2007年 07月 28日

土を考える/化学農法・続々々々/13

16.1/23.8度、日照2.9時間、前線は太平洋南岸に後退したまま、東北地方は日本海
から三陸沖に抜ける低気圧や寒気の影響で二三日は、やや不安定な天気が続く見通し。
梅雨明けは、まだ宣言されていないが、この不安定な気圧配置が解消すれば、このまま
梅雨明けになるのかな?
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前回分に、そのまま追加書き足しをするつもりだったが、長くなりすぎるので別項を立てること
にした。

物質循環という視点から見て、最も本質的と思われることのみを指摘しておく。植物の生体
を構成する元素は16(乃至17)で、このうちの3元素、即ち炭素、水素、酸素は生体量の
99%を占めるが、大気及び水で供給される。残り13(14)の内、三大栄養素とされたチッソ、
リン、カリのほか、カルシウム、マグネシウム、イオウを含む六元素が比較的大量に要求される
成分、その他の7(8)が微量元素といわれる。カッコ内は、最近になってニッケルの必須性が
新たに注目され、+1とした。きわめて大雑把な分け方をすると、大量元素は生体を構成する
元素。これに対して微量元素は酵素の活性基として必須の元素。酵素は代謝活動のバランス
を調整する機能を果たしており、活性基とは酵素が酵素としての役割を果たすための活躍の
基である。
植物(及び動物)が生きていくためにはエネルギーが必要である。土中に根を伸ばし、空中に
茎を伸ばすためにも、土中から養分を吸収し、栄養分を体内に循環させるためにもエネルギー
が必要である。土中及び大気中から吸収した元素からエネルギーを取り出すことを異化、その
エネルギーを使って吸収した元素から生体を作ることを同化という。同化及び異化を合わせ
て代謝活動という。同化・異化のバランスはもち論、同化作用のバランス(植物生体の葉・茎・
根、花、実など各部への栄養分の配分や生育ステージに合わせた配分などの調整)や環境の
変化に応じた生体の変化などの諸活動をバランスよく調整する役割を果たしているのが酵素
であり、その酵素の活動源になっているのが微量元素と思えばよい。必要量はきわめて微量
だが、それが不足すれば生体の各種活動や反応に狂いが生じてくる。病気または病気に犯さ
れやすい状態、虫等に攻撃にされやすい状態または生体の防禦システムが働きにくい状態と
思えばよい。
チッソ、リン、カリなどの大量元素のみを投入して作物栽培を続ければ、土中の微量元素は
不足する。特定野菜のみを継続的に栽培すれば、その野菜の要求度に応じて特定微量要素は
急速に消耗する。一方、投入された肥料は全部は吸収されず、大量元素のみは土中に蓄積さ
れる。土中の栄養バランスは急激に変化し、かつその変化に応じた様々な化学変化が引き起
こされ(これは同時に土壌微生物の代謝活動の場であるから、微生物の量及び質も変化す
る)、作物の栽培環境は変化する。作物とその栽培環境の適合・不適合は、ある範囲内であれ
ば適応出来るが、野菜連作と肥料の大量投入で容易に不可逆点を超える、これが第一。
大気・土壌・海を通して物質循環のサイクルは巡っているが、特定肥料要素の大量輸入や
投入、また作物の大量輸入は、物質循環という視点から考えれば、物質循環サイクルに著しい
偏倚を引き起こすことになる。食糧の大量輸入は、食糧を構成する元素の輸出国から輸入国
への移転であり、一方的かつ継続的移転が地球規模の物質の大循環サイクルにどんな影響を
及ぼすか、これは化成肥料の利用とは直接には関係ないが、人体または家畜を通して糞尿と
して土壌に還元される以上、土壌の栄養バランスに深刻な影響を与えることは間違いない、
これが第二。
まとめると、それぞれの風土的環境の中で土壌が本来持っている生産性にはある限度がある。
その限度は、無機的・有機的に限らず肥料を利用することである程度広げることが出来るが、
土壌の復元力・緩衝力・浄化力を超えて広げれば、急速に疲弊する。化成肥料の利用は、こ
の土壌の復元力を超えて、容易に不可逆的に変化させ得るところに本質的欠陥がある

逆に、二圃式輪作、三圃式輪作は自然の復元力に時間的余裕を与えるものであり、ノーフォ
ーク式輪作はダイズ作などを取り入れ、根粒菌の働きで空中窒素を固定化して土壌の富化を
はかり自然の復元力を促進させようとするものである。
化成肥料という外部的投入物で、自然の枷を取り払うことで、一見、土壌の生産力を恣に制御
しうるかに見えたが、結局、土壌バランスの急激な変化による逆襲を受けざるを得ぬということではないか。この点、福岡さんの云う作物は肥料で取るのではなく、土で取るという考え方が
基本的には貫徹されるということではないか。
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by agsanissi | 2007-07-28 23:15 | 考える&学ぶ


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