2007年 07月 11日

土を考える/作物栽培の矛盾/2

昨日の午後から霧雨。雨雲本体はまだ関東北部から東北南部に留まっているのに北部沿岸
付近だけは30時間以上も早く、霧とも霧雨ともつかぬ「雨」が舞っている。アメダス統計に雨の
記録が現れるのは昨夜の24時以降、実際には16時半には麦刈りを中止せざるを得ぬほど
の霧雨になる。今朝は本格的雨。
そんなわけで、多少の息抜きだ。
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作物は、土に根を張り、土から必要なすべての養水分を吸収する。この点では、作物も
雑草も、本質的な相違はなにもない。雑草は、土壌条件に適合したものが、その適合の
度合いに応じて優先的に土壌を占有する。とはいえ自然状態では優先度合いに差はある
にしても唯一の雑草が他の雑草をすべて排除して独占的に土壌を占有するようなことは
通常はない。草丈の低いもの高いもの、地を這うようなもの、他の草に絡み付いていく
もの。葉の大きさや形にしても、茎の張り方にしても千差万別。いろいろな雑草が入れ
混じって、ある種の相を形成している。
栽培作物は、通常は単一作物がある土壌面積を独占的に占有する。しかも雑草の場合は
土壌による「選好」という一種の選択陶冶を受けたものが優先的に生き残っていくが、
作物は、耕作者の人為的「選好」によって栽培される。

作物と土壌条件の適合性は、作物栽培にとって実は本質的な問題だが、あたかもそんな
問題はないかのように、肥料さえ振っておけば作物は育つかのように(意識的か無意識的
にか)見なされて来た。まして主産地形成という政策にあわせて共同体ぐるみ、地域ぐるみ、
農協ぐるみの共同生産・共同出荷という事になれば、栽培作物は土壌条件によってではなく、
土壌条件とは何の繋がりもない外的・社会的条件によって規定され、作物と土壌の適合性
という本質的問題は無視される。その癖こういう政策は概ね「地域の特性を活かした特産品
の育成」などと本質的に内的矛盾を含んだ目標を掲げている。例えば「主産地形成が進んだ
多様な農業」と題する衛星画像(参照)は、地球的規模で見れば多様でも、微視的・畑規模
で見れば画一的な作物栽培という表題そのものに内的矛盾を含む事例を示している。
尤も、作物と土壌との適合性には相当な幅がある。「海の浄化能力」があるように土壌にも
浄化能力や緩衝能力がある。また風土的な土壌の連続性がある。しかし土壌の包容能力を
超えた過負荷が続けられれば、海が汚れるのと同じように、土壌もまた疲弊する。

作物にとっての問題は、「栽培」という人為的操作によって土壌条件そのものが撹乱を受ける
とともに、栽培作物が土壌条件に適合しているかどうか、または適応し続けるられるどうかと
いう点にある。これは作物栽培の持つ本質的矛盾である。
野菜の「連作障害」(連作障害についての若干の覚書は、僕の「耕す生活」のフリーページを
参照してください)が、本格的に問題にされるようになったのは「主産地形成」政策が大々的に
進められるようになった60年代後半以降(調べてみないと、記憶が曖昧だが)のこと。
しかし問題そのものは、ヨーロッパ中世以来の三圃制やら焼き畑農業の数年毎の移動を
見れば分かるように集約化された作物栽培に伴う本質的な矛盾である。プラス工業化
された近代的農業、あるいは工業に従属した農業
(工業的農業についての僕の考えは、
ここを参照)によって複合化され、著しく先鋭化された矛盾と考えている。
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by agsanissi | 2007-07-11 07:24 | 考える&学ぶ


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