2006年 09月 20日

品目横断的経営安定対策/その2


品目横断的経営安定対策の眼目は、価格保障政策をやめて所得保障政策に転換する
という点にある。外国農産物に比べて破格に高い価格で国内農産物(この場合、コメ・麦
・ダイズ)を買い上げる一種の関税障壁は廃止していくというのがWTOの一般的合意に
なっている。一方、価格保障政策を続けていれば農業の構造改革は一向に進まないと、
いまさらのように「担い手」に各種施策を集中的・重点的に実施し、所得保障方式に転換
することで構造改革を一挙に推し進めようというのが謳い文句だ。

僕は、個人的には「品目横断的経営安定対策」にはほとんど関心を持っていない。その
理由は前にも書いたように「阿呆臭くて真面目に相手をしていられない」と見なしている
からだ。というのは畑作の視点から見たこの対策の意味合いは、「小麦の生産費用」に
書いたことにほとんど尽きている。

しかし日本の農政はコメ政策を中心に廻っている。麦・ダイズ政策はコメ政策の余波の
ようなもので、畑作の視点からこの政策の全体像を理解しようとすれば、多分、重大な
見落としをするはずだ。
退職勧奨制度のようなもので、「品質や能率の悪い麦作は止めなさい」という勧めだと
書いたけれど、それが本来の狙いなのか、そもそも「本来の狙い」とも云うべき明確な
政策的意図はあるのか、それとも各種利害関係団体との意見のすり合わせの結果と
して出てきた「瓢箪から駒」のような政策なのか。こういう点を正確に論ずるには、もっと
時間を置かなければならないし、(公表されるなら)議事録などを含めてこの対策の全体
像とその余波を検討しなければならない。

この対策は、ある意味では、戦後の農政の革命的政策転換とも評価しうるもので、本来
なら集落営農組織を含めて検討しなければならないし、場合によっては集落営農組織へ
の転換(僕は日本的人民公社だと直感的に考えているが)こそ、本来の狙い目かも知れ
ない。
こういう点をキチンと検討するには、いまではまだ材料が欠けているので、暫く時間を置
かなければならないし、僕自身の知識が限定されすぎている。これらの条件が揃ってくれ
ば、「日本に農業はいらないか」の続編のよう形で「耕す生活」にでも書いてみようかという
程度の関心はある。

いまは日本中の農政の下請け機関・関係団体をあげて、「品目横断的経営安定対策」へ
の対応に追われて、その中味と将来像を考えることなく、ほとんど無自覚的に全速力で
駆け出している。これで日本の農業と農村がどう変わるのか、それを正確に見通すような
論説があるのかどうかも、僕は知らない。こういう点も含めて、いつか検討してみたい。
[PR]

by agsanissi | 2006-09-20 05:25 | 参考記事


<< プラウ耕を止めてみる/その2      小麦の生産費用/その2 >>