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2006年 01月 13日

肥沃な土をつくるには...


「コツの科学」のポイントは、自然界の知恵を学べということが云いたいのだろう、と僕は理解している。
だが、どうやって、それが問題だ。

「有機農業は、農薬や化学肥料を使わずに作物を作る方法です」「ただ、農薬や化学肥料を使わずに、
どのようにして野菜を育てるのか、どうしたら土が肥沃になるのかといった基本的なことが、残念ながら
わかりずらいのです」
これで西村さんの提案する自然界から学ぶべき知恵のポイントは二つとわかる。
1.肥沃な土をどうやって作るか、
2.農薬を使わずにどうやって病害虫を避けるか。
後の点については、すでに触れた。キーワードは「ただのカビ、フツウの虫、ただの野草」だ。

次は土の話。
西村さんは、この本の最後に「土のきた道は気が遠くなるほど長い距離であり、おなじ長い時間だけ経った
にちがいない。その土を、わずか半世紀にもみたない中途半端な科学技術で理解しようとか、改変しよう
とかいうのは、人間の傲慢でしかない」と書いている。
これはどういうことを云いたいのか、と考えている。
土を「理解しよう」とすること自体が傲慢なのか、それとも科学技術という方法を通して「理解しよう」とする
ことが傲慢なのか。
また「土地の改変」とはどういうことか?現代農業や農学は「土の改変」を目論んでいるのか、それとも土を
耕す行為そのものが「土の改変」にあたるのだろうか?

これは「土」のかわりに「生命」と置き換えてみれば、分かりやすいかもしれない。
人は生命科学を通して「生命を理解しよう」としているし、その結果、生命を作り出すことはできないけれど、
生命をいくらか「改変」しうる程度にまでは理解している。しかし恣意的な遺伝子操作が生命界にどのような
反作用を及ぼすかの全体像を評価しうるほどには理解していない。

では土を前に、われわれはどうしたらよいのか?
この本の冒頭に戻って、西村さんは「土つくりはどうすればよいか。手抜きで土つくりをするには、土を知ら
なければなりません。では、土とはなんでしょう」として、土壌科学のイロハの知識を書いた後に、「さあ、
ぐうたら風の第一ヒントがおよそできました。肥沃な土をつくるのは、人間ではなく、土にすむいろんな生き物
なのです。だから、いろんな生き物を増やすコツだけを会得すればいいのです」

出口では、土とはいたって玄妙な「理解も改変も」及ばぬ対象かにいわれ、入口では土を知り、土を肥沃に
改変することはいたって軽妙な、お手軽なコツのように誘われる。

さて、どっちが本音だろうか?
「土というものの本質を、現代農業は理解しているのだろうかと、疑ってみたくなります。ところで、作物と
土壌そして土壌生物とのあいだには、われわれがまだほとんど知らないといってよい密接な関係があり、
深いところでつながっているように、わたしには思えるのです。有機農業や自然農法を30年以上みつづけ
てきたわたしには、トマトを連作しているのにまったく連作障害のおきない土壌とか、エンドウマメのように
はげしい連作障害のおきる作物を、毎年平然と作っている農家の、なぜそうなるのかがよくわかります」

まとめると次のようになる。
たかだか半世紀の中途半端な科学技術で土を「理解しようとか、改変しようとか」は、人間の傲慢だ。しかし
作物と土壌と土壌生物のあいだには、まだ知られない「密接な関係がある」ことを理解すれば、土の玄妙な
働きの「なぜそうなるかがよくわかる」
中途半端な科学技術に探りえぬ自然の玄妙さも、有機農業30年の経験の前には、手もなくそのコツを
披瀝せざるを得ぬか!!
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by agsanissi | 2006-01-13 04:16 | 考える&学ぶ


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