2007年 07月 09日

葉のつき方の規則性(葉序)の話/余談

小麦の水分低下は思ったほどには進まず、2-3日伸びそう。
その間に、前回(7/6)、多少中途半端に終わらせた植物の葉のつき方の規則性の話、
即ち葉序の話をもう少し進めよう。

まず前提になるのは、「フィボナッチ数列」という面白い性質を持ったある規則性のある
数字の列を知っておくこと。フィボナッチは13世紀初頭の人。この人は

一年で成熟し、その翌年から毎年、年に一度だけ雌雄一対のペアを出産する
ウサギのペアがいるとする。さて、ある任意の年N年目には何組のペアがいるか


という問題を考えた。その答えは比較的簡単で(一般解を求めることは別として)
1.一年目は最初のペアの「1」
2.二年目は彼等が成熟するために必要で、ペアは「1」のまま
3.三年目は最初のペアの子供が生まれてペアは「2」
4.四年目は二年目のペアの子供も生まれペアは「3」
5.五年目は三年目のペア(二組)の子供が生まれてペアは「5」

これを続けていくと
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610...と続く。
要するに、前年と前々年の和が、その年のペアの数になる。この数の列をフィボナッチ数列
という。
このフィボナッチ数列のある年の数を分母とし、その前々年の数を分子とする分数は、
1/2、1/3、2/5、3/8、5/13...などとなる。

実は、この分数がそのまま様々な植物の葉序に相当する。なぜ、そうなるかは謎、しかし
そうなっている。
例えば
1/2は、イネ、ハナショウブ(茎の周囲一廻りで2枚の葉がつく、180度おき)
1/3は、カヤツリグサ、スゲ(茎の周囲一廻りで3枚の葉がつく、120度おき)
2/5は、テンサイ、バラ(茎の周囲二廻りで3枚の葉がつく、144度おき)
3/8は、アサ、トリカブト(茎の周囲三廻りで8枚の葉がつく、135度おき)
5/13は、ウルシ

この規則性のある葉序の数列が、どこまで続くか知らないが、地球上の植物にはこのよう
な規則性があり、これをシンパー・ブラウンの法則という。

試みに、googleで「シンパー・ブラウンの法則」と検索すると、10件ヒットする。
「カクタススケルトン等の螺旋葉序の可視化およびシンパー・ブラウン法則の検証」(参照
という論文には、フィボナッチ数の比と多くの生物系の成長との間の興味深い関係が簡単に
紹介されている。
また「富戸のフィボナッチ」(参照)には、アジサイ、アロエの葉の例が写真入りで紹介されて
いる。

話は、ここで終わらない。
この分数の、分子を分母で割って小数に直して、その小数を並べてみると
0.5、0.333...、0.4、0.375、0.3846..、0.3809..、0.3823..0.3818..と一つおきに
一方は段々小さくなり、他方は段々大きくなる小数の列が出来る。この列は無限に続くが
0.5から段々小さくなり、0.333...から段々大きくなる数に挟まれているから、やがてある
数に行き着く(これを収斂するという)。さて、この収斂する数を計算すると、なんとそれが
ジャガイモの葉序で紹介した(3-√5)/2になる。
実際に計算してみると、約0.381966011...となる。ある特定数に割り切れないからこそ
この分数に360度をかけた角度で配置すると葉は無限に重ならない、ということになる。

更にもう一つ、次の話は比較的良く知られている。
樹木の枝の枝分かれの規則性、下から枝分かれの線で切って、その位置での枝の数を
数えると、それがまさにフィボナッチ数列になっている。即ち1、1、2、3、5、8、13...。

自然界に、なぜこのような数学的規則性で表現される単純な調和があるか?
それは分からない。しかしこの単純な規則性で表される調和があるからこそ、
われわれは、それを「秩序」として認識できることだけは間違いない。

最後に、フィボナッチ数列の部分は、
6年前に出版された吉田武「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」(東海大学出版会)
という極めて刺激的で、数学の面白さ、自然界の玄妙さ、考えることの面白さを遺憾なく教え
てくれる本を参考にさせて頂いた。
吉田さんは、フィボナッチ数列の節を結んで、次のように書いておられる。

美には論理があり、論理には美がある
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by agsanissi | 2007-07-09 05:52 | 考える&学ぶ


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