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2008年 02月 10日

食生活の崩壊

東京農業大学の小泉武夫氏は、01年に【食の堕落と日本人】/東洋経済新報社とい
う本を書いて、食の乱れは社会生活の乱れ、ひいては民族の存亡に係ると警鐘を
鳴らしている(多少、紹介しようかと思ったが、話が長引きそうなので後回し)。

いつから、日本の家庭の食生活は手抜き料理に溺れ、出来合いの加工食品やまがい
物食品・冷凍食品に占領されてしまったのか?

統計局HPの家計調査から、都市階級・地方・都道府県庁所在市別 (勤労世帯)の
「1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出」(参照)を見ると、07/02/13公表の
食料支出の内訳が伺える。

この家計調査によると、平成18年度の月平均の全都市勤労者世帯の
消費支出総額は32.1万円、その内食料費は7.0万円に相当する。この内、どの程度
を加工食品・冷凍食品、或いは外食産業に費やしているか?
一口に「加工食品」といっても、様々なレベルのものがあり、納豆・豆腐なども
加工品なら、最近急増している冷凍野菜・冷凍食品も加工品。だから、単に加工品
の割合だけから家庭の食卓の姿が変わってしまったかどうか、もち論、正確には分
からない。こういった留保はあるが、ともかく加工品の類の内訳を見てみよう。
加工品12817円(調理済食品8556、)、菓子類9931円、一般外食12779円(学校給食
を除く)、以上の合計が35527円(50.5%)、これに飲料・酒類6931円を加えると
食料費の60%を占めている。一方、いわゆる主食の穀類は6440円、生鮮野菜5124円
を占めるに過ぎない。一般外食の何割かは穀類が占めているから、これより多少は
多いとしても高が知れている。

これをマクロ的に見るには、二通りの統計調査がある。
一つは、農水省データを元にしたもので、「わが国食料市場をめぐる環境変化」
(04/09、pdf、参照)の中の二頁目「食と生産・消費のフローチャート」(2000)
で、飲食料最終消費額80兆円に対して外食産業23.7兆円で、29.6%を占めている。

二つ目は、日本フードサービスの「外食産業データハンドブック」(参照)で、
外食産業の市場規模は75年の8.6兆円から91年27兆円まで急増、その後は漸増して
97年に29兆円とピークを打った後、2000年は27兆円、最近は24兆円規模で推移して
いる。同データに、食の外部化率=(広義の外食産業市場規模)÷(年間の食料・
食品支出額)の統計が出ている(1975-05)。
75年の28.5%から90年にかけて41.2%に急増した後、41、2%台で推移している。
2000年の外食市場規模27兆円と外部化率41%から逆算すると00年の食料・食品支出
総額は約66兆円、農水省データとの差額14兆円は何なのか分からない。
追記:農林水産省「食品産業における現状と課題(平成18年3月) 」によると、農・漁業
12.3、食品製造業37.1、外食産業22.9兆円で、合計72.3兆円とやや近い数字。この
程度の差だと、統計の取り方の違いや誤差の範囲か。参照、pdf)

また、都市勤労者世帯の食料支出のうち一般外食費の割合が二割以下なのに対して、
マクロ的には外食産業の市場規模が3-4割以上を占めているのは何故なのか?
飲料・酒類の扱い方、或いは会社などの交際費的な支出などが考えられるが、多す
ぎるのでは?

ともあれ、1975年から90年頃にかけて、すなわち経済のバブル化に伴って、日本人
の摂食パターンが急速に変わり(正確には家計調査を検討しなければならないが)、
かつバブル崩壊後も元に戻らなかったことが推測される。

一方、加工食品への依存度が長期的にどう変わって来たか、品目別家計調査の昔の
統計が見当たらないので分からない。ただ加工食品の中でも冷凍食品の割合が急増
しているので、フライなどの揚げ物類や調理済食品の割合が増加していることが伺
われる。
日本冷凍食品協会の「冷凍食品統計データ」(参照)を見ると、
冷凍食品の消費量は、1975年に38万トン、一人当たり年間消費量は3.4キロ、この内
輸入量の占める割合は6.6%だった。これが1990年には133万トン、10.8キロ、23%、
2005年には262万トン、20.5キロ、41%に増加した。
しかも輸入冷凍食品うち中国の占める割合は、1997年には45.6%だったが、06年に
は63.6%が中国産だ。中国産冷凍食品の品物をランダムに拾ってみると、えびフライ、
いかフライ、いかリングフライ、かきフライ、あじフライ、白身魚フライ、トンカツ、チキンカツ、
棒ヒレカツ、鶏唐揚、いか唐揚、かれい唐揚、かき揚、れんこん挟み揚、ハンバーグ、
春巻、たこ焼、お好み焼、練製品、焼鳥、北京ダック、カップ惣菜、魚加工品、飲茶、
ロールキャベツ、角煮、大肉包、小松菜炒め煮、いんげん肉巻、きんちゃく、湯葉、
中華丼の具、さば塩焼、さば照焼、中華串、豚ごぼう焼、豚すき、丼の具、飲茶類、タルト、
まんじゅう...etc。

また国内生産量だけで見ると、業務用冷凍食品は97年をピークに減少しているが、
家庭用冷凍食品は一貫して増加し続けている。これは業務用冷凍食品そのものが頭打
ちなのか、海外に生産拠点を移しているためなのか分からないが、何れにせよ家庭の
料理離れ・手抜き料理(こんなものは料理以前)は歴然としている。
ある禅僧の言葉、人間は所詮たんなる糞袋、その境地に達したか?!
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by agsanissi | 2008-02-10 07:02 | 考える&学ぶ


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