農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

sanissi.exblog.jp
ブログトップ
2007年 10月 13日

中国の「位置」

07/10/12付の「日経ビジネス」WEB版(参照)に、「不面目な中国“世界マイナス1位”ラン
キング」と題する記事が掲載されている。<2010年日中逆転>と題する特集記事の一部で、
「2010年 日中逆転」を支える中国の実像という副題がついている。
実は、この記事そのものが、中国の大手ポータルサイトである「網易」(“NETEASE”)のブログ
に2007年9月21日付で「華木蓮」と名乗る男性ブロガーの「中国の不名誉な世界ランキング」
という記事の要約で、従って以下の引用は全部孫引きということになる。

「実像」というのは、実は一つではなくて、視点によって様々な「実像」を結ぶことが出来るし、
また統計調査は、調査方法という問題を別にしても、結果の選定の仕方によっては「お望み」
の実像を浮かび上がらせられるということを承知したうえでも、なおかつこれだけ集めてみると
いろいろな意味で興味深いので、注釈抜きで転載しておく。

1.中国の衛生医療の公平性は世界でビリから数えて4番目:
世界保健機関(WHO)による加盟国の衛生資金の調達・分配の公平性に関する総合評価で
は191カ国中188位。中国では外来診療を受けねばならない人の50%、入院しなければ
ならない人の30%が各種要因で治療を受けられない。

2.支払い能力から見て中国の大学の学費は世界最高:
絶対額で見れば日本の学費が世界最高で、毎年の教育総支出は約11万元(約165万円)で
ある。しかし、1人当りのGDP(国内総生産)で考えると、日本の学費の総支出は中国の3550
元(約5万4000円)に相当する額に過ぎない。従い、1万元(約15万円)以上もかかる中国の
大学の学費は世界一と言える。

3.中国の都市と農村の収入格差は世界一:
医療、教育、失業保障など貨幣でない要素を算入すると、中国の都市と農村の収入格差は
世界一である。例えば、都市住民は公費による医療を受けることができるし、小中学校は国家
から大量な財政支援を受けることができるが、農村住民にこのような待遇はない。このほか、
都市住民は年金保障、失業保険、生活保護を享受しているが、これらは農村住民にとって望む
べくもない。これらの要素を加えて計算すると、都市と農村の収入格差は4~5倍、ひいては
6倍以上にも達する。

4.中国の「腐敗認識指数」(CPI=Corruption Perceptions Index)は世界第71位:
<筆者註>2007年9月26日にNPO(非営利組織)「トランスペアレンシー・インターナショナ
ル」(本部:ベルリン)が発表した2007年CPIランキングでは、世界180カ国のうち中国はイン
ド、ブラジルと並んで第72位であり、ロシアは第143位だった(日本は第17位)。同じNPOが
毎年発表している「贈賄指数」(BPI=Bribe Payers Index)の2006年ランキングでは世界
30カ国のうち中国は第29位で最下位のインド、第28位のロシアの間に位置づけられた(日本
は第11位)。

5.中国の炭鉱事故による死亡者数はその世界総数の80%を占める:
中国の石炭産出量は世界の3分の1を占めているが、炭鉱事故による死亡者数は世界総数
の80%を占めている。

6.「環境持続可能性指数」(ESI= Environmental Sustainability Index)の2005年
国別ランキングで末尾に位置づけされている:
世界の144の国と地域の中で、中国は第133位にランクされている。
<筆者註>中国は2006年の同ランキングでは133カ国中で第94位と大きくその順位を上げ
た。もっとも中国の環境はますます悪化しているようにしか思えないので、筆者にはその理由が
理解できないが。

7.中国は既に地球上で大気汚染が最も深刻な国家となっている:
WHOが発表した地球上で大気汚染が最も深刻な10都市の中に、中国は北京をはじめとする
7都市が含まれ、山西省の太原市は世界第1位に位置づけられた。2006年の二酸化硫黄の
排出量は2100万トンに達し、煤塵の排出量は世界第2位であり、二酸化炭素の排出量は既に
世界第1位である。環境統計を取っている300都市の7割以上が大気環境標準のレベル3に
あり、人類の居住には適していない。

8.中国は自殺者数で世界第1位である:
中国の人口は13億人を超え、世界の人口の5分の1を占めるが、自殺者数は世界人口35%
を占める。毎年自殺者が35万人以上、自殺未遂者が200万人以上で世界第1位である。

9.中国は行政コストが世界最高の国家である:
行政の審査認可制度が高コストの主要原因の1つである。煩雑な審査許可手続きが政府機構
を膨れ上がらせて人員を増大させ、政府の行政効率を低下させるだけでなく、行政経費の支出
を膨大なものとして行政効率の低下をもたらしている。

10.中国は世界で死刑の罪名が最も多い国家である:
中国は今なお死刑を存続しており、刑法細則中の7つの条文に28もの死刑となる罪名が規定
されている。これとは別に刑法の“決定事項”と“補充規定”には29の条項に40もの死刑と
なる罪名が規定されている。これらを合計すると42の条文中に69の死刑となる罪名が規定さ
れている。

11.中国は「文盲」あるいは「半文盲」の人数が世界最多の国家である:
中国は膨大な余剰労働力を有するが、この大きな人口が長期間にわたって中国社会を悩ま
し、重い負担となっている。これと同時に世界で文盲・半文盲の数が最も多い国家であり、15歳
以上の人口のうち、1.8億人が文盲・半文盲で総人口の15.88%を占める。

以上は、この記事の筆者が引用している記事で、文中<筆者註>とあるのは引用者のこと。
以下の記事は筆者自身の追加記事。

[1] 中国の教育投資はアフリカのウガンダにも及ばず、未就学や中途退学の児童数は
世界一。
[2] 貧困家庭の子弟の大学合格で、学費手当不能による父母の自殺や一家離散の数は
世界一。
[3] 過去10年で汚職役人が国家財産500億元(約7500億円)を海外へ移して回収不能は
世界一。
[4] 中国政府の飲食や派手な浪費は年間で3000億元(約4兆5000億円)以上で世界一。
<2002年は2000億元(約3兆円)で三峡ダムの建設費と同等だった>
[5] 中国政府の公用車費用は2000億元以上で世界一。
[6] 中国の大中都市の発展は欧米並みだが、大部分の農村はアフリカの農村と同レベル、
この格差の大きさは世界でも稀。
[7] 中国の各級政府庁舎の豪華さは、米国や日本の政府庁舎も見劣りする程で世界一。
[8] 大学4年間の学費は農民家庭が飲まず食わずで41年間働いた所得に相当し、高学費
で世界第2位の日本の3倍で世界一。
[9] 農民が都市で生活するには「暫定居住証」の手続きが必要、中国人が中国に暫定で
しか住めないとは世界でも稀。
[10] 農村には今なお無数の未就学児童や倒壊寸前の危険な校舎が存在するのに、中央
テレビが新ビルを建てる予算は70億元(約1050億円)で世界最高。


以上のような事実が、「社会主義にもかかわらず」なのか、「社会主義だから」なのかは議論
の分かれるところだ。当然、そもそも「本来の社会主義ではない」という議論もある。ともあれ
事実上、共産党の一党独裁国で、党の「最終目標と最高の理想を共産主義を実現すること」
に置き、現在は「共産主義を実現するための初級段階として社会主義」を行っているというの
が自己規定だ。
19世紀半ば、マルクスと共に「共産党宣言」を書いたエンゲルスは、当時、世界最先端の
工業国家イギリスのロンドンの裏町に一歩足を踏み込むや、そこに展開される労働者階級の
悲惨な有様を、当時の統計調査をもとに「イギリスに於ける労働者階級の状態」という論文で
描き出したことがある。この記事がきっかけでマルクスと邂逅し、二人は生涯の友となる。
中国に於ける労働者階級の状態は「共産主義の理想」を実現するための自己犠牲なのか、
それとも「理想の果実」を他に供給するための単なる捨石に過ぎないのか。
尤も、その「果実」の一部は、我々自身、身辺に溢れる「Made in China」によって戴いて
いるのだが...。

参考:「イギリスに於ける労働者階級の状態」は、日本語版は全集本にしか収録されて
いないが、英語版はネット上で読めないこともない(参照)。
[PR]

by agsanissi | 2007-10-13 00:00 | 参考記事


<< ナタネ播種      ダイズの生育比較/まとめ >>