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2006年 09月 18日

小麦の生産費用/その2

16.6/19.6度、深夜の12時頃から降りだし19時現在降り続く。台風13号の余波の雨は、
東北では日本海側よりもむしろ太平洋沿岸部に集中する。風は、いまのところそよ風程度。

10a当り小麦の生産費用は概ね4-5万円。小麦販売額は最高値で8500円/60キロ
だから反収5俵で、やっと収支トントンになる。一方、規模別では小麦の作付け面積が
5ha以上ないと実質的利益がほとんどでない。少なくとも農業統計調査から読み取れる
事実はこんなところだ。

本当だろうか?
5ha以上の小麦生産者が、どれだけいるか。「一般生産者数の作付規模別推移」(参照
統計があるが、これによると5ha以上の作付生産者は平成13年に全国223万戸のうち
約2.3万戸、1%強だ。このうち小麦だけの作付面積で5ha以上層は、北海道を除けば、
数百とか千のレベルと見て間違いあるまい。
都府県の小麦作付面積は9.7万haだが、その内9万は田で、畑面積は7千haに過ぎない。
9万haは転作小麦または田畑転換小麦で、その殆ど全部は小麦の作付面積5ha以下と
考えてよい。とすると都府県の小麦生産者の大部分は採算割れで、自己犠牲的に小麦を
生産しているのか?
これを反収の面から見ると、06/09/06公表の平成18年産麦類収穫量(参照)によると、
都府県の小麦の平均反収は329キロで5俵そこそこ。関東・東山、九州以外は5俵以下。
都府県別に見て採算レベルに達しているのは5、6県しかない。
それなら何故、小麦を作るのか?

小麦を作るために、小麦を作付けしているのではなく、米を作らないために、小麦を作って
いるに過ぎない
(小麦はダイズと読み替えても良い)のではないのか。
小麦生産に必要な機械装置は、ほとんど全部米生産と共用できる。一方、米を減反して
小麦・ダイズを作付けすれば、反当り4-7万円の転作奨励金がでる。仮に米の反収を
8俵とすれば、減反による減収が8-9万円。小麦の反収を5俵として4万の収入があれば
転作奨励金とあわせて8-11万円になり、上手くいけば増収の可能性がある。
しかもコメ生産の機械装置は、そのまま小麦生産に転用できるから、実際の生産費用は
統計上の数値より低いのではないか。
要するにコメ・麦とセットで考えれば、小規模生産でも多少は利益が出るのではないか。

日本の農業政策はコメ政策が中心だから、麦政策もダイズ政策もコメ中心で動いている。
数年前から麦作経営安定資金だのダイズ交付金だの、麦・ダイズ政策が大きく転換して
いるが、本来の狙いはコメ政策で、結局は「品目横断的経営安定政策」に収斂するための
準備作業ではなかったのか?

転作奨励金をエサに米作から麦作への誘導を図る。ある程度、麦作への転換が進んだ
ところで転作奨励金を廃止する。その暁には麦作安定資金も転作奨励金も廃止され、
しかも麦作そのものが、5ha以下のレベルではほとんど採算点に達しないとすれば、麦作
も大幅に縮小するだろうから、全体としての「経営安定政策」のための財政支出は大幅に
縮小するだろう、という考えではないだろうか。
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by agsanissi | 2006-09-18 20:00 | 小麦


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