽い心筋梗塞(狭心症と心筋梗塞の境目くらいか?)を引き起こしており、その1~2年前
から食後高血糖状態が続いていたのではないか、と判断している。
高血糖状態には、様々なタイプがあり、空腹時血糖値は低いのに食後血糖値がグンと騰がるタイプがあり、
心血管障害との関係では食後二時間値の高血糖状態が特に問題となる。
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by agsanissi | 2009-06-20 23:35 | 糖尿病


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