農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

sanissi.exblog.jp
ブログトップ
2008年 02月 14日

ミミズの寝言

表題もカテゴリも「ミミズの寝言」というのは気が利かない。本音だから仕方ない。

自ら「かんべえ」を名乗る方の「溜池通信」(参照)と題する日記サイトがある。
アメリカおたく、大統領選挙おたくを名乗るだけあって、この方のアメリカ分析は
端倪すべからざるものがある。余談ついでに書いておけば、大統領選挙については
更新頻度がやや劣るけれど「Taste of the Union」(現地在住、参照)も現地の雰
囲気を冷静に伝えてくれる。日本語サイトでは一読に値する。

オバマ氏には何と云っても勢いがある、しかも加速がついてきた。このまま逃げ切って
しまいかねない勢いだ。これが6、7月だと間違いなくオバマ氏だが、ややペースが
早過ぎるかなという印象がある。追う者と追われる者との決定的な違いに気付いているか、
気付いているとして適切に対処できるかという問題が、次の難しい課題だ。
ともあれ、オバマ氏をここまで強くしたのはブッシュ氏、偏にブッシュの「功績」だと、僕は
考えている。というより、いまにして思えば、ブッシュの強持て施政は国民の心をここまで
疲弊させたかという印象で受け取っている。

前に、米中日の関係にちょっと触れた関係もあるし(07/11/05)、「食料自給を考える」の
最終回(008/02/07)に書いたことの復習と再考にもなるので書いておく。
で、「かんべえ」氏の2/12の日記は、『暗流―米中日外交三国志』/秋田浩之/日本経済
新聞出版社の寸評。その最後に、次のように書いてある。

○最後に、ぐさっと来るような一言が書いてある。以下、書き写しておこう。
《戦士研究の大家である初老の元米国政府高官に会ったとき、彼が何気なくつぶやいた言葉
が耳の奥に残っている。
「日本は明確な戦略に沿って動くというよりも、大きな衝撃を外部から受け、それに反応する形
で進路が決まっていく国家なのではないか。明治維新後の歴史を見ると、そう思う」
その目は無感情に私を見据え、決して笑っていなかった。精緻な戦略を持たず、衝撃を受けて
からあわてて走り出す国家。軍事史に精通した彼の目には、日本はそんな危ない国に映るの
かもしれない。》
○これ、実感ですよねえ。「明確な戦略に沿って動くより、外部からの衝撃に反応する形で行動
する」のは、日本企業の行動パターンがまさにそうです。もっとも、そういうリアクティブな行動が
できる国というのは、世界的に見るとそう多いわけでもなく、一概に日本の短所だとは言い切れ
ないところがある。石油ショック後の省エネや、プラザ合意以後のアジア進出などは、その成功
例ですね。戦略がなかったから、成功したわけです。とにかく一朝事があると、日本人はメダカ
の群れのように、誰が指令するわけでもないのに、見事に同じ方向を向いて走り出す。逆に、
何もないところで自分の方向を自分で決めろといわれると、何をしていいのか分からずに困って
しまう。


引用の引用でややこしいが、《》内が「かんべえ」氏の『暗流―米中日外交三国志』からの引用
で、「困ってしまう」までが、僕の「かんべえ」氏からの引用。

僕の意見では、戦士研究家の意見は大筋では当っているけれど、ポイントは外れている。
明治維新後の歴史ではなく、明治維新に到る過程は外部的衝撃に依る連鎖反応で進路が
決まったけれど、少なくとも明治時代、いわゆる明治の元勲が生きていた時代は国家的戦略
を持っていたし、かつその戦略が意味を持っていた。それ以降は、戦略と国家統治がバラバラ
になり、戦略は統治責任の規制を外れて独り歩きし、かつ戦術的配慮によって戦略が支配され
る倒錯現象を引き起こした。戦後は、少なくとも60年代までは、戦略的志向はあったけれど、
70年代以降はそれもなくなった。
にも拘らず71年のニクソン・ショックも73年の石油ショックも、85年のプラザ合意も、結果と
してみれば「成功例」という評価は間違ってない(文句を付ければ、幾らも付きますよ)点が、僕
の最も不可思議と考えるところだ。
一方、アメリカは戦略的思考を骨の髄から好む国家で、精緻な戦略を立てて世界政策に臨む
けれど、結果として戦略が裏目に出る政策的選択ばかりしている国家と云えない事もない。

とまあ、そんなわけで食糧安全保障政策などの御旗を振ってみたところで、空振り必定だし、
だからといって必ず結果が悪いわけではないし、阿呆臭い戦略を立ててメダカの鼻面(?)を
引き摺り回して、奔命に疲れさせるよりは遥かに増しだ。

だから、どうというわけではない、要するにミミズの寝言ですな。
[PR]

by agsanissi | 2008-02-14 07:52 | ミミズの寝言


<< 中国社会事情      格差社会 >>