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2011年 01月 04日

「加工ジャガイモのつくり方」を読んで/5

次に内部品質
8.内部黒斑
・機械受傷による黒斑で、イモの打身。機械的ショックによって生成されたメラニン様の黒色物質で、外観からは分からず、切断したときに
周皮直下から維管束を中心に黒変している。
・イモの丁寧な取り扱いと10度以下での作業はしないことが原則。
9.中心空洞
・発生しやすい条件は①多肥、高温多湿、堆肥の多用等による急速な肥大、②広すぎる株間&欠株 、③株当たり茎数の不足(1~2本)、
④水分変動による二次生長の一類型、⑤外ずい部と中心部の生長の不均衡(以上は、B.L.Rexの研究報告)、さらに⑥中心部への炭水
化物の供給不足、⑦一因としてクロアザ病、⑧一因として茎葉枯凋処理、⑨高い土壌pH
・対策は、減肥、株間30センチ、茎数4本、地温を17-22度に保つ厚い培土、などの基本の播種法を守るとともに、pHを5.0~5.5にする、
過剰な堆肥すきこみや最盛期の茎葉枯凋処理をしないなどを、総合的に(どれか一つを欠いただけでも発生する可能性はある)やる。
⇒今年のワセシロと男爵を比較すれば明らかな通り、同じ条件でも中心空洞の出来安い・出来にくいの品種間格差がある。
10.褐色または黒色心腐れ(図版:ジャガイモ博物館の「塊茎異常」参照)
・褐色新腐れは、高温を伴う水分不足で発生する。枯死した細胞がデンプン粒を持ったまま収縮して褐変する。周辺細胞はデンプンを
消費して分裂し「ゆ傷組織」(周皮が完成したときのコルク層のことで、イモの表面がすこし褐色になります。また、種イモの切断面や
傷あと面にできる薄皮のことをいいます。
「ジャガイモ博物館」の用語解説入門から)を形成する。
・黒色心腐れは、酸欠状態による枯死で、大別して、イ.正常な温度条件下での酸素不足(貯蔵中の換気不足、栽培中の緊密な土壌
条件など)、ロ.浴光育芽中に30度以上の高温に晒され、中心部への酸素供給が間に合わない場合の二つに分けられる。
・原因が対策を示唆しているが、水分不足になりやすい土壌(土塊が多い、重粘土質など)や不良培土に留意すること。
11.維管束褐変
・割ってみると維管束全体が侵され濃褐色に変色しており、カンプ病や半身イチョウ病に侵されている場合。これらは土壌病害で、対策は
輪作確立と腐熟堆肥のすき込みが基本。
・淡褐色のものは、霜害や茎葉枯凋処理で、旺盛な生育が急速に衰えたときに発生する。枯凋処理は原則としてやらない。「収穫期に
黄変の進んだ生育型](減肥)にすることが基本。
12.内部の病虫害
・疫病、軟腐病、クロアシ病、乾腐病など。疫病以外は輪作確立で対応、疫病は初発を調査し(18-20度程度の低温多湿条件で蔓延)、
早期の丁寧な防除と10日間隔の防除が必要。また「倒伏のない生育型」にすることが基本。
13.でんぷん価
・デンプン価は加工適性を測る尺度になる。14%未満のイモは加工用原料とはみなせない。
デンプン価と糖分(還元糖)は負の相関関係にあり、肥大開始期は糖分が高いが、生育と共にデンプン合成能力が高まり、糖分が下がる
のが正常な生育型だが、多肥栽培で短期間に肥大化させ、多収をねらうと、イモが成熟せず、高糖分、低デンプンのまま収穫される。
・デンプン価上昇の阻害要因は、多肥、マルチ栽培による高温多湿、高い土壌pH、疎植や欠株、少ない株当たり茎数、不良培土、早期
茎葉枯凋処理、病害、二次生長、中心空洞、褐色心腐れ、などが上昇の停滞や蓄積したデンプンの低下を招く。
・デンプン価上昇の阻害要因は、ほぼ解明されているが、圃場ごとにその要因は違うので、適切に判断し、対応する必要がある。



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【日々雑纂】
「加工ジャガイモのつくり方」を読んでを書きながら、いろいろ検索する過程で、面白いサイトを見つける。⇒「ポテトの秘密
・「アメダスを利用したジャガイモ疫病の高精度発生予察システムの確立」(参照)は、北海道以外では直接には利用できないが
参考にはなる。
・今日の「太田述正コラム#4236」(参照)に「大躍進政策の真実」と題する'Mao's Great Famine: The History of China's
Most Devastating Catastrophe, 1958-62'という本の書評の紹介が載っている。大躍進政策による餓死者は2000万とも
3000万とも云われているが、「1959年から1962年の飢饉の間に、少なくとも4,300万人の支那人が死んだ。大部分は飢えで
死んだが、200万人を超える人々は殴打され、或いは拷問を受けて死んだ」とのこと。尤も、所詮、推計に他ならず、推計方法に
よって、この数値はいかようにも変容しうる。肝要なのは数値ではない。
・「秋丸機関の全貌」に見られるような杉山参謀総長の「調査および推論は完璧であるが、結論は国策に反する」と講評し、焼却処分を
命じた
倒錯した処置も、大躍進政策(農工業の大躍進のためには、いかなる犠牲も顧みないという倒錯した政策)も、ともに時代を隔てて
みれば単なる狂気のごとくであるが、同時代的には決してそうではないという事実こそ瞠目すべきである。
・「Eat, Drink, and Be Healthy」108.pに、タンパク質の摂取量は、Ⅱ型糖尿病の発症に直接関わりがある証拠はないが、
牛乳に含まれているある種のプロテインは、子供のⅠ型糖尿病の発症に関わっている可能性があり、これが幼児に牛乳を薦めない
ひとつの理由である、とある。
・10/12/31のWSJに「中国の未来はメキシコ?」という記事が載っている。経済学者のティモシー・キーホー氏(ミネソタ大学)と
キム・ルール氏(ニューヨーク大学)は、論文で、世界銀行のいう「中所得国」が先進国入りすることがいかに難しいかを論じて、
「継続的な改革がなければ」、「中国は成長が急激に鈍化し、メキシコ未満の水準にとどまる公算が大きい」としているとのこと(参照)。
・中国の最近の一連の軍事的・政治的・経済的・外交的な政策を俯瞰してみると、東アジアのみならず地球的規模の覇権国家への余り
にも露骨な胎動を示している。その露骨さが、蹉跌に転化しうる。
・Braudelの「The perspective of the World」を読んでみてつくづく感じることは、ある種の歴史的胎動は決して直線的には進まず、
様々な紆余曲折や蹉跌に満ち満ちていることだ。
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by agsanissi | 2011-01-04 10:00 | ジャガイモ


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