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2011年 12月 13日

世界糖尿病会議

・12/04~12/08の五日間、ドバイで「第21回世界糖尿病会議」が開かれた。その研究成果は「日経メディカルOnline」に紹介されている。
・興味深いもの&関心のあるもののみ、簡単に摘記をしておく。
地中海式食事法は介入終了後も長期にわたってアドヒアランスが持続(12/12、参照)、「豆類や果物、野菜や魚などの摂取を増やす
地中海式食事法に基づいた食事療法は、糖尿病患者の血糖管理にも有効とされる。そこで心臓リハビリ患者59人を対象として、リハビリ期間
中に地中海式食事法の導入およびトランス脂肪酸摂取の軽減などの介入を実施したところ、総エネルギー量の軽減などの効果がリハ終了時
に認められ、リハ終了後12カ月においても地中海式食事法のアドヒアランスが維持されることなどが明らかになった。
」云々
「アドヒアランス」(adherence)は、もとは「執着」「忠実」などの意味。「ステッドマン医学大辞典」には「指示順守度」(患者が、いったん了承
した治療法をほとんど監視なしで継続する度合い)と解説している。また「薬学用語解説」(参照)には「患者が積極的に治療方針の決定に参加
し、その決定に従って治療を受けることを意味する」とある。
・地中海式食事スタイルが糖尿病や心臓病のリスク低減や予後の療法として効果的だという研究は前々から報告されている。今回の報告の
積極的な意義は、「リハ終了後12カ月においても地中海式食事法のアドヒアランスが維持されること」、つまり患者自らが食事スタイルの転換に
取り組めるという点にあるのか。

参考:
1.地中海式の食事スタイルは糖尿病患者にも良い イタリアの研究(09/09/17、参照
ここでは地中海式食事スタイルを「新鮮な野菜や魚、全粒粉、ナッツ類、果物を多くとり、牛や豚などの赤肉をあまり食べずに、不飽和脂肪酸で
あるオレイン酸を含むオリーブオイルをふんだんに使うのが特徴
」と解説している。
2.Effects of a Mediterranean-Style Diet on Cardiovascular Risk Factors(06/07/04、参照
【Dr.Bernstein's Diabetes Solution】には、地中海式食事スタイルについての言及はない。一方、Dr.Dean Ornishは、やや限定的な
意見を述べている。

HbA1c自体ではなく、変動の大きさが2型糖尿病患者の死亡リスクと関連(12/09、参照)、「日内変動のような短期的な血糖変動が
2型糖尿病の重症者や高齢患者の死亡リスクを高めることはよく知られているが、長期的な血糖変動と死亡の関連についてはほとんど検討され
ていない。この点を追究した朝日生命成人病研究所の高尾淑子氏らは、HbA1cの変動が全死亡の独立した危険因子であることを見いだし

云々
HbA1cの水準自体よりも、変動係数の大きさと年齢とが死亡リスクを高めるという趣旨だが、長期的・慢性的な高血糖状態が血管に炎症を
引き起こし、様々な合併症の引き金になるという点と、どういう整合性があるのか?あるいは「高血糖の記憶」(legacy effect)との関係

高血圧合併の糖尿病患者、1日1時間のヨガで症状が改善(12/08、参照)「高血圧を合併している糖尿病患者が、1日1時間のヨガを行う
ことで、3カ月後には、収縮期血圧と拡張期血圧、空腹時血糖値のいずれもが有意に低下することが報告された。

Dr.Ornish は心臓病からの回復療法に、食事、ライフスタイルとともに「ヨガの効用」を力説している。副交感神経を活性化することで血圧や
血糖値の低下にプラス効果があることは予測できる。「食後血糖値(平均)については、240.31mg/dLから208.74 mg/dLに減少したもの
の、有意差は認められなかった」という点に関連して、どいうタイミングで「ヨガ」を取り入れるのがより効果的か?
・食後血糖値の上昇を抑えるには、食後0.5~1時間後の歩行など比較的軽い有酸素運動のほうが効果的。

血糖降下療法は加齢に伴う脳の萎縮速度を遅らせる(12/13、参照)「2型糖尿病患者は一般人口に比べて認知症を発症するリスクが高い
ことが知られているが、そのリスクは血糖降下療法によって多少は減らせるかもしれない。

・但し「厳格な血糖降下療法は通常の治療に比べて脳容積の減少を抑制することが示唆されたが、この現象に伴って認知機能の改善や認知機能
低下の抑制といった臨床的な効果は見られなかった。
」一方、「厳格血糖管理群では通常管理群より死亡率が有意に高率だった」云々
「厳格血糖管理群では通常管理群より死亡率が有意に高率」という結果は、あくまでも「HbA1c<6%を目標とする厳格な血糖降下療法」という
薬事療法の結果であって、薬の副作用という点を考慮しなければならない。すなわち薬に頼らない「食事及び運動」など生活スタイルの変化に
伴う血糖値の「自然の低下」は、この範疇には入らないと見なすべきか。

テロメアの短縮は1型より2型糖尿病患者で顕著(12/13、参照、「染色体末端部のテロメアの短縮は細胞老化に関わるとされるが、
糖代謝異常との関連も指摘されている。そこで、1型(T1DM群)と2型糖尿病患者(T2DM群)および非糖尿病患者(ND群)について、テロメア
長やテロメラーゼ活性を調べたところ、2型糖尿病患者におけるテロメアの短縮が顕著であることが示唆された。」
・テロメラ長はND群と比較してT2DM群で有意に短かったが、T1DM群については有意な差は見られなかった。
・テロメア長と年齢や血清コレステロールなどのさまざまな要因との関連を調べたところ、ND群ではテロメア長と年齢が逆相関を示した。
・一方T2DM群では、年齢、HbA1c、総コレステロール、LDLコレステロールがテロメア長と逆相関を示し、HDLコレステロールとテロメア長は
正の相関を示した。
・今回の研究では、テロメア長やテロメア活性の障害と糖尿病患者との関連を示唆する結果が得られた。テロメアの短縮は2型糖尿病患者でより
顕著であり、炎症や酸化ストレスなどがテロメアの短縮に関与している可能性が示された
。云々
細胞レベルの老化は、個々の臓器レベルの老化や個体の老化とどのように関わるのか?
・T1DM群及びT2DM群のどのような違いが「テロメアの短縮」に関わるのか?
・最後の指摘からみると、T1DM群とT2DM群との違いよりも、HbA1&コレステロールがテロメア長に関わる可能性を示唆していると思われる。

参考:テロメアについてはWikiを参照
血糖降下で細小血管合併症を抑制できるのはHbA1c6.5%が下限(12/12、参照)、HbA1c低下による血管合併症抑制効果が認め
られるのは、細小血管障害については到達HbA1cが6.5%、大血管障害と死亡については到達HbA1cが7.0%までであり、これらの値より
HbA1cを下げても血管合併症リスクがさらに低くなることはないという。

・(尤も、本文には次のように「逆の記述」がある。過去の知見から見出しが正しいようだ)大血管障害と総死亡のHRは、到達HbA1cが6.5%
以上では、到達HbA1cが低いほど低かった。また、細小血管障害のHRも同様に、到達HbA1cが7.0%以上であれば、到達HbA1cが低い
ほど低かった。到達HbA1cが1%上昇するごとに大血管障害と総死亡のリスクはそれぞれ38%、細小血管障害のリスクは40%上昇した。

一般論として、「下限」があるのは分かる。その「下限」値が、非糖尿病者の平均的レベルよりも高いのはなぜか?
・薬理効果による「人為的」血糖抑制の副作用?
・(食事&生活スタイルの変化に伴う)効果による平均的血糖値の低下の場合との違いは?

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by agsanissi | 2011-12-13 22:09 | 糖尿病


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