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農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

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2006年 01月 12日

「本当の有機農業なら...」

西村さんが「本当の有機農業なら、虫は来ない」というようなことを言っていると、昨日のとびらさんから
頂いたコメントに書いてある。
もしそう書いたとすれば、調子に乗って筆がすべったか、何かの文脈の中で書いたことを留保ぬきに
読み間違えたか、果たしてそこまで阿呆なことを書くだろうかと僕にはいささか疑問だ。

確かに「有機農業コツの科学」の最終章「ぐうたらの独り言」の中には「害虫の見えないミカン園」の実例
が出てくる。
この有機栽培ミカン園では、カイガラムシも天牛(カミキリムシ)も、ほとんどいない。「つまりミカンの木に
被害を与えるほどにはカイガラムシが寄生していない」と書いている。これを受けて更に、こう書いている。
「この現象にたいする説明は、わたしにはできません。『なんでやねん』そういうしかなかったのです。でも
傍証ならいくらでもあります。その一例で説明すると『虫がかじる野菜は、人間が喰ってもうまくない。
人がうまいと思う野菜は、虫にはほとんどやられない
』、嘘だと思われるかたがほとんどと思います。
まして並みの学者さんは、絶対信じません」

傍証のほうは、それぞれの野菜の虫を引き付ける誘引物質の蓄積量とその蓄積要因、一方そのおなじ
野菜を人が食べてうまいと感ずる要因との逆比的な相関関係をきちんと実証しなければ傍証にはならない。
まあ、それはともかく「この現象にたいする説明は、わたしにはできません」と書いてる以上、まさか「本当の
有機農業だから
、虫は来ない」のだとまでは云わないだろうし、事実、書いていない。
逆に、こういうことを書いている(以下引用)。
さる集会で、何人かの人が「有機農業の畑は虫が多すぎる。何とかならないか 」と話されているのを聞き
ました。「それっておかしいですよ」と、声をかけようとしましたが、会話の最中だったし、わたしが説明したら
長くなるのでやめたのです。...なにがおかしいのか、「有機農業の田や畑に虫がいないのは、不自然で
すよ
」といいたかったのです。

この文脈の中で、昨日引用したように「わたしの考えを申しますと、病原菌をただのカビに、害虫をフツウの
虫に、雑草をただの野草にするような知恵を、自然界から学べばよいだけのことなのです」と続く。

ここを読めば、虫はいるけれど作物に悪さをしないフツウの虫に変えることが有機農業の自然の姿という
のが西村さんの考えなのだろう、と分る。
とすれば、冒頭に戻って「本当の有機農業なら、虫は来ない」とは書かないだろうな、とは予想できるけれど、
一方、さっきの傍証を読むと「うまい野菜の畑」では、虫は採食活動をしないのだから、そういう畑では
自然と「うまい野菜」に悪さをする虫はいなくなって、フツウの虫だけになってしまうとノー天気に考えている
のかしら、と疑いたくなってしまう。
でもそういう畑ではフツウの虫は何を採食するのかしら??

by agsanissi | 2006-01-12 06:11 | 考える&学ぶ


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