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2009年 09月 15日

自民党政治の敗北の社会的背景

日本政治の研究が専門の政治学者ジェラルド・カーティス氏が
日経ビジネスonlineに「日本に二大政党制は合わない?」と題するコラムを載せている(参照)。
自民党政治の敗北(単なる「自民党の敗北」ではなく、自民党政治を支えてきた戦後社会のあり方、我々自身
の生活様式の変貌に伴う敗北なんだという意味で使っている)の社会的要因の分析とみなしてよい。
日本政治を永年にわたって研究してきただけに、さすがに慧眼と思う。
全く同意見の点も多いし、それどころか「外から」見た視点、外国人でなければ見逃すような視点もある。
部分的には、昨日「都市近郊農業の試み」の中で書いた「時代の風潮」の変化、または「自民党政権が掲げ、
我々自身が支持してきたいき方を変えなければならないという、かなり深刻な転換」の背景とも重なり合う
面もあるだろうか。
以下、簡単な摘記を載せておく。
・私が子供の頃、アメリカの大都市では、たいてい同じ民族がまとまって暮らしていた。イタリア系、アイル
ランド系、アフリカ系のアメリカ人が独自のコミュニティーと教会をつくる。東欧系のユダヤ人も、同質的な
社会に住み、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で祈りを捧げていた。移民一世を中心に形成された都市部の
コミュニティーは、日本の農村と同じような共同体意識の強い社会だったのである。
・アメリカ経済が発展し、価値観が変わるにつれ、地元を離れる人や、外部からの人口流入が増え、共同体
としてのコミュニティーのまとまりは薄れていった。有権者は民主党のマシーン政治に恩義を感じなくなり、
地元の政治ボスは次第に票を集められなくなった。ボス政治への批判も高まり、民主党内部の改革が進ん
だ結果、1960年代半ばにはマシーン政治は事実上崩壊した。
半世紀後の日本でも似たようなことが起きている。村落の共同体は、急速に弱くなった。子供は大きくなと、
村を出て行く。テレビの地震報道を見ていつも衝撃を受けるのは、農村部で倒壊した家屋に住んでいるのが、
ほとんどが高齢者だという現実だ。
・都市部ではかなり前から民主党の支持が高まっていたが、自民党が見逃したのは、もしくは対応を怠った
のは、地方が自民党のアキレス腱になったという現実だ。2007年の参院選と2009年の衆院選では、長年
自民党を支持してきた地方の有権者が反乱を起こし、自民党敗北の大きな原因となった。
・麻生総理が衆院解散後にまずしたことは、一般有権者への演説ではなく、支持団体幹部への挨拶回り
だった。自民党がいかに社会から離れてしまったかを象徴する行動だと思った。自民党の黄金期には、
日本医師会をはじめ、全国規模で影響力を持つ強大な支持団体が、地方支部を通じて自民党の公認候補を
応援し、票をまとめてくれた。それが各候補の勝敗を左右したのである。今、組織票の力は確実に衰えて
いる。政治家は以前よりも格段に露出を高め、有権者に直接支持を訴えなければならない状況にある。
・公職選挙法は、海外では考えられない非民主的な選挙運動規制を定めている。文書図画の頒布制限、
候補者による有料広告の全面禁止、事前運動の禁止、戸別訪問の禁止に加え、さらに公示の日からインター
ネットを使った選挙運動まで禁じている。現代民主主義で許されるはずの有権者と候補者の交流、候補者に
関する情報の入手が制限されているのである。
・選挙規制の多くは、旧自治省(現総務省)が、日本人は政治的に未熟で封建的な風習が残っているという
理由で導入したものだ。戸別訪問など、非民主主義的な価値観に訴える選挙運動を規制しようとしたので
ある。
・小選挙区制の導入で党内競争がなくなると、実力だけでなく、政治家としての志さえないことも多い二世議員
が議席を守るようになった。アメリカをはじめ、ほかの国にも世襲議員はいるが、日本が特殊なのは、自分の
意思ではなく、親の意思で政界に入った二世があまりにも多いことだ。日本は政治に情熱のない政治家
多すぎる。
・他の多くの民主主義国と違い、今の日本には社会の分断や、人種・民族・宗教・地域・言語の対立が事実上
存在しない
。自民党候補と民主党候補が、基本的に同じ多数派層に支持を訴える選挙区では、かなり似通っ
た政策を掲げることになる。政策をめぐって世論が二分されない限り、政策の対立もない。政策や基本理念に
これといった違いがないため、選挙を党首の人気投票に変えようとする圧力が働く。

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by agsanissi | 2009-09-15 07:57 | ミミズの寝言


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