2010年 12月 31日

米飯摂取&運動量と糖尿病発症との関連

先月、国立がん研究センターは多目的コホート研究から「米飯摂取と糖尿病との関連について」の研究結果を公表した(参照)。
研究対象は、具体的には「。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、
茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった
方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、
5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた
」というもの。
その結果、
・女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ
1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していた。さらに、米飯にあわ・ひえ・
麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられた。
・男性の場合は、統計的に有意のリスク上昇は見られなかった。
・パンやめん類では、糖尿病リスクの上昇は認められなかった。
・筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する
傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められたが、1日1時間以上する人ではみられない。
このような調査結果について、研究班は
その理由を、次のように解析している。
「白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミック
インデックスが高いこと
が挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスク
が上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランス(*)が保たれていること
考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、
日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。」

⇒「コメを主食とする日本人」という言い方が慣用句になっているけれど、実際には「コメを主食」としなくなってからの糖尿病発症率が
激増している。コメと糖尿病との関連については「米と糖尿病」(参照)の「お米(穀物)をたくさん食べるひとに糖尿病は少ない。みずからの
糖尿病を克服するため、文献を読みあさり、実験を重ねた予防医学の研究者がたどり着いた真実。炭水化物の不足こそが糖尿病の
原因だった。」という意見から、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(参照)の「肉類もアルコールもOKの豪華な食事なのに、血糖値が
安定し、画期的な治療効果。医学会の常識を覆す「新しい糖尿病治療食」を初公開した待望の書」まで両極端の意見があるけれど、
今回の研究調査のような多人数を対象とした実証的研究は数少ない。僕自身は、米の摂取量が減っているにもかかわらず、糖尿病
が激増しているのは、「急激に変化してしまって人間の生理的機能とのバランスを欠いてしまった先進諸国の生活様式と食習慣」(参照
そのものが糖尿病を含む様々な生活習慣病の真因と考えているから、あれこれに原因や治療法を矮小化するのではなく、食生活・
生活様式全体を見直す必要があると考えている(尤も、これでは余りに漠然としていて、治療法としては受け入れられませんね)。


*昔は、農民や肉体労働者は、俗に一升飯というほど米飯中心の食事だったけれど、この階層には
糖尿病者はほとんどいなかった。即エネルギーに転換できる糖質が相対的に不足するほどに肉体を
酷使したからだ。この時代、糖尿病は一般に「贅沢病」と思われていた。いまでもこの「誤解」は残って
いるけれど、国民総糖尿病というほどに、急増してくれば現代の生活様式と食生活のあり方そのもの
が根底にあると考えざるをえない。
「2004年の国民のエネルギー摂取量は1902Calで、これは餓死者が出た1946年の水準よりも低い
のです」(「時間栄養学」23.p、参照)という。これは、糖尿病の急増の背景には、広い意味では「エネル
ギーの消費と摂取のバランス」の問題があるにしても、それのみに留まらないことを示唆している。
この点、「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の、この記事は大いに参考になる。(⇒参照

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by agsanissi | 2010-12-31 11:14 | 糖尿病


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