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2008年 06月 03日

インフレ「回帰」か?

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5/22号のEconomist誌に右のような風刺漫画とともに
「戻ってきたインフレ」(参照)という記事が載っている。
・中国、インド、インドネシア、サウジでは8~10%の物価
上昇が起きている。この夏には、世界の人口の3 分の2
が二桁インフレに苦しむことになろう。
・全世界平均のインフレ率は5.5%と1999 年以来の高さ。
主因は食料と石油価格の高騰だ。
と書いている。
日本の消費者物価指数は、このところ前年比で1%内外
上昇しているが、生活実感と比べて低すぎるだろうか?
ともあれ、この傾向が続くとすれば(ほぼ間違いなく続く)、
日本では20年ぶりのインフレ時代への復帰ということになるか?

70年代には原油の高騰をきっかけに、消費者物価が20-30%も上昇した。80年代末には
地価及び株価は暴騰したが、消費者物価は相対的に安定していた。地価及び株価のバブル
崩壊とともに、約20年にわたるデフレ時代を経験した。70歳代以下の人には前例のない経験
だし、逆に20歳以下の人はかつてインフレ時代を経験したことがないという、歴史的には特異
な時代ということになる。
Economist誌は、
・現在、困ったことに世界の実質金利はマイナスである。
・米国の金融緩和と新興国の固定レートは危険な組み合わせである。通貨切り上げは大変
であるし、金利を上げてインフレを悪化させることもある。自由化で投機資金が巨大化する
怖れもある。それでもいずれ金融は引き締めへ、通貨は上昇に向かうはずである。
と書いている。

一般的なインフレ対策ということになれば、金融引締めか財政削減策ということになる。
しかしこの点では、引締め余地も削減余地も殆どない。実質金利は限りなくゼロに近いが、
それでも金利を引上げれば膨大な国債の金利負担が増加し、国家財政そのものが破綻して
しまう可能性がある。一方、景気後退局面で財政拡張こそ要求され、削減余地も殆どない。
更に困ったことに、今回のインフレ回帰の主因が「食料と石油価格の高騰」にあるとすれば、
国内で打つべき手立てはきわめて少ない。比較優位のない食料生産(農業)は止めてしまっ
て、工業生産に特化するほうが国際的な厚生水準の向上に資するとか、金さえあれば「自由
に輸入できる」という立場が、俄かに怪しくなってきた。
尤も、穀物や石油価格の高騰の影響は、70年代・80年代に比べれば、または新興工業国
の負担増加に比べれば、はるかに軽い。たとえば、国内総生産(GDP)に対する原油消費額
の割合は、
・1980年に6.0%
・1995年に0.7%
・2004年に1.8%(以上は「知られていない原油価格高騰の謎」から)となっている。
円高が進めば、この負担はさらに低下する。ドルの信認低下とあいまって、円高の長期的な
趨勢は変わらない。

ということは、逆に合理化によるコスト上昇の吸収余地は殆どないということになる。
一方、食料は、長期的には土地も食糧生産者も絶対的に不足しているし、短期的に唯一拡大
余地のある米生産は、実質的に過剰生産に陥っており、生産制限を解除すればコメ価格が
暴落する可能性がある。

さて、どうする??
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by agsanissi | 2008-06-03 07:25 | ミミズの寝言


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