2009年 09月 05日

国を食潰すシロアリ集団

「脱官僚」が民主党の改革の主軸になるスローガンだ。
しかし「官僚」集団は、国家経営にとって不可欠の集団だ。国の動脈であり、神経であり、ある意味では
骨格でもある。

政治家(=議員集団)は、選挙によって就職も出来れば、失職もする。政権与党の「長老」ともなれば、
議員職は世襲化された「家職」ともなり、この家職に群がる膨大な利権集団は、あたかも国の中の国、
幕藩体制時代の分権化された「藩」のごとく、ある種の独立国を形成する。だが、そこに至る前の陣笠
集団は、一回限りの使い走りの足軽集団に過ぎぬ。生き残るか、討ち死にするか、小泉旋風の教訓は
民主党にとっても同じこと。
幕藩体制は、明白な法制化された分権国家体制だが、現在の政財官の癒着構造を基軸にする利権
集団は、許認可権限を梃子に異常に中央集権化された国家体制の中に巣食う目に見えぬ「分権」国家
だ。

創生時代の自民党は、鳩山一郎の流れを汲む党人派と吉田茂の流れを汲む官僚派に分かれ、党の
実権は、次第に「吉田学校」の出身者=高級官僚から政治家に転職したプロ集団に独占され、彼らは
また党内派閥の長ともなり、政権与党の「長老」ともなった。議員職を重ね、党内階梯を一歩一歩登り
様々な職域の議員職集団を抱えた派閥の幹部に成り上がると共に、出身領域の官僚職を超えた広域
の利権集団が形成された。
流れとしては「党人派」に属する田中角栄は、このような利権集団の形成論理を、徹底的に単純化し・
純化させて、「金」の力によって、かつての党人派と官僚派の「対立」を止揚し、族議員に分権化された
党内派閥を事実上「解消」してしまった。
以来、「長老」も「派閥」も空洞化し、政財官の癒着構造を基軸にする支配の論理そのものは変わらぬ
まま、これを動かす中枢神経は変質し、動脈硬化を惹起し、やがて小泉「改革」によって、自滅への道
を準備した。

政財官の癒着構造の一角、「政」権与党が交代した。民主党は「脱」官僚を謳っている。しかし官僚抜き
には、政治家は中枢神経を失い、動脈を失い、手足を失ったも同然だ。官僚の協力なしには、一日でも
国家経営は出来ない。では官僚の何を「脱する」のか?

「政」を握った民主党に出来ることは、財と官との癒着構造にメスを入れることだが、その癒着の実態は
どんなものか?
その実相の一部は、一昨日の「参考記事」にあげた財部誠一氏の「財務省は民主党政権誕生を利用しろ」
に描かれている。
「予算の全面見直し」を迫る民主党に霞が関が戦々恐々としている。
 なぜか。
 ある財務官僚の見立てはストレートだ。
 「霞が関が浮き足立っている理由は、業界団体とグルになった予算にメスを入れられたら厄介だからです。
そんなことになれば、再就職の機会が激減してしまう」
 お粗末な話だが、それが霞が関の現実だ。個人レベルでは人品骨柄、能力ともに優れた官僚が少なから
ず存在する。滅私奉公の四文字を体現したような見事な役人ぶりを発揮する人たちも現にいる。だが役所と
いう組織の論理は腐りきっている。
 彼らの「省益」とは「天下り先をどれだけ確保するか」だけだと断じていい。ことに役所の実効支配を受けて
いる特殊法人や公益法人への天下りが悪辣なのは、役人OBが働かずに高額の報酬や退職金を掠め取っ
ていることに尽きる。
 人口が減り、経済成長もままならず、地方経済が崩壊しているのに、役人は天下り先の確保、拡大に最大
の価値を置いている。役所の権限拡大とは予算を大量に獲得して、それを関係諸団体に流し込み、そのおこ
ぼれをOBに横流しする
。これが役所の実態だ。


自民党は、高度経済成長路線を主導する一方では、このような癒着構造の生み出す利権の中に絡め取ら
れ、政権与党の地位を恒久化し、半ば世襲化してきた。財部氏の描く癒着構造は、中央から地方に広がる
無数に絡み合った複雑な網の目のほんの一角を示すに過ぎないだろう。
民主党が、ここにメスを入れていけば、その複雑な実相が次々と浮かび上がって来るだろう。
この実相が生み出す利権構造に絡め取られず、独立性を保ち、その構造をどこまで公開し、解体できるか?
それが問題だ。
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by agsanissi | 2009-09-05 06:43 | ミミズの寝言


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