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2006年 02月 05日

土壌にまつわる無駄話


「日本国語大辞典」で「土壌」と引いてみると、前回の1の意味で使われた引例が
「和漢朗詠集」(1018年頃)から採用されている。
泰山は土壌を譲らず、かるがゆえによくその高きことを成す(李斯)
というのだが、秦の始皇帝の時代の人の漢詩だから、実際にこの言葉が日本に
入ってきたのは、7-8世紀、遣唐使を通してかもしれない。
いずれにせよ中国では約2千年、日本でも千年以上の歴史がある古い言葉だ。

ところが派生的な意味がほとんどないということは、一般には「つち」と使われ、
「土壌」という言葉の用例はないに等しかったのだろう。

では、いつ日常語の中に入ってきたか?
多分、明治の文明開化の時代に、殖産興業政策の一部として西洋の学問とともに
訳語として採用されたのが最初だろう。
その根拠は、国会図書館の「近代デジタルライブラリー」の一冊に、「勧農叢書」
の一部として明治21年発行の「土壌及肥料」という書籍が収録されていることだ。
ひょっとすれば、明治政府の官制が古代律令制の官職名を復活させたことと相通ず
る点があるのかもしれない。

一方、3の比ゆ的意味の用例は、「文学読本・理論編」(1951年)の書名を挙げて
いるだけ。作物を生み出す「土壌」という言葉が使われ始めた以上、70年近くも
比ゆ的意味が派生しなかったとは考えにくい。もっと早い用例があるはずではないか。
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by agsanissi | 2006-02-05 20:40 | ミミズの寝言


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