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2006年 01月 17日

抑止土壌

土壌微生物間の相互作用は一般的にいえば食物連鎖の関係の一環だが、相互作用を具体的に解析
すれば土壌微生物間の拮抗作用や協力作用が表れる。

土壌病害の生物的防除の方法としていわゆる拮抗微生物が注目されている。拮抗微生物の特異的働き
の発揮される抑止土壌が知られている。
「このような拮抗微生物が優勢に増殖し、病原菌の密度を低下させる土壌環境を作るため、堆肥の施用、
耕起による通気性の保持などが行われる。土壌病原菌の拮抗に生物として蛍光性シュードモーナス属
細菌がよく知られている。これらの細菌は抗菌性物質を出し、根圏や根内に生息してトマト青枯病などの
土壌病害の発生を抑制するとともに、植物の成長を促進する効果も持つ。これらの生物活性を示す細菌を
植物生長促進性根圏細菌という」「農耕地の中には人口処理を加えなくても、微生物拮抗作用によって
発病が抑制される自然の抑止土壌がある
。抑止土壌では病原菌を接種しても定着しないか、定着しても
病気の発生量が著しく少ない」(「植物病理学概論」から)

抑止土壌について、西村さんは「第4章病気、虫について」の中の「病気」の項で触れている。
「たとえばトマトを何年連作しても、生育障害がでない土があります。トマトの連作障害を防ぐ方法として
よく使われるのが、おなじナス科でトマトと相性のよい植物を、台木にし、トマトの苗を接ぐ方法ですが、
接木をしないトマトでも、連作が可能なのです」これが「抑止型土壌」だと書いた後、抑止型土壌がなぜ
できるのか、また連作障害がなぜ避けられるのか、その理由はいまだにはっきりとは解明されていない
けれど、「そんなことを詮索しても連作障害が回避されるわけではありません。それよりも連作障害の
でないわけ、というか連作障害のでないような土をどうやって育てるかについて考えたほうが現実的だと
思うのです」と、いささか支離滅裂なことを書いている。

その現実的な方法とは??
土のにおいをかげと提案している。このにおいの元は放線菌の香りであり、「少数派の放線菌がけっこう
いるような土では、ほかの微生物、細菌やカビもたくさんすんでいるし、土壌動物も多いのです。こうなっ
てくると、病原菌がはびこる余地はありません。結論をいいますと、有機物の分解能力の高い、したがって
土壌生物の数も種類も豊富で肥沃な土壌、これこそが抑止型土壌なのです」
これではまるで、肥沃な土壌一般が抑止型土壌のようではないか。そんな錯覚が何かのヒントになるか?
「これがヒントになるとすれば、まずいろんな有機物が土のなかにはいるような耕作方法をとることです。
それは輪作であるし、混作や間作でもあります。...抑止型土壌を育てるつもりで、もしも病気がでて
きたら、原因はどこかにあるはずです。...原因は土か作物かにかならずあるはずです。基本は健康な
土です」

健康な土が基本で、健康な土つくりの基本は輪作・混作・間作ですというのは、至極まっとうな提案だ。
その一方で、13日の日誌に引用したように「有機農業や自然農法を30年以上みつづけてきたわたしには、
トマトを連作しているのにまったく連作障害のおきない土壌とか、エンドウマメのようにはげしい連作障害の
おきる作物を、毎年平然と作っている農家の、なぜそうなるのかがよくわかります」という。
僕には、これは前後撞着、支離滅裂な話としか読み取れないが、はたして違うのか?

土壌微生物、とりわけ拮抗微生物の研究によって、きわめて限定された条件、たとえばハウス内の特定
作物の栽培や抑止土壌のような条件
のもとでは、連作を続けても障害が発生しない例(注)が知られている。
根圏微生物の研究者の小林さんは拮抗微生物資材の利用で「現在、ハウス栽培の六大作物であるトマト、
ナス、メロン、イチゴ、キュウリ、ピーマンを毎年連作しても障害は発生せず、大きな成果をもたらすことが
できるようになっている」と書く一方では「連作障害などに関係の深い土壌伝染性病菌に対する抑圧手段に
ついては、暗中模索という状態」(「根の活性と根圏微生物」)と指摘する。

すなわち土壌微生物学の研究によって「作物と土壌と土壌生物とのあいだには密接な関係」があることは
わかっているし、限定的な条件の下では制御もできるけれど、一般的にその関係を自在に制御して田畑で
の作物栽培に応用できるほどには理解できていない。
にもかかわらず西村さんが、科学技術の傲慢を指摘しながら、「自然界に学べばよいだけだ」というので
は、単なる言葉遊びでないとすれば、逆の意味での傲慢ではないのか。

:参考資料として、三浦半島のダイコンつくりの例を挙げておく。
三浦半島の土壌を守る取り組みの紹介
野菜の吸肥パターンを配慮した環境にやさしい施肥設計
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by agsanissi | 2006-01-17 05:57 | 考える&学ぶ


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