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2007年 10月 19日

栽培大豆の起源

7.4/16.1度、日照3.5時間、朝から黒雲が広がり、やや高めの気温。夜から明日早朝に
かけては雨の予報。

朝日新聞WEB版(10/17)によると
山梨県北杜(ほくと)市の酒呑場(さけのみば)遺跡で出土した縄文時代中期の土器から、
大豆の圧痕(あっこん)が発見されたと17日、県立博物館などの研究グループが発表し
た。大豆の栽培開始は弥生時代が定説だったが、9月に熊本大などが、九州の縄文後期
の遺跡で大豆の圧痕を確認。今回の発見はそれを1500年ほどさかのぼり、すでに約5千
年前に大豆が栽培されていたことを示す。地域も九州から中部へ広がったことで、大豆を
はじめとする雑穀栽培が、縄文中期に日本列島の広範な地域で行われていた可能性が
強まった」

また、栽培種の大豆の圧痕と確認した方法及び理由は
県内各地の遺跡で出土した2万点の土器を調べ、植物の種子などの跡があれば、型に
取って顕微鏡で観察する「レプリカ法」で調査。県北西部の酒呑場遺跡で出土した深鉢形
土器の取っ手から、長さ11.9ミリ、幅5.7ミリ、厚さ3.7ミリの大型種子の圧痕が見つかり、
大豆特有の「へそ」が確認された。野生種だと、水につかって膨張した場合でも最大長さ8
ミリ程度にしかならないことなどから、扁平(へんぺい)系の栽培種と判断した」
とのこと。
この「植物の種子などの跡」というのは、
土器の取っ手の中に長さ約十二ミリの豆粒状の空洞があり、そこにシリコーン樹脂を流し
込んで型を作り、電子顕微鏡などで調べたところ、粘土に交じっていた豆が焼成の際に
燃えてなくなった痕跡
」とのこと(この部分は中国新聞WEB版、10/18)。

ダイズの起源についてはいろいろな説がある。
「食用マメ類の科学」(養賢堂、2003年刊)によると、
ダイズは、今から5千年ほど前に、中国で、ツルマメから栽培化されたと考えられて
きた。中国が栽培起源地として想定される根拠は、そこに祖先となった野生種ツルマメ
が広く分布していたことと多様な在来品種が広く栽培されていることであろう

更に、中国内の場所については系統分化と伝播を考慮して、中国の東北部説、北部・中部
説、江南説、雲南説と一定しない。日本には、一般的には朝鮮半島を経由して弥生時代に
伝播したと考えられてきた。
一方、OECD発行の「最新バイオテクノロジーの役割評価における基準線となる歴史的な
考察」(参照)には、
ダイズ(Glycine max L. Merrill)はマメ科植物の栽培種の1つである。ダイズの起源、
およびダイズ生産の初期の歴史についてはよくわかっていない。Hymowitz(1970年)に
よると、おそらくダイズは紀元前11世紀頃には、現在の中国北東部で栽培されていたと
思われる。栽培ダイズは、野生ダイズ(G. soja Seib. et Zucc.)と近縁種であり、野生
ダイズと極めて交雑和合性が高い。G. soja(以前はG. ussuriensisとして知られてい
た)は、中国、台湾、韓国、そしてロシア東部のほぼ全土に自然に分布する一年生草本
植物である。G. maxとG. sojaは、集合的に栽培ダイズの自然の交雑領域を構成して
いる
」とある。ここに云う野生種ダイズとはツルマメのことである。
Hymowitz(1970年)の「紀元前11世紀頃」の栽培説は、理由は分からないが未だ定説
とはなっていないようだ。しかし今回の発見で、弥生時代に朝鮮半島を経由して伝播したと
いう従来の説は完全に否定された。また、日本で独自に栽培化したと考えない限り、中国で
の栽培化は5千年前より遡ることは、ほぼ確実だ。

より広く、日本の農耕文化の起源という観点から考えると、大きく分けて稲作文化と畑作
文化、どちらを中心に考えるかの対立がある。即ち
日本の農耕文化の起源をめぐる民族学や民俗学の分野では、二つの大きな意見の対
立がある。一つは弥生文化による水田稲作の導入によって、現在につながる日本文化の
基礎が形作られたとするもので、今一つは稲作以前から雑穀やサトイモを栽培する農耕
文化が存在し、近代まで継承されてきたとするものだ
」(「米・百姓・天皇」から、網野善彦・
石井進対談)
今日、稲作の始まりは縄文晩期まで遡ると考えられている。一方、縄文中期は動植物の
採集・狩猟経済が中心で、せいぜいドングリや木の実などを加工技術(藤森栄一「縄文の
世界」には5千年前の食パンが紹介されている)が発達したに過ぎないと考えられてきた。

今回の栽培大豆の発見が、直ちに「農耕」文化とまで評価しうるかどうか分からないが、
畑作農耕の始まりが、従来考えられてきたよりも遥かに遡り得ることは確実だ。
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by agsanissi | 2007-10-19 19:42 | 参考記事


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