カテゴリ:糖尿病( 38 )


2009年 06月 03日

糖尿病と歯周病

「糖尿病ネットワーク」のサイト(参照)に、歯周病は「糖尿病の合併症」との記事が載っている。
四月に開かれたサンスター歯科保健振興財団と米国のジョリスン糖尿病センターの共同主催による
国際医療フォーラムで、日米の糖尿病と歯科医療の専門家が研究報告や意見交換を行い、新たに
歯周病と糖尿病との内的関連が確認されたというもの。
日本糖尿病学会は「糖尿病治療ガイド2008-2009」で、既に、歯周病を「重大な合併症の一つ」としている。

歯周病については、Wikiを参照
一般的には、歯の健康は健康維持に欠かせないとは分かっている。
糖尿病と歯周病の関連は、具体的には「血糖コントロールが悪いと歯周病に悪影響を及ぼし、歯周病がある
と血糖コントロールに悪影響を及ぼすという悪循環におちいる」というもの。
「糖尿病の治療をしているのに血糖コントロールがなかなか良くならない」という人は、歯周病に原因がある
のかもしれない。歯周病を治療することで歯周組織の炎症が改善すると、インスリンが働きやすい状態になり
血糖コントロールが改善する可能性がある。



07/06に出版された「糖尿病学/基礎と臨床」(参照)には、
2型糖尿病と歯周炎の好発年齢(ある年代以上では歯周炎の発症率が極めて高くなる、ということかな?)
が重なっているうえ、環境的危険因子が複雑多岐であるため、議論の分かれるところである。しかし、2型
糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、歯周炎の発症頻度が有意に高いことが立証されている。
1332.p
と指摘されるにとどまっている。
糖尿病と歯周病の関連をつなぐ内的な機序(古い辞書には、この言葉の意味は載ってないな。excite辞書
(大辞林第二版、参照、には「しくみ、機構、メカニズム」とある)について、
脂肪細胞が分泌し肥満に伴って生体内での濃度が上昇するアディポサイトカインが歯周炎の増悪に関与
する可能性が考えられる。...
最近、歯周炎症に伴って産生されたサイトカインがインスリン抵抗性惹起分子として作用する可能性が報告
されている。慢性歯周炎患者では、血中TNFα濃度が上昇する。TNFαは、肥満を伴う糖尿病患者では
脂肪細胞から多量に産生されるが、癌患者や急性炎症を伴う場合にも血中濃度が上昇することが知られて
いる。
1333.p
と指摘されている。
TNFαについてはWikiを参照

要するに、糖尿病では歯周病の発症確率は数倍高くなるし(2-10数倍)、歯周病に羅病している場合は
血糖コントロールが思うようには行かないということ。
血糖コントロールの基本は、薬またはインスリンの施用を別にすれば、食事と運動だけれど、歯周病を
伴う(またはその可能性のある)場合は、その治療が不可欠だということ。
更に糖尿病および歯周病は、それぞれ独立して老齢化とともに発症割合が高くなる。
[PR]

by agsanissi | 2009-06-03 07:24 | 糖尿病
2009年 05月 14日

抗酸化サプリメントの功罪

「食品安全情報Blog」に「抗酸化物質はヒトにおける運動による健康増進影響を阻害する」(参照)という
記事が掲載されている。
同記事を、そのまま引用しておくと
運動は長生きや2型糖尿病のインスリン抵抗性改善に役立つが、同時にミトコンドリアによる有害とみなされ
ている活性酸素の発生も増加させる。そこで抗酸化サプリメントの運動への影響を検討した。ボランティアの
若い男性に4週間の運動介入とビタミンC(1日1000mg)とビタミンE(1日400 IU)の組み合わせを摂ったと
きのグルコース注入率(GIR)で測定したインスリン抵抗性への影響を調べた。トレーニング歴のある20人で
もトレーニング経験のない19人でも運動によるインスリン抵抗性パラメータの改善が見られたのは抗酸化サ
プリメントを摂らない場合のみであった
。」
というもの。同記事の元論文は次のPDFファイル参照
いくらか解説が必要だが、それは後ほど。
[PR]

by agsanissi | 2009-05-14 09:26 | 糖尿病
2009年 04月 08日

すい臓にも甘味受容体

△2.1/12.3度、日照10.5時間、快晴、日差しは温かく、確実に春の訪れを感じる陽気になったが、風は
ひんやりと冷たい。朝から山と下界を行ったり来たり、慌しい一日だった。
・午前中は原料野菜の供給計画の協議会(10-12時)、僕は個人的には短根ゴボウとカボチャの栽培を
かなり有望と見た。
でんぷん価の高いほくほくした美味しいモノを作るという点で、カボチャの栽培は基本的にジャガイモと同じ。
昔から関心を持っていたが、十数年前に市場出荷して二束三文に買われ、以来、家庭菜園規模でしか栽培
してない。ところが、最近はメキシコ産カボチャの品質が落ち、また「国内産受用」の風潮もあってカボチャの
需要が高まっているそうだ。価格的にも魅力的、というわけで真剣に考える価値ありと見た。

話は違うが、WEB版朝日に「甘味感じる細胞、膵臓にも 糖尿病治療に役立つ可能性」(参照)という記事が
載っている。
 舌にある甘みを感じる細胞(甘味受容体)が、膵臓(すいぞう)にもあることを、群馬大生体調節研究所の
小島至教授と中川祐子助教の研究グループが突き止め、7日(日本時間8日)、米国の科学誌プロスワン
に発表した。

 膵臓にはβ細胞と呼ばれる細胞があり、糖を分解し、インスリンを分泌して体内の血糖値を調節することが
分かっている。甘味受容体が膵臓にあることは、かつて一部の学者が唱えていたが、小島教授らは08年に
研究を始め、マウスのβ細胞に甘味受容体と同じ塩基配列の遺伝子があることを発見した。
 舌の甘味受容体は甘みを感じる機能しかない。だがβ細胞にはインスリンを分泌する働きがあるため、受容
体への刺激が分泌を促している可能性が高いと結論づけた。
 糖尿病になるとβ細胞は糖を分解せず、インスリンを分泌しにくくなる。膵臓にも大きな負担がかかる。この
ため食事療法で糖を制限する治療方法が一般的だ。だが、今回発見された甘味受容体に特定の化合物で
刺激を与えれば、甘みを感じるだけでインスリンを分泌することが分かり、膵臓への負担が少なくてすむ
いう。

論文を見てないから、正確なことはわからないが、この記事には若干(特に下線部に)の混乱があるように
感じる。甘味受容体、β細胞、すい臓のインスリン分泌機序の相互関連が正確には分らないから、具体的な
批判は控えるが記事そのものには、多少の混乱があるように感じる。
とはいえ、興味深い記事(というより「論文」)で注目には値する。

今日は、少々、疲れ気味で、写真を掲載して簡単なコメントをつけて、このブログ記事を終わらせようと思ったが、
Googleリーダーを走らせていて、ふとこの記事が目に付いたので変更した。
[PR]

by agsanissi | 2009-04-08 23:06 | 糖尿病
2009年 04月 06日

糖尿病の医療負担(その2)

「糖尿病は薬なしで治せる」という本に、面白い話が載っている(79.p)。
ある学会で糖尿病の新薬について臨床試験の結果を発表している先生がいました。この薬を飲むと、食後
二時間の血糖値が50ミリグラムくらい下がるという発表をとくとくとおこなっていたのです。
そこで私が、「食後血糖値を下げるなら、何も薬を飲まなくとも、30分ほど歩くだけで、50ミリグラム以上
下がります。比較対照群に運動のみというのも置いたのですか?」と質問したのです。
そうしたら、その先生は予想しない質問だという憮然とした顔をしていました。


この話が、誰にでも通用するかどうかは分らない。しかし僕の場合は、何をどのくらい食べたかに関わらず
食後60-90分後に2800歩前後をやや速歩で歩けば血糖値が50(mg/dl)下がることは分っている。といっ
て、必ずしも比例的に下がるわけではない。すなわち5600歩あるけば100さがるというわけではない。
実験的には、そこまでやったほうが良いし、やるべきだが、血糖値の検査用紙が高いし、実用的にはその
必要がないから、僕はやってない。

昔は、空腹時血糖値が重視された。夕食を食べた後、10時間以上何も食べずに「空腹」状態で測った血糖
の値で糖尿病群と正常群、境界群に分けている。しかし血糖値の上がり方、下がり方には、インスリンの出方
やインスリン感受性の違いによって色々なタイプがあって、糖尿病の合併症の発症を予防するという点から、
最近は食後の高血糖状態が、特別に注目されている。
糖尿病に伴う動脈硬化というのがあるが、一般に加齢に伴って動脈硬化は進む傾向にあるが、糖尿病患者
の場合、高血糖によって動脈硬化が促進され心筋梗塞や狭心症になる確率が、同一年齢の正常群の何倍か
高い。
アメリカでの大規模追跡調査の結果、薬やインスリン注射で血糖値をある程度コントロールしても、心筋梗塞
や狭心症の発症の確率は必ずしも下がらないということが分っている。この点で、食後の高血糖状態、特に
200を超える高血糖状態の持続が血管内壁を損傷し、動脈硬化を促進するのではないかと注目されている。
(続く)
[PR]

by agsanissi | 2009-04-06 05:01 | 糖尿病
2009年 04月 05日

糖尿病の医療負担

今朝は2時に目覚めてしまった。昨日のジャガイモ播種で、多少は疲れているはずなのに、気分が昂揚
しているのか、まあ21時頃には寝たから充分かと起きてしまった。
それから乾布摩擦をやって、体重と体脂肪を測ったら52.5キロ/19.4%とほぼ変わらず。食事量と
運動量のバランスが、ほぼ推計通りのようだ。真向法(参照)で身体を伸ばしてから、一日交代でやっている
ヨガのポーズと筋肉トレーニング(8種類から10種類程度)の内、今日は筋肉トレーニングをやる。
といって、特別な道具を使うわけではない。腕立て伏せ、腹筋やら屈伸(両足または片足)、スクワットなど。
時間にして30-40分、15回から30回程度、「ややきついかな」と感じる程度に続けている。
最初は、僕にとっての「医療行為」として初めたが、今では食事や排便と同じ日常的生活習慣になった。
この他には、農作業では意図的・積極的に身体を動かすように心掛けていることと夕食後の5-6千歩の速歩
が「運動」のほぼ全部。

昨日、役場から「医療費のお知らせ」という通知を貰った。これで二通目で、昨年10月と11月の糖尿病に
係わる医療費で薬代7830円を含めて68740円。3割負担だから、実際の医療費は約23万円になる。
これで医療行為として、実際に何をやったかというと検査以外には薬を処方したことと別の医療機関への
診断所見を書いたくらいなもの。三度の診察で、内科医は糖尿病専門医でないのは勿論、三度とも別の
医者で、カルテと検査数値をみて『糖尿病治療ガイド』をみれば分る一般的内容を、多少杜撰に述べただけ。
ただ、これは実情を書いただけで、僕には医療批判の意図は全くない。
「糖尿病ネットワーク」の4/1の記事(参照)に、<7割の糖尿病患者さんが「医療費の負担が重い」と感じて
いる
>が載っている。僕のように、殆ど何も治療行為を受けていない「患者」の負担でさえかなりの高額なの
だから、これで入院やインスリン療法を受けたり、合併症を伴う場合の負担は百姓などをやっていては、
とてもじゃないが賄えない。
また「糖尿病の医療費」には、米国臨床内分泌学会がまとめた報告書「米国の糖尿病合併症の現状」(参照
が紹介してある。それによると、米国の糖尿病合併症に関わる直接的な医療費は229億ドル(約2兆3千億
円)だそうだ。患者一人あたりの負担は平均1万ドルで、自己負担額は年間1600ドル(約16万円)に上る。
[PR]

by agsanissi | 2009-04-05 04:54 | 糖尿病
2009年 04月 03日

糖尿病/その後

「糖尿病は治らない」というのが定説になっている。
すい臓の機能低下にともなうインスリン不足の状態は、すい臓の機能低下がある不可逆点を超えると
回復不可能だという意味だと解釈している。
すい臓機能は、色々な要因で規制される。民族的、遺伝的要因やすい臓癌のような病的、生活習慣
に伴う使い過ぎ、加齢に伴う経年的などが主なものだ。
一方、インスリンの効き目を規制する「インスリン感受性」のほうは、仮にすい臓機能が低下したにして
も食事内容や運動などによって体質改善を図れば維持または向上させることは可能だ。
ところが厄介なことに、インスリン不足の状態を放置すると、インスリンの感受性が悪くなる(インスリン
は出ているのだけれど、その働きが悪くなる)=「インスリン抵抗性」の状態が増悪する。

インスリンの働きが悪いとどうなるのか?
食べた食物が、ブドウ糖までは分解されるが、身体の細胞がエネルギーとして吸収・利用できずに、
「糖」のまま血中に取り残されて高血糖の状態が続く。この高血糖状態の持続が血管や末端の神経を
傷つけ、色々な障害を引き起こす。

食事をすれば、誰でも血糖値は上がる。
甘いものを沢山食べたから糖尿病になったと誤解している人が多い。糖尿病の「糖」は、ブドウ糖の
「糖」で、砂糖の糖とは違う。食事を取れば(間食、おやつ、ジュース類などを含めて)、たんぱく質以外
は直接・間接にブドウ糖に変わるから(たんぱく質はアミノ酸に分解される)、多少の時間差はあっても
血糖値はあがる。正常と病態とは、血糖値のあがり方とあがった後の下がり方が違う。
「糖尿病専門医にまかせなさい」によると、「正常者は毎日検査しても、空腹時血糖値が一瞬たりとも
110を超えることはない。また、食事をして更にその後ケーキを三個食べてから測ったとしても、血糖
値は必ず140未満だ。しかし、糖尿病の人はそうはならない
」(23.p)そうだ。
というわけで「糖尿病治療ガイド」では、血糖コントロールの管理状態を優、良、可、不可と分けて空腹
時血糖値110未満、食後二時間血糖値140未満を「優」としている。更に日々の血糖値は(特に糖尿病
患者の場合は)食事内容や運動によって40や50はすぐに変動するから、ある程度長期的な血糖値の
平均的値を反映するものとしてヘモグロビンA1cという%値を採用し、5.8%未満を優、5.8-6.5未満を
良としている。

さて、それで去年の9月の特定検診で初めて糖尿病と診断され、10月末、11月中頃、今年の3月4日
と三回診察を受けた。最初の診察で「入院」を勧められたが、それは断って、一か月分の血糖降下剤を
処方された。二回目の診察では更に三か月分の血糖降下剤を処方されたが、血糖値の推移から判断
して食事と運動療法で、充分に血糖値は管理できると判断して血糖降下剤を飲むのは一ヶ月でやめた。
ここまでは、去年の12/13に「まず、何から始めたか?/完」(参照)で書いた。
その後の変化は、
・体重、56.0(12/11)、52.0(4/3)、前に「54-56で止まるのでは」と書いたが、これでは止まらず
52-53になって、やっと止まった。
・BMI指数、22.1(12/11)、20.8(4/3)
・腹囲、71(12/11)、64(4/3)
・ヘモグロビンA1c、これは医者でしか測れないから、診察時の値を挙げておくと
9.5(9/10)、9.4(10/30)、8.8(11/11)、6.1(3/4)、最近の血糖値は空腹時は90前後、食後二時
間値は110前後だから、ヘモグロビンA1cは5%台に下がっているはずだ。

これで、血糖値は正常人とほぼ同じレベルにまで下がった。現在の食事と運動量が僕の身体にとっては
バランスの取れた状態のようだ。
生涯、体内にいつ爆発するか分らない地雷または不発弾を抱えて生きていくものと覚悟している。別段、
それで深刻に構えているわけではない。こうした一種の緊張感が、むしろ生活に張りを与えてくれている
と言ったほうが良い。
[PR]

by agsanissi | 2009-04-03 06:46 | 糖尿病
2008年 12月 27日

国民健康・栄養調査

12/25、厚生労働省の平成19年度の「国民健康・栄養調査」の概要((参照)が公表された。
19年の重点調査項目に「糖尿病」と「休養(睡眠)」が指定されているが、まず「結果の概要」の
第一部で「糖尿病等の状況」が分析されている。
それによると、「糖尿病を強く疑われる人」+「可能性を否定できない人」の割合は、男では
平成9、14、19年と5年毎の調査で18→23→29%と急増している。
前に(12/10)、今年から40~75歳に義務化された「特定検診」の結果、2000万人を超える
該当者が出て来る可能性がある
と書いたが、これをあっさり超えて2210万人と推定される。
5年前の調査に比べて、「糖尿病を強く疑われる人」は150万人、「可能性を否定できない人」
は440万人、合せて590万人も増加した。その前の5年間に比べて増加率は18.2から36.4
%に倍増した。異常な急増ぶりといって良い。
年齢別に見ると、20歳代、30歳代ではまだ一割に満たないが、40歳代を境に急増するのは
社会的立場の変化に伴う生活習慣の変化や運動不足に加えて、糖尿病の発症までに10-20
年かかり、血糖値の上昇が緩慢に進行するという事情があるのだろう。
また40-50歳代では、、「糖尿病を強く疑われる人」の割合のほうが、「可能性を否定できない
人」の割合よりも少ないのに対して60歳代を境に、この割合は逆転する。(続く)
[PR]

by agsanissi | 2008-12-27 06:03 | 糖尿病
2008年 12月 19日

どう「怖い」のか?/続々

2.血糖値が下がっても合併症は起きる
著者の指摘するもうひとつの誤解は、「血糖値を下げれば合併症の心配はない」というもの(同
前26.p)。
このへんの表現は、やや微妙で、血糖値を「下げても」合併症は起きるのかと受け取りかねな
いが、「血糖値を下げるのは合併症を起こさないためだ(もう起こっている人ならそれを進めな
いためだ)。このことを糖尿病の人は絶えず頭に叩き込んでおく必要がある。合併症を起こさな
いためには、安定した血糖値を継続する必要がある。一時的に下げても持続しなければ意味が
ないのだ。具体的には空腹時120以下、食後二時間180以下だが、特に食後二時間の血糖
コントロールが難しい
」(26.p)ということだ。要するに、合併症を防ぐには血糖値をあるレベル
以下に安定的に維持しなさいということだ。身近にいる患者を見ていると、「禁欲的」イメージが
つきまとうのか(50-60年前には庶民の当たり前の生活スタイルだったんだけれど)、血糖値
が下がると「安心して」菓子をボリボリ食べたり、夕食を腹いっぱい食べたりする人が多い。
先日、話を聞いた人も10年糖尿病「治療}を続けているけれど「夕食後には200にも、300にも
上がることがあるもの」と話していた。ヘモグロビンA1cも7%台というから、決して経過は良好
とは云えないし、最近「腎臓」の検査結果に問題がありそうで、精密検査が必要といわれたとの
こと。「人工透析をやるようになったら、もうお仕舞いですよ」とは云うものの、果たしてどれだけ
真剣に血糖値コントロールに注意を払ってきたのか?!

著者は、「何度も繰り返すが、27年間にわたる糖尿病治療の経験から得た信念はたった一つ、
糖尿病の治療はなんとしてでも合併症を防ぐこと、だ
」(93.p)と書いておられる。
僕も(と書くのは、多少、おこがましいが)、糖尿病の「怖さ」は色々指摘できるけれど、本質的な
「怖さ」は合併症に尽きる
と考えている。
まず、自分が糖尿病だと診断されて、問題になることは血糖値をコントロールして合併症に陥る
のを防ぐこと、血糖値のコントロールのためにインスリン注射または内服薬を利用するか、食事
療法・運動療法を続けるか(または併用するか)、それ以外には何もない。当面、血糖値が高い
という検査結果が出ているだけで、他には何の自覚症状もない(糖尿病性の動脈硬化の初期
症状が出ている、または出ていたが、自分では年齢のせいと見誤った)。
仮に、医者として何が出来るかというと、検査の他には注射または内服薬を処方するか、食事
療法・運動療法のプログラムを患者と協力して作成するか、合併症の兆候を発見するための
検査結果を注視するか、それ以外には何もない。
更に云えば、血糖値をコントロールできるのは、本質的には本人(の食事と運動療法)だけで、
医者はもち論、薬や注射ではない。この点を誤解している患者も多いのではないか?!
まず、糖尿病予備軍と診断されても、半数以上は(何も自覚症状がないから)放置している(厚
生労働省調査)、これは論外。次に医者に診てもらっているから、注射や内服薬を処方している
から、「治療」しているという「誤解」または安堵感。その挙句、合併症を併発させる例が多いこと
は、以下の数字が示している。
糖尿病性網膜症が起こる比率は血糖コントロールの良し悪しで比較すると、10年後で血糖コン
トロール不良群は21%、良好群は6%、20年後で不良群は52%、良好群は13%である。腎
症では、20年後で不良群は75%、良好群は53%である(同前27.p)。
当然、これらの数字は内科医の「治療」を受けている患者の実態である。著者は、この本の最
終章を「こんな治療、あんな治療」と題して「驚くべき治療の実態」としてお粗末な、或いは間違
った治療法のお陰で合併症を深刻化させた色々な例を挙げている。これに対する警鐘の意味
で「糖尿病専門医にまかせなさい」という表題をつけている。
しかし糖尿病予備軍を含めて1870万人と推定される対象者に対して、糖尿病専門医は3300
人、糖尿病療養指導士12000人(「糖尿病学」892.p)しかいないそうだ。10年後、20年後の
高齢者の国民健康状態を想像するに肌寒くなる現状だ。
[PR]

by agsanissi | 2008-12-19 16:30 | 糖尿病
2008年 12月 15日

どう「怖い」のか?/続

1.糖尿病は「治らない」
著者の指摘する誤解のひとつは、「血糖値が下がれば糖尿病は治る」という点(同22.p)。
インスリン分泌能には、ある不可逆点があって、それを超えれば決してもとには戻らないという
(「糖尿病になった人は正常な人に比べてすい臓機能は四分の一以下にまで落ち込んでいる
のだ。四分の一以下にまで機能低下が起きると、正常への回復は全く望めない
」、同25.p)。

先日、もう10年もインスリン注射を続け、毎日四回(朝昼夕の食前と寝る前)血糖値を測定し、
毎月診察を続け、毎年一ヶ月の「教育入院」を受けているけれど、「未だに治らない」という人に
話を聞いた。
「私なんか、病院のために働いているようなもんです」と云っていた。他の料金は知らないけれ
ど、検査用紙代だけでも毎月18000円前後だななどと計算してしまった(Ⅰ型糖尿病患者の
場合、一日二回分の検査用紙は保険申請できるが、Ⅱ型患者では適用外。医者の処方が
あれば二回までは適用されるのかな?)。
インスリン注射を続けると、血糖値が急降下する「危険」があるので、注射液量を加減するため
血糖値測定を続けているので、多分、注射と血糖値測定はセットで処方しているのだろう。
『糖尿病とたたかう』には、30年ほど前までは経口血糖降下剤やインスリン注射による低血糖
事故が怖かったと書いてある。
・「日本の津々浦々で悲劇が起こっていた。経口血糖降下剤による重症低血糖事故だ」37.p
・「経口血糖降下剤の低血糖がこわいのは、それが長く続くことだ。...ひとたび低血糖になる
と、薬によっては二日も続く。ブドウ糖を注射して、頭もはっきりして「もう帰っていいよ」と病院
でいわれて帰宅すると、次の朝、意識不明でひきつけることもある
」41.p
・「最もこわいのは、脳がやられることだ。...経口血糖降下剤による低血糖がひどくて長く続く
と、脳の高次の部分(意識的活動をつかさどる知的な部分)は、もうもとにもどれないだけの変化
を受けてしまう、不可逆的変化だ
」41.p
尤も、これは糖尿病そのものの「怖さ」ではなく、薬害事故によるこわさだ。特定機能の昂進や
抑制を目的にした薬には、大なり小なり副作用が伴う。こういう事故を防ぐためにインスリン注射
と血糖値測定をワンセットで処方しているのだと思う。
(以下追記)
通常は、拮抗ホルモンの働きで血糖値はある程度以下には下がらない。ところがインスリンや
薬の過剰投与やアルコールとの複合作用で急激に低下すると(50-60以下)、発汗や空腹感
脱力などを通り越して言語障害、錯乱、痙攣、昏睡状態に陥ることがある(「糖尿病学」1013-
14.p)。
体内で、最も大量にブドウ糖を使っているのは脳で、血糖値が高すぎても低すぎても、脳の働き
は悪くなり、血糖値70-140がベストの状態だそうだ(「糖尿病専門医にまかせなさい」59.p)。
僕は、医者から「日本糖尿病協会」の発行する「糖尿病健康手帳」を貰ったが、その表紙の裏
には大きく「私は糖尿病です」と書いてあり、その下に「私が意識不明になったり、異常な行動を
示したら、私の携帯している砂糖(ブドウ糖)、またはジュースか砂糖水を飲ませてください..

と書いてある。
低血糖のこわさは余談。インスリン注射を10年も続けても「未だに治らない」という誤解。注射
や血糖降下剤は糖尿病の治療薬ではなく、そもそもそんなものはない。すい臓機能を強化して
インスリン分泌能を回復させるわけではなく、外部からインスリンを注入するか、弱ったすい臓を
刺激してインスリンを搾り出すか、いずれにせよインスリンの浪費でしかない。
一方、食事療法や運動療法の場合、血中の糖の供給を減らすか直接に消費するか、或いは
細胞のインスリン感受性を高めるかインスリンの節約につながる。余病その他、何らかの事情
で食事療法や運動療法を続けられないか、あるいはそれだけでは効果がない場合に補助的に
薬やインスリン注射に依存することはありうるが、後者が主要な治療手段というのは「治療ガイ
ド」の方針にも反している。食事療法や運動療法を怠って、いくらインスリン注射や薬の投与を
続けても、穴の開いたバケツに水を注ぐようなもの。「それでは良くはなりませんよ」と話したら、
びっくりされた(尤も、いまどき食事療法・運動療法が基本だという話をしてないはずはなく、適
切に強調してないか、本人が上の空か何れかだろう)。
糖尿病治療を10年も続け、毎年「教育入院」を受け、未だにこんな「誤解」があるとは、教育が
悪いのか受ける側が悪いのか、いずれ両様相まっての結果だろう。
「教育入院」で何をやってるんですか?と聞いたら、「血糖値の調整だ」とのこと。病態に合せた
食事を出して、血液検査をして血糖値などを測定しているのだろう。運動をしたり、運動プログラム
を作成したり、糖尿病の勉強を受けたりはしないんですか?と聞いたら、「そういうものはない」
とのこと。いささか不可解な話。

ついでに指摘しておけば、読んだ本の一冊として紹介した『糖尿病は薬なしで治せる』という本
は、中味はともかく、二重におかしな表題だ。(続く)
[PR]

by agsanissi | 2008-12-15 08:48 | 糖尿病
2008年 12月 14日

どう「怖い」のか?

c0048643_1840382.jpg
昨日は昼前から雨になった。午後はやや冷え込んで
雪に変わった。とはいえ今年は温かい。
去年は、12/06(早い畑は11/26)に、大根が凍って
駄目になったが、今年は早朝凍っても日中は生気を
取り戻し、未だにピンピンしている。

*****************************


人間の身体は、食事と運動によって絶え間なく再生産されている。「俺は運動しないよ」と言って
も、細胞レベルでも、器官レベルでも、絶え間なく運動している。再生産過程そのものが運動だ。
生理学では、再生産過程を代謝という。代謝は同化と異化に分けられる。簡単に、同化は身体
の再生産過程、異化は再生産に伴う老廃物の排出過程。代謝にはエネルギーが必要で、食事
で補給される。
基礎代謝量は、意識的運動を伴わない場合の、最低レベルの必要エネルギー量で、体重60
キロ当たり一日に概ね1300~1600カロリーとされる(「人体機能生理学」599.p)。ナチス
の収容所では、ユダヤ人を三ヶ月間生かしておくため(労働のため)に、一日の摂取量を900
カロリーと計算して「食事」を供給したと何かの本で読んだ記憶がある。ドイツ的几帳面さに呆れ
た覚えがある。基礎代謝量を下回れば縮小再生産に陥り、やがて生命は終焉を迎える。

糖尿病は糖の代謝異常で、糖代謝を媒介するインスリンの相対的または絶対的不足で起こる。
絶対的不足(Ⅰ型糖尿病という)では、直ちに生命の再生産機能が損なわれるため、インスリン
を外部から供給しなければならない。相対的不足の場合(Ⅱ型糖尿病といい、日本人の糖尿病
の95%以上はこれに属する、「糖尿病専門医にまかせなさい」29.p)は、血液の高血糖状態が
持続されるだけで、最初は、明確な自覚症状はない。
問題は、高血糖に伴う糖尿病合併症だが、「どんなに血糖値が高くても1~2年では合併症は
起こらず、長期間高血糖が続かなければ(最低3~5年)決して発症しない。しかし、一度悪く
なるとどんどん進む
」(同前、66.p)。更に、糖尿病の発症にはその前段がある。
12/10(ジョーズとどっちが怖い??)に書いたように10年以上にわたって空腹時血糖値が
徐々に高くなる時期が続き、いわゆる境界型の時期も9年間も続いている(「糖尿病専門医に
まかせなさい」25.p)。その間は、殆ど自覚症状がない。知らぬ間に忍び寄ってきて、長年月に
わたって高血糖状態はジワリジワリと、放置すれば不可逆的に進行し、ある点を越えると、急に
病状は悪化する。
「糖尿病専門医にまかせなさい」の著者は、糖尿病には二つの重大な誤解があって、この誤解
のために「出だしから治療に失敗してしまう人が跡をたたない」と書いている(22.p)。
(続く)
[PR]

by agsanissi | 2008-12-14 20:22 | 糖尿病