カテゴリ:ミミズの寝言( 104 )


2010年 12月 17日

余談ついでの余談/もののはずみ

余談ついでに余談を書いておく。
今晩のニュースで、来年度の岩手県のコメの生産目標の割り当てが決まったようなことを伝えていた。
景気変動に応じて、時に「減産」政策を採ることはあって良い。しかし40年以上にわたって便々と減反政策を
続け、農水省入省以来「減反」政策以外の政策を知らぬままに定年退職を迎えた職員も少なくないなどという
役所は、存在意義がない。そんなものは農政でもなんでもない。
民主党の農政は、自民党の農政とは「根本的に転換」したなどと阿呆なことを抜かす東大農学部の教授が
おったが、依然、減反政策を便々と続けるを見れば、単なる提灯持ちに成り下がったとしか言えない。
ちょっと極端なことを言えば、国は外交と軍事(あるいは安全保障)だけを担当して、他のすべての公的政策は
地方の政治に任せれば良いというのが、僕の持論だ。
地方にそれだけの能力があるかどうかが問題だが、地方を再編し、国のいらなくなった官僚を再配置し、地方に
責任と役割と権限を分担すれば、能力は自ずと付いてくる。
それどころか、戦後日本には本質的な意味での外交・軍事の政策はないに等しいのだから(菅内閣は、この最も
弱い環をさらけ出した!)「国とはなにか」と改めて考え直し、国と地方の再編成と役割分担を質的に転換する
大改造を提起するグランドヴィジョンが求められている。
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by agsanissi | 2010-12-17 20:32 | ミミズの寝言
2010年 12月 14日

世論調査

NHKと朝日新聞の世論調査があいつで公表された。片山内閣への期待と失望を、そのままなぞっているかのようだ。

善意だけで政治が前に進むかに夢想する間抜けで、かつその間抜けさ加減が、とことん政治家への信任を失わせたことに対する
自覚さえ持たない破廉恥漢と特定の主義主張を持たず(政治家に取って、決して悪い素質ではないが)、調停主義を唯一の拠り所
にして政治的経歴を積み重ねて頂点を目指してきた男が、不幸にも彼には最も相応しくない条件(グランドヴィジョンを明示し、
明確な政治的リーダーシップを発揮しなければならない時期)のもとで頂点にたってしまった不幸とが、民主党という政治的野合集団に
最後の止めを刺すきっかけになれば、それは多少とも彼らの「功績」とみなせるだろうか。

マスコミは、一般に衆参両院の「ねじれ」を政治的ねじれ現象などと「浮ついたこと」をいっているが、国の外交と経済的進路をめぐる
政党間の主義主張の曖昧さとねじれ現象とが、現下の本質的な「ねじれ」だ。小沢排除の底流には、この「ねじれ」解消に向けての
意識的・無意識的工作があると見ているが、果たしてどうか??
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by agsanissi | 2010-12-14 08:51 | ミミズの寝言
2010年 06月 02日

稚拙な、余りにも稚拙な

時間的経過を追ってニュースを見ていないので詳しいことは分からないが、
今朝一番の「続投に意欲」との記事を見て、6時31分の「つぶろぐ」に
結局は、「辞めざるを得ない」ところに追い詰められるが、自分で辞める決断すら出来ないのは最悪だ。
リーダーに求められる最大の能力は「意思決定」だが、他の資質はともかくとして、最も欠けているのは
この点だ。村山氏は、辞するべき時だけは過たなかった。

と、急いで書いた。急いで書いておかなければ、辞任の方が先になる可能性があると思ったから...。

・日米合意の直後に、「少なくとも県外」というのは、私の理想であり、かつ信念ではあったがは、北東アジアの
現状と現在の日米関係のもとでは、私の信念は到底実現する能わず、もはや首相の地位に留まることは私自身
の信念に反する故に、辞任致します。と云って辞めれば政治家としては二流乃至一流半に留まったかも知れない。
・一流であるためには、日・中・韓及び露を中心とした北東アジアの安全保障及び経済相互協力協定体制の確立
を目指すと同時に憲法と日米安保条約の基本的見直しを前提に、日本の安全保障問題に真っ向から取り組む
必要があった(国際的・国内的に、その前提条件が整っているかどうか?)。
・それが出来なくとも、「少なくとも県外」との信念を以て、自ら真剣に日米交渉に臨み、真剣な努力を払い、
その上で「日本の現状ではやむを得ず」日米合意に至らざるを得なかったが、これは私の信念に反するので
首相の地位に留まることは出来ないと云って辞めれば、少なくとも一流半ではありえた。しかし改めて勉強した
ところ抑止力と沖縄基地の重要性が初めて分かったというのでは、首相としては、単なる阿呆と云うほかない。
・しかもなお、恋々として、「続投の意思」を語り、党内、特に参議院議員の危機意識に「詰め腹を切らされる」
形で辞めさせられるとは、阿呆かつ三流としか云いようがない。
・最後に、小沢氏を道連れに自ら辞任する格好だけを維持しえたのは(更に議員辞職によって格好を繕った
のは)、首相の個人的美意識のなせる技に過ぎないだろう。仮に、これが小沢氏から自立した党を確立する
端緒になったとすれば、瓢箪から駒の成果で、鳩山氏の唯一の「功績」ということになる。
・これで、自民・民主と党は違えども、三代に渡って元首相の孫の政治家が(うっかり忘れていたけれど、子供を
入れると四代だった追記)、稚拙と云うには、余りにも稚拙な形で辞任に追い込まれたことは、政治的リーダー
を選出する日本の政治システム自体に、基本的な欠陥があることを暗示していないだろうか??
・少なくとも、かつては上手く機能していたシステムが、何らかの機能不全に陥っていることを暗示していないか?
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by agsanissi | 2010-06-02 22:23 | ミミズの寝言
2009年 09月 24日

政官関係の構図

日経ビジネスOnline(09/09/24号)に恭順「民主党シフト」を敷いた財務省の深謀遠慮という記事
参照)が載っている。今後の民主党政権の政官の関係を予測する材料になるのかどうか、未だ分からない。
理屈の上では、官僚組織は自立した専門家集団であり、国権の最高機関である国会の意思決定に基づき
内閣の指揮の下に政策執行する行政機関である。
しかし半世紀以上に及ぶ自民党政権の下で、政官癒着を前提に立法過程そのものが官に牛耳られてきた。
国家運営の主導権を官僚から取り戻し、政治家主導の国家運営を組織していくには、政治家自ら政策立案
能力を持たなければならないし、官僚の情報独占を打ち破らなければならないし、官僚を使いこなす指導力
を発揮しなければならない。、それには何よりもまず、明確な戦略的プログラムを持たなければならない。

実際に、そのようなプログラムがあるのかどうなのか?それはともかく、当分の間、政治家と官僚との主導権
を廻るせめぎ合いは続く。しかしこれだけ高い内閣支持率を持っていれば、官僚側は、取敢えずは恭順姿勢
を鮮明にし、組織防衛を図るには、時期を待つ他はない。そんな中での財務省の「深謀遠慮」は注目に値する。
記事の要点は、次の通り。
・財務省もいち早く民主党への恭順の意を示していた。霞が関の中でこれほど早く人事的に民主党への
距離感を明確にした役所はほかにない。
・(夏の財務省人事で)がぜん注目を浴びたのは、官房長に就任した真砂靖[前主計局筆頭次長、昭和
53(1978)年入省]と、総務審議官となった香川俊介[前主計局次席次長、昭和54(1979)年入省]で
ある。
・民主党の代表代行(当時)、小沢一郎が竹下登内閣で官房副長官をしていた時、香川は小沢の秘書官
を務めていた。それ以来の付き合いがあり、民主党と財務省の最も太いパイプの1つである。
・昭和51~52(1976~77)年の2期を飛ばし昭和53(1978)年入省の真砂が大抜擢された。その理由
は、真砂が鳩山側近の1人で、このたび環境大臣に就任した小沢鋭仁と極めて近い関係にあることだ。
そして、もう1つ、日本銀行にも幅広い人脈を有していることのようだ。
・特別な死守すべき理念や政策を持たぬ財務省。その財務省にとって、最も重要な使命は組織防衛であり、
OBを含めた財務省ファミリーを死守することに尽きる。それゆえに、財務省はどのような時代であっても時
の権力と“添い寝”せねばならない運命にある。

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by agsanissi | 2009-09-24 21:56 | ミミズの寝言
2009年 09月 18日

足元にある「脱官僚依存」の落し穴

JBpress09/09/17号にオバマ「勝負演説」の罠と鳩山政権の限界と題する記事が載っている(参照)。
筆者は、谷口智彦氏、日経ビジネス誌主任編集委員などを経て2005年8月~2008年7月外務省外務
副報道官
などを勤めた方だ。大臣・政治家のスピーチライトの内情に詳しい方と見てよい。

古来、弁舌ひとつで一軍隊にも匹敵する力を発揮し、国を動かす迫力を発揮した名演説がある。
ルビコン河を前にしたシーザー、ピラミッドを背にしたナポレオン、装甲車上のレーニン、ヒットラーへの
戦いを挑むチャーチルの国会演説、傷心の国民の心を揺さぶるケネディの就任演説。
大統領候補に名前が出るか出ないか、そんな時期からオバマの演説には弁舌一本で「米国民の心」を
鷲掴みにしようとする迫力があった。
谷口氏の論考は、「演説」というものを通して、「鳩山政権の限界」を探ろうとするものだ。

論考のポイントを摘記すると、
・9月9日、米国東部時間のプライムタイムを選んで連邦上下両院合同会議を開かせたオバマ氏は、慣例
破りのスピーチをしに出かけた。
大統領が議会に出向いて演説をするのは年頭教書の時だけだというのが、長年のしきたりである。これを
破ったオバマ氏は、医療保険改革を巡る出口の見えない膠着を、弁舌一本で打破しようとの心算だった。
・聞き終えた議員連は、ヤツはエラいと、ゴリゴリ共和党ですら言っただろう。
言わざるを得なくさせた力とは、文字通り「敵千万といえども我行かん」のその、乗り込み方それ自体にあっ
た。自分の言葉と迫力で相手を圧伏し尽くそうとする勝負の挑み方と、それができると信じる自信ならびに
自恃の強さにあった。
・翻って東京の環境である。オバマ並みの芝居を打てる役者は、あれは世界中探してもそう居ないから、
わが国に求めるのはないものねだりになる。
それならスピーチは、誰が書くのか? 専門的職能を発揮するスピーチライターは、いま現在の東京に存在
しない。どっかにいるだろうと思われるかもしれないが、本当に、1人もいない。
・早い話、総理は国会答弁を誰に書かせるのか? 行政の長として、各省庁の実務を踏まえた答弁になら
ざるを得ないはずで、放っておけば今までどおり、役所の官房総務課がまとめてきたゴチック体縦書き、
定型文の応答要領
に依らざるを得ぬハメになる。
・勢い総理以下大臣は無主語の文章を伝えるマウスピースとなり、積もり積もっては、自分で考えるクセを
失う。「おい、発言要領(一方的に言うための原稿)は?」、「応答要領(想定問答)はないのか?」と、役人に紙を
持ってこさせるだけに終わるなら、官僚支配の打破どころではない。進んで洗脳してくれと言っているような話
になる。福島瑞穂氏などがどうするか、お手並み拝見である。
・言葉に力を持たせるとともに、政策の平板を排し、大局に沿った方向でメリハリをつけていくことをその都度
いちいち、徹底的にやるくらいの心構えと、大臣ないし総理の意向をていした権限の集中が必要になる。
そのため必要な人材として役人に睨みが利き、政党マーケティング的見地からする広報上の勘もそこそこ
利くような人は、そこらに転がっているのなら、ぜひお会いしてみたい。


枝葉末節にこだわり、新政権の発足に難癖をつける愚論などと決め付けてはならない。
大臣の顔ぶれを報じ、公約実現に「全員野球の布陣」などと浮かれている場合ではない。
洪水のように押し寄せるルーチンワークの中から、真に重要な戦略的ポイントをつかみ出し、国民の心を
揺さぶり政策実現への共感を獲得するには(「この国を本当の意味での国民主権の世の中」に変えていく
には、国民を政治の「客体」に留めていては駄目だ。国民を政治の「主体」に変える覚悟と制度的革命が
不可欠だ)官僚に依存しない、独自の政策スタッフ集団(それが新たな「官僚」システムになりあがらない
ようにするには、どうすれば良いか?)を育てる必要があるからだ。果たして、その準備と体制はあるのか。
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by agsanissi | 2009-09-18 05:54 | ミミズの寝言
2009年 09月 17日

早くも「公約違反」か?

今朝は10度を下回る、9.3度。9日以来二度目の10度以下。快晴。
尤も、和野山は、昨日まではまだ10度以下になってない。これまでのところ本村よりは、
最低気温はやや高く、最高気温はやや低い。
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14日に「都市近郊農業の試み」の中で、
戦後、自民党政権が掲げ、我々自身が支持してきたいき方を変えなければならないという、かなり深刻な
転換を遂げようとしているのかも知れない

と書いた。
確かに転換点に立ってはいるが、どのように転換していくのか、上手く転換していけるのか、それは未だ
分からないという思いがある。
発足した鳩山政権を、多くの国民は醒めた目で見ているのか、どうだろうか?
少なくとも、首相自身が興奮し、高揚した気分でいるほどには、その気分は感染していないのではないか?
総理に選出をいただいた瞬間に、日本の歴史が変わるという、身震いするような感激を感じ、一方では大変
重い責任を負った。この国を本当の意味での国民主権の世の中に変えていかなければならない。そのため
には、いわゆる脱官僚依存の政治というものを今こそ世の中に問うて、そしてそれを実践していかなければ
なりません


僕は、首相のこの言葉をいささかも疑ってはいない。真摯な思いが、高揚した気分の中から迸り出た言葉と
受け取っている。しかし、その足元では、早くもそれを掘り崩す策動(意図的なものか、惰性による役人的
習性のしからしめる処か、意図的策謀なのか、それは未だ分からない)が始まっている。
日経ビジネスonlineの記事「鳩山内閣早くも公約違反? 隠れた官僚支配の温床壊せず」(参照)は、
そんな策動のひとつを明かしている。
ポイントだけを紹介しておく。
(首相の)記念すべき就任会見自体が「官僚支配の象徴」であり、「公約違反だ」と指摘する声が上がって
いる。
・就任会見への参加が許されたのは、内閣記者会に加盟する各社の記者、海外メディアの記者10人程度、
そして、日本雑誌記者会に加盟していて、国会記者証を持つ5人の雑誌記者である。
・(この会見の割振り・人数などを差配したのは)官邸関連の広報業務を取り仕切る、内閣官房内閣広報室、
その中の、内閣報道室である。内閣官房の官僚は、各省庁からの出向者が多い。
・(この点を民主党本部に確認したところ) 「就任会見はこれまでとは違って官邸主催になりますので。えっ、
雑誌は5人なんですか? 知りませんでした…。一応、従来の党本部での会見のように、雑誌、海外、ネット
を入れてくれと要求はしたんですがね…」
 つまり、今回の就任会見では、“主権”が民主党ではなく、内閣官房という組織に属する官僚の手に渡って
しまった
。その結果、オープンな会見が実現されなかったということである。
・日本の官僚組織は、首相官邸から省庁に至るまで、記者クラブという組織に独占的に取材をさせる「特権」
を与えて来た。そうすることで、役人の思惑に即した発表を横並びで一斉に国内外へ流布することができ、
コントロールもしやすい。会見以外の個別の「リーク」を利用すれば、意に反する報道を抑えることもできる、
と。(いつの世でも、情報操作と情報独占は、官僚支配の要だ!
・「民主党政権は、会見開放という自分の足下の改革すらできないのであれば、霞が関全体の官僚打破
なんて到底できるはずがない」

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by agsanissi | 2009-09-17 05:59 | ミミズの寝言
2009年 09月 15日

自民党政治の敗北の社会的背景

日本政治の研究が専門の政治学者ジェラルド・カーティス氏が
日経ビジネスonlineに「日本に二大政党制は合わない?」と題するコラムを載せている(参照)。
自民党政治の敗北(単なる「自民党の敗北」ではなく、自民党政治を支えてきた戦後社会のあり方、我々自身
の生活様式の変貌に伴う敗北なんだという意味で使っている)の社会的要因の分析とみなしてよい。
日本政治を永年にわたって研究してきただけに、さすがに慧眼と思う。
全く同意見の点も多いし、それどころか「外から」見た視点、外国人でなければ見逃すような視点もある。
部分的には、昨日「都市近郊農業の試み」の中で書いた「時代の風潮」の変化、または「自民党政権が掲げ、
我々自身が支持してきたいき方を変えなければならないという、かなり深刻な転換」の背景とも重なり合う
面もあるだろうか。
以下、簡単な摘記を載せておく。
・私が子供の頃、アメリカの大都市では、たいてい同じ民族がまとまって暮らしていた。イタリア系、アイル
ランド系、アフリカ系のアメリカ人が独自のコミュニティーと教会をつくる。東欧系のユダヤ人も、同質的な
社会に住み、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で祈りを捧げていた。移民一世を中心に形成された都市部の
コミュニティーは、日本の農村と同じような共同体意識の強い社会だったのである。
・アメリカ経済が発展し、価値観が変わるにつれ、地元を離れる人や、外部からの人口流入が増え、共同体
としてのコミュニティーのまとまりは薄れていった。有権者は民主党のマシーン政治に恩義を感じなくなり、
地元の政治ボスは次第に票を集められなくなった。ボス政治への批判も高まり、民主党内部の改革が進ん
だ結果、1960年代半ばにはマシーン政治は事実上崩壊した。
半世紀後の日本でも似たようなことが起きている。村落の共同体は、急速に弱くなった。子供は大きくなと、
村を出て行く。テレビの地震報道を見ていつも衝撃を受けるのは、農村部で倒壊した家屋に住んでいるのが、
ほとんどが高齢者だという現実だ。
・都市部ではかなり前から民主党の支持が高まっていたが、自民党が見逃したのは、もしくは対応を怠った
のは、地方が自民党のアキレス腱になったという現実だ。2007年の参院選と2009年の衆院選では、長年
自民党を支持してきた地方の有権者が反乱を起こし、自民党敗北の大きな原因となった。
・麻生総理が衆院解散後にまずしたことは、一般有権者への演説ではなく、支持団体幹部への挨拶回り
だった。自民党がいかに社会から離れてしまったかを象徴する行動だと思った。自民党の黄金期には、
日本医師会をはじめ、全国規模で影響力を持つ強大な支持団体が、地方支部を通じて自民党の公認候補を
応援し、票をまとめてくれた。それが各候補の勝敗を左右したのである。今、組織票の力は確実に衰えて
いる。政治家は以前よりも格段に露出を高め、有権者に直接支持を訴えなければならない状況にある。
・公職選挙法は、海外では考えられない非民主的な選挙運動規制を定めている。文書図画の頒布制限、
候補者による有料広告の全面禁止、事前運動の禁止、戸別訪問の禁止に加え、さらに公示の日からインター
ネットを使った選挙運動まで禁じている。現代民主主義で許されるはずの有権者と候補者の交流、候補者に
関する情報の入手が制限されているのである。
・選挙規制の多くは、旧自治省(現総務省)が、日本人は政治的に未熟で封建的な風習が残っているという
理由で導入したものだ。戸別訪問など、非民主主義的な価値観に訴える選挙運動を規制しようとしたので
ある。
・小選挙区制の導入で党内競争がなくなると、実力だけでなく、政治家としての志さえないことも多い二世議員
が議席を守るようになった。アメリカをはじめ、ほかの国にも世襲議員はいるが、日本が特殊なのは、自分の
意思ではなく、親の意思で政界に入った二世があまりにも多いことだ。日本は政治に情熱のない政治家
多すぎる。
・他の多くの民主主義国と違い、今の日本には社会の分断や、人種・民族・宗教・地域・言語の対立が事実上
存在しない
。自民党候補と民主党候補が、基本的に同じ多数派層に支持を訴える選挙区では、かなり似通っ
た政策を掲げることになる。政策をめぐって世論が二分されない限り、政策の対立もない。政策や基本理念に
これといった違いがないため、選挙を党首の人気投票に変えようとする圧力が働く。

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by agsanissi | 2009-09-15 07:57 | ミミズの寝言
2009年 09月 10日

戦略的オンチ

YOMIURI WEBから(参照
――首相官邸、9日午前11時5分 麻生首相が秋山昌広・海洋政策研究財団会長との面会で、ついに後悔
の念を口にした。
 「(昨年)10月に選挙をやっていれば、こんなに負けていなかったかもしれないが……」
 「選挙の顔」と期待された首相は昨年9月の就任直後の衆院解散を模索したが、「政局より政策」と景気対策
を優先して先送り。今なお党内では「あの時解散していれば」との恨み節がくすぶる。
 首相は秋山氏に対し、「(解散すれば)金融恐慌に対応できなかったし、経済の立ち直りはなかった。(選挙)
結果を犠牲にして、経済のためにやってきた」と、自らに言い聞かせるように振り返ったという。
 しかし、首相の“悔恨”を聞いた自民党職員は吐き捨てるように一言。「まだ分かってない。麻生さんを選んだ
こと自体が間違いだった
んだ」(中略)
 約1時間の会議終了後も、小池百合子・元防衛相が待ち構えたテレビカメラの前で無言を貫くなど、15人の
出席者の口は一様に重かった。「それぞれ好き勝手に発言されると混乱した印象を与える」(出席者)とかん口
令が敷かれた
と見られ、ピリピリした雰囲気。
 しかし、山崎拓前副総裁が昼のテレビ番組で言い放った。「2世、3世、官僚出身は一切総裁選に立つべき
ではない」


いまさら実証の方法はないが、解散・総選挙の時期としては、総裁選出直後、年末、今年3-4月の三つの
時期(民主党にとっての最悪期)が可能性としては考えられた。
1.総裁選直後は、新たな総裁に選出されたが、「国民の信任・負託を得ていない」という大義名分があった。
2.リーマン・ショック後の解散は、誰が考えても、まず不可能。一連の対策と方針を明確にした上で、年末に
解散する可能性は有り得た(対策と方針の出来不出来次第)?
3.いまから振り返ってみれば、3-4月時点での解散がもっとも賢明な選択(敵の最弱点を攻めろ
4.そのどの時期も、自ら選択できなかったことは、政治的決断力の欠如と戦略的オンチを明らかにしている。
5.自民党の敗北は、遅かれ早かれ、歴史的には避けられない帰趨ではある。麻生以外のものであれば、
また仮に麻生であっても、解散総選挙の時期を見極める戦略眼があれば、もっとましな負け方をすることは
不可能ではなかった。
6.このような時期に、このような総裁を選ぶのは、「良かれと思って選択する手段が、すべて裏目に出る」
という滅び行くものの必然的選択なのかもしれない(安部、福田以来の三代を通して)。
7.しかし大敗したことは、自民党にとっては、むしろ「幸い」した可能性もある。
8.次の総裁に、誰を選ぶか、選べるかが、鍵になる。
9.とはいえ、このまますんなり民主党・自民党の二大政党制へと移行しうるとは考えられない(民主党の
内部分裂の可能性、反小沢派の胆力次第か?)。

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by agsanissi | 2009-09-10 05:48 | ミミズの寝言
2009年 09月 05日

国を食潰すシロアリ集団

「脱官僚」が民主党の改革の主軸になるスローガンだ。
しかし「官僚」集団は、国家経営にとって不可欠の集団だ。国の動脈であり、神経であり、ある意味では
骨格でもある。

政治家(=議員集団)は、選挙によって就職も出来れば、失職もする。政権与党の「長老」ともなれば、
議員職は世襲化された「家職」ともなり、この家職に群がる膨大な利権集団は、あたかも国の中の国、
幕藩体制時代の分権化された「藩」のごとく、ある種の独立国を形成する。だが、そこに至る前の陣笠
集団は、一回限りの使い走りの足軽集団に過ぎぬ。生き残るか、討ち死にするか、小泉旋風の教訓は
民主党にとっても同じこと。
幕藩体制は、明白な法制化された分権国家体制だが、現在の政財官の癒着構造を基軸にする利権
集団は、許認可権限を梃子に異常に中央集権化された国家体制の中に巣食う目に見えぬ「分権」国家
だ。

創生時代の自民党は、鳩山一郎の流れを汲む党人派と吉田茂の流れを汲む官僚派に分かれ、党の
実権は、次第に「吉田学校」の出身者=高級官僚から政治家に転職したプロ集団に独占され、彼らは
また党内派閥の長ともなり、政権与党の「長老」ともなった。議員職を重ね、党内階梯を一歩一歩登り
様々な職域の議員職集団を抱えた派閥の幹部に成り上がると共に、出身領域の官僚職を超えた広域
の利権集団が形成された。
流れとしては「党人派」に属する田中角栄は、このような利権集団の形成論理を、徹底的に単純化し・
純化させて、「金」の力によって、かつての党人派と官僚派の「対立」を止揚し、族議員に分権化された
党内派閥を事実上「解消」してしまった。
以来、「長老」も「派閥」も空洞化し、政財官の癒着構造を基軸にする支配の論理そのものは変わらぬ
まま、これを動かす中枢神経は変質し、動脈硬化を惹起し、やがて小泉「改革」によって、自滅への道
を準備した。

政財官の癒着構造の一角、「政」権与党が交代した。民主党は「脱」官僚を謳っている。しかし官僚抜き
には、政治家は中枢神経を失い、動脈を失い、手足を失ったも同然だ。官僚の協力なしには、一日でも
国家経営は出来ない。では官僚の何を「脱する」のか?

「政」を握った民主党に出来ることは、財と官との癒着構造にメスを入れることだが、その癒着の実態は
どんなものか?
その実相の一部は、一昨日の「参考記事」にあげた財部誠一氏の「財務省は民主党政権誕生を利用しろ」
に描かれている。
「予算の全面見直し」を迫る民主党に霞が関が戦々恐々としている。
 なぜか。
 ある財務官僚の見立てはストレートだ。
 「霞が関が浮き足立っている理由は、業界団体とグルになった予算にメスを入れられたら厄介だからです。
そんなことになれば、再就職の機会が激減してしまう」
 お粗末な話だが、それが霞が関の現実だ。個人レベルでは人品骨柄、能力ともに優れた官僚が少なから
ず存在する。滅私奉公の四文字を体現したような見事な役人ぶりを発揮する人たちも現にいる。だが役所と
いう組織の論理は腐りきっている。
 彼らの「省益」とは「天下り先をどれだけ確保するか」だけだと断じていい。ことに役所の実効支配を受けて
いる特殊法人や公益法人への天下りが悪辣なのは、役人OBが働かずに高額の報酬や退職金を掠め取っ
ていることに尽きる。
 人口が減り、経済成長もままならず、地方経済が崩壊しているのに、役人は天下り先の確保、拡大に最大
の価値を置いている。役所の権限拡大とは予算を大量に獲得して、それを関係諸団体に流し込み、そのおこ
ぼれをOBに横流しする
。これが役所の実態だ。


自民党は、高度経済成長路線を主導する一方では、このような癒着構造の生み出す利権の中に絡め取ら
れ、政権与党の地位を恒久化し、半ば世襲化してきた。財部氏の描く癒着構造は、中央から地方に広がる
無数に絡み合った複雑な網の目のほんの一角を示すに過ぎないだろう。
民主党が、ここにメスを入れていけば、その複雑な実相が次々と浮かび上がって来るだろう。
この実相が生み出す利権構造に絡め取られず、独立性を保ち、その構造をどこまで公開し、解体できるか?
それが問題だ。
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by agsanissi | 2009-09-05 06:43 | ミミズの寝言
2009年 09月 03日

政治改革への覚書

・戦後日本のポピュリズムの経験(美濃部都政)
・ポピュリズムの自己満足と財政破綻(公約実現と財政再建の両立の可能性)
・小さな政府の実現とポピュリズムの両立は、どういう方法で可能か?
(そもそも「小さな政府」を目指すのか?官僚主導を政治家主導に転換することが主眼ではない。
中央政府の許認可権限の大胆な削減と実務担当者への実質的権限の委譲が問題なのだ)
・官僚支配にどういうメスを入れられるか?
◆参考記事、官僚は国の借金で自らの懐を肥やしている⇒財部誠一「財務省は民主党政権誕生を利用しろ」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090902/178293/?ml
役所の仕事に内包する無駄⇒大前研一「こんな無駄を省いて、政策実現にまわせ」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090901/177962/?ml
⇒郷原 信郎「官僚主導の法令遵守からの脱却」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090830/203747/
・日米関係&日中関係の再編成
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by agsanissi | 2009-09-03 07:51 | ミミズの寝言