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2006年 09月 15日

品目横断的経営安定対策

11.7/22度、日照10.2時間、朝から雲ひとつない快晴だが、最も日照時間の
長い時期に比較して約1.5時間も短くなっている。午後3時を過ぎると陽射しは
「暑い」というより、既に「温もり」を感ずる季節になった。
そういえば、JMMのメールマガジン『大陸の風-現地メディアに見る中国社会』
で、北京では9月になると「ギンギンと射るようにさしていた夏の陽光ではなく、柔
らかく注ぐ陽光が今や午後3時を過ぎた頃からゆっくりと昼間の光から夕方の光
へと切り替わる」
と書いているのを読んだばかりだ。
奇しくも普代村と北京市は、北緯40度にある。

9月から「品目横断的経営安定対策」が実施され、その加入申請の説明会が
今週初めに開かれた。普代村では対象者は3人、他には集落営農などに該当
するものもない。
農業の構造改革の加速化のために、意欲と能力のある「担い手」に各種施策を
集中的・重点的に実施
し、担い手の経営安定を図るというのが謳い文句だ。
傍から見れば、「担い手」農家はエリート百姓で、色々な優遇・支援措置を受けら
れ、麦・大豆などを作ってさえいれば経営が安定するかの錯覚を受けるかもしれ
ない。
当事者としては、阿呆臭くて真面目に相手をしていられないというのが、率直な
感想だ。
制度の中味は複雑で、農水省の解説は晦渋で、ひょっとすると僕の誤解もある
かもしれないが、この制度で小麦の販売価格がどう変わるか概要を書いておく。
現在の小麦の価格を8500円/60キロとする(等級・品種による格差は捨象)。
製粉業者への販売価格を2500円とすると、6000円が麦作経営安定資金から
出ている。
制度変更されるのは、「麦作経営安定資金」の部分で、まず作付面積が4町歩
以下の百姓は制度対象から除外される。この場合、製粉業者への販売価格が
そのまま小麦の価格になる(需給で変動し2500円とは限らない)。
「品目横断的経営安定対策」の加入者(作付面積4町歩以上の認定農業者)は
6000円に相当する部分が、ほぼ保証されるかの解説がなされているが、実態
は違う。
簡単のために金額で説明するが、6000円の「経営安定資金」は7対3の割合で
①過去3年(平成16-18年)の麦作経営安定資金に加入した実績面積
②毎年の生産量・品質による支払い
に振り当てられる。
しかも①の評価は、当該年から遡る過去3年ではなく、平成16-18年の三年間
に固定される。従って極端な例で、この3年間に小麦を4町歩作付けし、12トン
の収穫があったが、赤カビで格外に評価されたとすると、この間の実績面積は
ゼロと評価される。すなわち6000円の7割、4200円はその後の生産実績とは
関係なしに評価対象外とされる。
この場合、最も良い条件で販売されたとしても2500+6000×0.3=4300円
/60キロで評価されるに過ぎない。
逆に、この三年間が最高値で評価された場合は、その後の生産実績が悪くとも
少なくとも2500+6000×0.7=6700円以上には評価される。
この場合、二つの問題がある。平成16-18年の実績が偶々悪い場合、その
マイナス評価が、その後の価格査定の基準になる。赤カビの混入率の基準値が
25分の1と厳しくなったのが三年前だから、平均的実績はかなり下がっている
はずだ。これが一つ目。
新たに小麦作を拡大した場合、その部分は評価対象外だから、この対策によって
新規参入して麦作を拡大しようという意欲はかえって殺がれることになる。これが
二つ目。
将来に向って、新たに麦作への意欲をかきたてる施策ではなく、麦作への新たな
参入意欲を殺す施策でしかない。

米作が加わると、事情はかなり変わってくるから、「品目横断的経営安定対策」
によって、実際に麦作・ダイズ作がどう変わっていくか予測しがたい面もあるが
本来の畑作百姓にとっては麦作・ダイズ作の経営収支が悪くなることはあっても
良くなることは決してない。
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by agsanissi | 2006-09-15 21:56 | 参考記事


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