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2008年 02月 09日

Encyclopedia of Life

なんと命名するのが良いか考えている。

オンライン生物図鑑作成プロジェクト,今後10年で動植物180万種を掲載」と報じた
ITpro(07/05/10)は(参照)、
インターネット・ベースの生物図鑑「Encyclopedia of Life」を作成するプロジェクトが立ち
上げられた
、と書いている。

「生物多様性:世界中の生物のホームページ」と報じたJanJan(07/05/19)は(参照)、
科学者が「生命の百科事典(EoL)」と名づけた地球規模のプロジェクトに乗り出し、地球上の
180万の生物種を記録し、生息地の喪失や気候変動の影響を追跡する
、と書いている。

180万種という規模は、どの程度の試みに該当するのか?
既知の「生物種の数」という質問は、誰にすれば最も的確な答えが得られるのか?
そんなこと、僕に分かるはずもない。
幸いにも、数理生物学が専門のロバート・メイ卿(オーストラリア)の「生物の多様性:その由来
と重要性、および保全について」と題する講演が載っている(参照)。

これまで命名され記録された生物種の数は、140万から180万種と推定される。生物種の
体系的な命名と記録は、1758年にリンネ式生物分類法で約9000種が識別されたのが
最初で、比較的最近のことだ。そして、驚いたことに全ての生物種を一つにまとめた目録は
存在しない。

要するに、鳥類、哺乳類、昆虫、脊椎動物、無脊椎動物、微生物や化石、植物など、様々な
生物種がばらばらに分類されているだけで、全体をまとめた一覧表はない。
したがって、「同じ種に別の名前を付けるという不確実性」も想定されている。

こうした問題を考慮して、命名され記録されている生物の種数を推定すると、植物、動物、菌類
なども含めて約150万種前後になるだろう。


生物種全体の中で、どの程度の割合の種の数が分かっているのか?
これは、せいぜい甘く見ても、(蓋然数)÷(未知数)の計算をする話だから、雲を掴むような話だ。

最近の私の研究では、明らかな事実と不確かさを勘案して、500万種から1200万種の範囲
が可能とした上で約700万と推定した。しかし、300万程度、あるいは1億以上とする推定も
あり得ないとは言えない。これらの推定はすべて昆虫の数に左右される。


「分からないということが、分かっている」というのが正しい。ともあれ、180万種を記録しようと
する試みが、種の総覧としては途方もない試みだということは分かる。

こんなことが可能になったのは、明らかにネット空間という、新たな仮想空間が出来たお蔭だ。
現実は依然としてバラバラのままだけれど、仮想的な統一空間を通して対象を統一的に捉える
可能性を獲得できる。僕は、これもグローバル化の一側面だと理解している。

生物種を一つにまとめて総覧することによって、何が分かるのか?
それは分からない。しかし、生命というものを、今までに見ていたのとは質的に違った眼で理解
する足掛かりを得るのではないかという予感はする。

昨日のコメントで、信州地湧仙人さんが、
幾千万種の夥しい生命のネットワーク(ガイア)が、46億年かけて築き上げてきた
重層深淵なるシステム

という言葉を使っておられるが、正にそのネットワークを垣間見せてくれるのではないか。

以前、僕は、あるメールの中で「命は尊い」という考え方を批判しながら、
次のようにガイア思想に触れた事がある。
「耕す生活」で素人の一知半解を恐れず、微生物世界のことをあれこれ書いた時に
「生命とは遺伝情報を代謝機能を通して自己複製する構造物だ」と定義しました。
物質代謝という面から見れば、生命は物質循環の一部でしかありません。
では生命を物質循環や遺伝情報に還元できるかといえば、それは出来ません。その
点に命の計り知れぬ玄妙さを感じます。
仮に、だから「命は尊い」といわれても釈然とはしません。生命とは尊いとか、尊くない
とかの人間的評価の尺度を超えたものだと感ずるだけで、評価すること自体、既に不遜だ
としか云いようがありません。
人間には「命」があります。人間を構成する細胞にも個々の「命」があります。個々の細胞
の「命」が失われても総体としての人間の「命」は失われません。逆に人間の「命」が失わ
れれば、個々の細胞体の「命」は代謝機能を継続出来ないがゆえに喪失されます。
個々の人間と人類、人類と他の生命体の間にも類似の関係があります。
その意味で、生命は、本質的に時間的・空間的に一体のものだと考えています。
この点から、ガイア思想にいたく共鳴を覚える点があります。


余計なお喋りは、これくらいだ。デモンストレーション頁(参照)が公開されているが、
これを見るだけで、如何にも楽しそうで、期待でわくわくする。

テキストのほか,画像や映像,音声,地図なども組み合わせる。世界中の専門家が協力し,
wiki方式で編集する。当初は動物,植物,菌類に取りかかり,微生物まで手がける可能性が
あるという(前記、ITproから)。

さて、なんと命名したら良い?
「ガイアの百科事典」というにはおこがましい。とはいえ「オンライン生物図鑑」では如何にも平凡
だ。「生命の百科事典」は、いいせん行っている。しかし特殊な種のあり方を超えた「生命」その
ものを扱っているわけではないから難点がある。

やや平凡だけれど、「生き物百科事典」が良いのかな。
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by agsanissi | 2008-02-09 11:28 | 覚書


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