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2008年 04月 27日

農薬の「安全性」に関する面白いお話

「農薬」に関する面白い話が、25日発行のシンジェンタ・ホット・ニュース、Vol.80に載っている。
参照

農薬についての僕の一般的な考え方は、他でも書いたことがあるが、医薬品一般に対するのと
基本的に変わらない。必要なら使うけれど、不要なら使わない。使う必要のないような生活習慣
を心掛けるのが一番だけれど、使わないことを「原則」とするのは、時に深刻な危険を招く。
農業の場合、消費者が「無農薬栽培」を求めるのは単なる過剰保険で、「過剰」な要求に充分に
見合うだけのコストは生産者の心情なり信念なりによって負担されている。
農薬の一般的な「危険性」は、環境に対する負荷とそれを使用する農業生産者に対するもので、
残留農薬による健康被害の可能性は、事故や誤用を除けば、殆どない。
簡単に言うと、そんな風に考えている。

シンジェンタ・ホット・ニュースに福山大学梅津憲治客員教授が「農薬と安全」という連載記事を
書いておられる。今回は第10話で、有機栽培農家や消費者の素朴な質問というテーマだが、
この疑問が素朴で、真っ当で、行政の無節操というか、二股膏薬というか、八方美人というか、
要するに無原則を衝いていて
、実に面白い。
シンジェンタは世界的な農薬会社で「梅津」というのは農薬学者で、農薬会社のエピゴーネン
だろと思われる方は、最初から目を瞑って自分の世界を狭くしておくのが宜しい。

以下引用。
「先生の説明が正しければ、農薬の作物残留や国民の農薬摂取の実態に
問題がないようですね。それでは、何故、行政は“農薬を使用しない農
業”や、“農薬の使用を半分にする農業を推進するのでしょうか。
国はやはり、残留農薬は人の健康に悪影響を及ぼしていると判断してい
るのではないでしょうか。」

全国各地で開催される「食や農薬の安全性」に関する講演会に招かれて
行なった講演中に、有機栽培農家や消費者から回答に窮する素朴な質問
を受けることが多々あります。その一つが、「作物への農薬残留の実態
や消費者の残留農薬摂取の実態に関する検証結果から、残留農薬は国民
の健康に対し悪影響を及ぼしていないと科学的に言えます」いう趣旨の
説明を行なった際に、有機栽培農家から出される質問です。「本当は問
題があるのでしょ。 作物に残留する農薬は国民の健康に悪影響を及ぼ
しているのでしょう。国や地方行政は問題を隠していませんか? そう
でなければ、農薬を使用しないあるいは使用を半分にする農業を行政が
推進する筈がないでしょう!」というものです。本当に真面目に有機栽
培や無農薬栽培(現在は、特別栽培という用語が使用される)に取り組
んでおられる農家の方々に納得していただくのは容易ではありません
が、通常以下のような回答を行なっています。

『私もあなたと全く同じ疑問を持っています。国は、科学者を総動員し
て、各種の安全性データを基に、農薬ごとに残留農薬の1日摂取許容量
を決め、それに基づき作物への農薬残留基準を決定しております。
その基準を基に、「種々の農産物における農薬残留量や残留頻度がこれ
これ以下ですので、国民の健康に全く悪影響がございません。国民の残
留農薬の摂取量は健康に影響を及ぼすようなものではありません。」と
言っておきながら、一方で、“残留農薬が国民の健康に悪影響を及ぼし
ているとの印象を与える”農薬の使用を半分にする農業や有機農業を推
進するという自己矛盾を犯してきました。 「この現象をどのように説
明するのですか」と行政の代表者に質問しても、適切な答えを得たため
しがございません。講演会後にこれをやらないと “予算がとれません
ので!” という冗談めいた答えが返ってくることもあります。』
以上のような返答だけでは、一生懸命に有機農業や特別栽培に取り組ん
でいる栽培農家の方が納得しませんので、私なりに以下の内容の追加説
明を行なっています。

『農薬や残留農薬は消費者の健康にとって問題がないといくら説明し
ても、やっぱり農薬はいやだ。農薬を使用せずに、あるいは使用を半分
にして生産した特別栽培農産物や有機栽培農産物に対するニーズは消
費者の間に常に存在します。そのようなニーズが存在するなら、行政と
して“キチンとそれらに対応した基準やガイドラインを作りましょう”
ということが実情と思われます。農薬の安全性とは少し別の観点から、
行政の中に“農薬は安全”と言う課と“農薬の使用を減らしましよう”
と主張する課とが隣り合わせに居を構えるという『奇妙な現象』が生じ
ていると私は理解しております。

それにしても、皆様は苦労し、手間隙をかけて有機栽培農産物や特別栽
培農産物を作っているのですから、通常の作物より高い価格で付加価値
を付けて販売して下さい。また、有機栽培であるという理由のみで、
人の健康に良いとは言えませんので、生産する作物の安全性には慣行栽
培の場合と同様に十分に注意を払って下さい。』
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by agsanissi | 2008-04-27 05:30 | 参考記事


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