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2009年 06月 10日

「がんとの闘いの戦略変更」

食品安全情報Blog」に「エッセイ:がんとの闘いの戦略変更」(参照)との記事が掲載されている。
解説に、
患者や政治家はがんの「治癒」をますます熱望する。しかし根治させようとするより制御しようとするほうが
良いかもしれない。特に播種性のがんでは。
外来害虫や病気を「絶滅」させるのが不可能で、農薬を含む各種対策により統合的管理を行うということと
パラレルに、がん細胞を一つ残らず殺すために厳しい治療を選ぶよりは管理するための人体にダメージの
少ない方法を選んだ方がいいかもしれない、という提案。
(高齢者ならなおさら)

とある。
ここで「播種性のがん」とあるのは、癌の「転移」の仕方による分け方で、
・リンパ行性
・播種性
・血行性
の一つ。がん細胞が周辺の臓器に、タネを播くようにして増殖していく「転移」の仕方をいうそうだ(参照)。

「癌」に関する知識は皆無だから、この記事を論評する気はいっさいないけれど、
特に「外来害虫云々...」以下の、多分、Blog開設者の解説が興味を引いたので転載しておく。

元記事は、NATURE(09/05/28、参照)で)
A change of strategy in the war on cancer」という表題で、
Patients and politicians anxiously await and increasingly demand a 'cure' for cancer.
But trying to control the disease may prove a better plan than striving to cure it, says
Robert A. Gatenby.

The German Nobel laureate Paul Ehrlich introduced the concept of 'magic bullets'
more than 100 years ago: compounds that could be engineered to selectively target
and kill tumour cells or disease-causing organisms without affecting the normal cells
in the body. The success of antibiotics 50 years later seemed to be a strong
validation of Ehrlich's idea.(フリーの紹介は、これだけで有料の全文は読んでない)

何事によらず、存在するものには、それなりの根拠と他の諸物とのある種の関連の中で存在するのであって
決して「孤立して存在」しているわけではない。ある特定のものが、周囲とのバランスを欠いて増殖する場合、
・それが「害」かどうかは、人間的な視点であって、自然の生態系との関係では必ずしも「害」とは見なせない
・バランスを失うような「増殖」には、それなりの根拠があり、増殖の「結果」にのみ注目するのは一面的だ
という考え方からすれば、
「がんとの闘い」も
外科的、薬事的な方法で、「癌を撲滅」するという考え方よりも
・まず癌細胞に侵されないような生活習慣
・自己の免疫系の働きを活発にするような諸方策
という考え方のほうが馴染みやすい。

糖尿病の基本的な治療法は
運動と食事」だというのも、同じ考え方から派生する。
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by agsanissi | 2009-06-10 10:33 | 参考記事
2009年 05月 17日

「悲鳴を上げる中国農業」

09/05/14の日経ビジネスONLINEに「悲鳴を上げる中国農業」という記事が掲載されている(参照)。
中国農業が悲鳴を上げている。土と水の汚染、担い手である農民の疲弊は、国内消費量の20%に当たる
野菜を中国からの輸入に頼る日本
にとって他人事ではない
。」
という書き出しで始まる今年2月に『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)を上梓した愛知大学の高橋
五郎教授とのQ&Aだ。

餃子事件をきっかけに「食の安全」意識がにわかに高まり、国産食品の志向が高まっているそうだ。
「食に関する意識調査」(参照)によれば、買い物時に「国産品を意識する」人は八割強に及ぶとのこと。
これは衰退する日本の農業従事者としては歓迎すべき幽かな光には違いない。とはいえ、僕はまだ表面的で
皮相な関心に過ぎないと突き放してみている。
Q&Aの中で、高橋教授は「中国農業を研究しようとしたきっかけ」について、
僕の出発点は日本の食生活があまりにひどいことから始まっているんです。現代の食生活は「おふくろの味」
ではなく、加工食品を中心とした「袋の味」が幅を利かせています
。ただ、食品の加工度が高くなればなる
ほど、原材料は見えにくくなり、食品の安全性にかかわるリスクは大きく広がる。
こうした加工食品の多くは中国産の原料を使用し、中国で製造しています。じゃあ、中国に多くを依存している
野菜や果物の生産現場はどのようになっているのか。食料自給率が落ち込んでいる今、中国農業の現場を
見なければ、食生活の崩壊や自給率改善について何も言うことができない
。そう考えたことがそもそもの動機
でした。

と語っている。
「食に関する意識調査」では、「国産品」かどうかを意識するのは、もっぱら野菜、米、肉類などで「ふくろ」物
のような隠れた輸入品には、ほとんど目が向いていないし、袋物の加工食品に頼る割合は増える一方だ。

それはともかく、高橋教授の話は「一面的な誇張」じゃないかしらと疑わしくなるような話に満ちているが、
人民日報日本語版(09/05/14)に引用された「岐路に立つ中国のクリーン技術」の記事(参照)を読むと、
まんざら一面的な誇張とは云えないようだ。
中国の科学技術は岐路に立っている。中国は、ここ30年のかつてない経済発展を基盤に、環境をさらに破壊
しないという状況下で国を建設する困難に直面している。
現在、中国の3分の1の河川が汚染され、4分の1の国土が砂漠化し、3分の1の土地が土壌侵食と干ばつと
なり、4分の3以上の森林が消えている。都市部では石炭燃焼により発生した鉛や水銀、二酸化硫黄、自動車
排気ガスが大気中に含まれ、住民たちはそれらを吸い込んでいる。30秒に1人の割合で汚染による奇形児が
誕生している。

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by agsanissi | 2009-05-17 21:02 | 参考記事
2008年 06月 10日

「流れ」は変わるのか?

昔、多摩川で泳いでいて(多摩川でも泳げる時代があった!)深みにはまって溺れて、危うく
助けられたことがあった。兄貴に、「溺れたら慌てないで、底に沈むまでジッとしていろ。底に
着いたら、トンと底を突けば浮かんでくるから」と教えられたことがある。苦境に立たされた時
は、半世紀以上たった今でも、この言葉が鮮明に蘇ってくる。

日本農業は、どん底に辿りついたのだろうか、どうだろうか?まだ、五年や十年はかかるのか?
NBonlineの6/05号(参照、要無料登録)に山崎養世氏の「農業を日本の先端産業にする」が
載っている。山崎氏については、高速道路問題で面白いことを云ってる人としか知らなかったが、
「道路問題と良く似た農業問題」という視点から、今回は三回に亘って農業問題を論じている。
・5/22号「迫り来る“危機”に気づかない日本」
・5/29号「このままでは日本は食べていけない」
・6/05号「農業を日本の先端産業にする」

どういう点で、道路問題と似ているのか?
戦後復興期から高度成長時代にかけて作られた農地法や食糧管理制度や農協などの仕組
みは、国民を飢えから救うという使命を果たし、食糧増産に成功しました。しかし、米の自給に
成功し、日本が豊かな社会になってからも、戦後復興期に作った制度をそのままにしてきた
ために、日本社会の変化にも世界の変化にも、対応する力を失っているのです。
」(参照

「農業を守る」ために、後生大事に護持してきた古い革袋(制度設計)では、もはや日本の食糧
を安定的に確保する見通しも危うくなった、ということだ。

これからの世界経済の変動によって、食料を輸入に頼るこれまでの日本経済のあり方は大変
危険である
ことを説明しました。欧州諸国が1970年代の米国による大豆の禁輸をきっかけに
食料自給率を高めたのに比べて、60年代に6割だった日本の食料自給率は、今では4割を切る
ところまで低下しました。
 日本に農地が足りないためではありません。度重なる減反政策や耕作放棄や裏作の停止で、
日本の作付延べ面積は、ピークであった1960年代の半分にまで落ちました。
 しかも、このままでは、日本の農業は衰退することが確実です。担い手となる農家の高齢化
がさらに進み、後継者が激減するからです。掛け声ばかり食料安全保障や自給率向上を訴え
ても、流れを変える現実の政策はいまだに実行されていません。
」(参照
とも書いている。

山崎氏の意見が異端なのか、どうかは知らない。それにしても日経の主要コラムに、こうした
記事が載るとは、原油・穀物急騰や毒入り餃子事件の思わぬ副産物だろうか?
どうやら底には近づいたのだろうが、僕には、まだ川底に達したようには思えないのだが。
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by agsanissi | 2008-06-10 06:21 | 参考記事
2008年 06月 02日

毒入り餃子事件

先月の28日以来、既に梅雨入りしたような天候が続いている。霧雨が舞い、日最高気温も
9度前後と、今の時期としてかなり低い。昨日は、アメダス気温こそ14度まで上がったが、
山は霧に覆われ、肌寒い一日だった。日中、いったん雨は上がったが、明け方前に再び雨。

「世界の環境ホット・ニュース」から、今年の2月22日から原田和明氏の
「毒餃子事件報道を検証する」が配信されている。今朝、シリーズ第19回目が配信された。
シリーズの最初の頃は、この記事の意図が見えなかったが、
・製造段階混入説に対する疑問(第六回、八回)
・メタホドミス(混入毒物)説の疑問(第十二回)
あたりから、国内混入の可能性を示唆する内容がはっきり見えてくる。
更に、第十五回及び今日配信された第十九回で、反中国感情を煽り立て、福田内閣の親中国
政策に対する警告のための一種のテロ行為と見ている気配が伺われる。

この事件についての僕なりの総括は、まだ出来ないが、ともあれこの連載記事は非常に示唆に
とんだ興味深い内容なので紹介しておく。連載記事の全文⇒参照
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by agsanissi | 2008-06-02 09:02 | 参考記事
2008年 05月 11日

老衰死

月初めの高温は一時的な例外で、段々に気温が下がってきた。昨日は雨がちという事もあったが、
最低・最高気温が4/6度と、二ヶ月ほど季節がさかのぼった陽気だ(陰気と云いたいところだな)。
内陸には霜注意報まで出ている。
出芽したジャガイモが遅霜で被害を受ける確率は、十数年に一度だが、今年はそんな可能性も
なきにしもあらず。尤も、仮に被害を受けてもジャガイモは次の芽がやや遅れるけれど出芽する
から、大丈夫。

「老衰」に向かっている人に、「あなた、間もなく老衰死です」と宣告するのは憚れるが、産業
ならそれも良いのか?
今週の【日経レストラン】(登録するとWEBサイトで読める)に「老衰に向かう日本の農業」(参照
という記事が載っている。「食の未来は大丈夫か?」というシリーズ記事の第7回目だ。参考に、
今までの内容を紹介しておくと、以下の通り。
地球規模の食料危機回避へ(後編) (2008/04/21)
地球規模の食料危機回避へ(前編) (2008/04/10)
人口大国が「食」を食べ尽くす (2008/04/01)
「食料自給率」ではなく「食料自給力」を重視すべきだ(後編) (2008/03/26)
「食料自給率」ではなく「食料自給力」を重視すべきだ(前編) (2008/03/19)
「食」を輸入に頼る危うさ (2008/03/10)

十数年前から、僕は「農業は過去の産業ではなく、これからの産業だ」といい続けてきたし、
今もそう云っている。
中国・インド人が「日本人なみに食べるようになったら、食料は忽ち枯渇するよ。間もなくそう
なるから」というのが論拠の一つ。もう一つは、過去の蓄積を費消するタイプの産業と違って
太陽と水と大地のエネルギーを直接に利用して再生産するタイプの産業だからというもの。
十数年前は、こんなことを云ってもあんまり本気にされなかったけれど、最近は両方とも、
かなりの現実味を帯びてきた。
去年の末に、「食料自給を考える」を書き始めた頃は、そんなものは「空騒ぎ」だから、扱うに
及ばない無駄な所作だと言われものだが、この数ヶ月、ひょんな餃子事件まで舞い込んで
食料自給や食糧危機をめぐる話題が、俄かに盛んになった。でも大方は、口先議論だ。

「日本に農業はいらない」と攻撃されれば、何を阿呆なことを言ってるんだと反論する元気も
でるが、「日本の農業は老衰に向かっている」と云われては、とても「そんな馬鹿な」と反論
する元気もでない。紛れもない事実だからな。
今回の記事の冒頭の「農業従業者の年齢構成」の円グラフを見ると、僕が農業を始めた頃は
自分も「8.1%の年齢階級」に属したけれど、そのまま持ち上がって、いまは「30%の年齢
階級」にシフトした。
このシフト傾向と、従ってまた「産業としての老衰死」の基本的傾向は変わらないようだ。
「品目横断的経営安定政策」だの、それでは零細農の切捨て政策だの、そんな批判を受けて
「水田・畑作経営所得安定政策」と名称を変えて見ただのとやっているようだが、「老衰死」と
いう現実は何にも変わらないし、僕が就農してから十数年、変わる兆候は一向に見えないね。
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by agsanissi | 2008-05-11 06:07 | 参考記事
2008年 04月 27日

農薬の「安全性」に関する面白いお話

「農薬」に関する面白い話が、25日発行のシンジェンタ・ホット・ニュース、Vol.80に載っている。
参照

農薬についての僕の一般的な考え方は、他でも書いたことがあるが、医薬品一般に対するのと
基本的に変わらない。必要なら使うけれど、不要なら使わない。使う必要のないような生活習慣
を心掛けるのが一番だけれど、使わないことを「原則」とするのは、時に深刻な危険を招く。
農業の場合、消費者が「無農薬栽培」を求めるのは単なる過剰保険で、「過剰」な要求に充分に
見合うだけのコストは生産者の心情なり信念なりによって負担されている。
農薬の一般的な「危険性」は、環境に対する負荷とそれを使用する農業生産者に対するもので、
残留農薬による健康被害の可能性は、事故や誤用を除けば、殆どない。
簡単に言うと、そんな風に考えている。

シンジェンタ・ホット・ニュースに福山大学梅津憲治客員教授が「農薬と安全」という連載記事を
書いておられる。今回は第10話で、有機栽培農家や消費者の素朴な質問というテーマだが、
この疑問が素朴で、真っ当で、行政の無節操というか、二股膏薬というか、八方美人というか、
要するに無原則を衝いていて
、実に面白い。
シンジェンタは世界的な農薬会社で「梅津」というのは農薬学者で、農薬会社のエピゴーネン
だろと思われる方は、最初から目を瞑って自分の世界を狭くしておくのが宜しい。

以下引用。
「先生の説明が正しければ、農薬の作物残留や国民の農薬摂取の実態に
問題がないようですね。それでは、何故、行政は“農薬を使用しない農
業”や、“農薬の使用を半分にする農業を推進するのでしょうか。
国はやはり、残留農薬は人の健康に悪影響を及ぼしていると判断してい
るのではないでしょうか。」

全国各地で開催される「食や農薬の安全性」に関する講演会に招かれて
行なった講演中に、有機栽培農家や消費者から回答に窮する素朴な質問
を受けることが多々あります。その一つが、「作物への農薬残留の実態
や消費者の残留農薬摂取の実態に関する検証結果から、残留農薬は国民
の健康に対し悪影響を及ぼしていないと科学的に言えます」いう趣旨の
説明を行なった際に、有機栽培農家から出される質問です。「本当は問
題があるのでしょ。 作物に残留する農薬は国民の健康に悪影響を及ぼ
しているのでしょう。国や地方行政は問題を隠していませんか? そう
でなければ、農薬を使用しないあるいは使用を半分にする農業を行政が
推進する筈がないでしょう!」というものです。本当に真面目に有機栽
培や無農薬栽培(現在は、特別栽培という用語が使用される)に取り組
んでおられる農家の方々に納得していただくのは容易ではありません
が、通常以下のような回答を行なっています。

『私もあなたと全く同じ疑問を持っています。国は、科学者を総動員し
て、各種の安全性データを基に、農薬ごとに残留農薬の1日摂取許容量
を決め、それに基づき作物への農薬残留基準を決定しております。
その基準を基に、「種々の農産物における農薬残留量や残留頻度がこれ
これ以下ですので、国民の健康に全く悪影響がございません。国民の残
留農薬の摂取量は健康に影響を及ぼすようなものではありません。」と
言っておきながら、一方で、“残留農薬が国民の健康に悪影響を及ぼし
ているとの印象を与える”農薬の使用を半分にする農業や有機農業を推
進するという自己矛盾を犯してきました。 「この現象をどのように説
明するのですか」と行政の代表者に質問しても、適切な答えを得たため
しがございません。講演会後にこれをやらないと “予算がとれません
ので!” という冗談めいた答えが返ってくることもあります。』
以上のような返答だけでは、一生懸命に有機農業や特別栽培に取り組ん
でいる栽培農家の方が納得しませんので、私なりに以下の内容の追加説
明を行なっています。

『農薬や残留農薬は消費者の健康にとって問題がないといくら説明し
ても、やっぱり農薬はいやだ。農薬を使用せずに、あるいは使用を半分
にして生産した特別栽培農産物や有機栽培農産物に対するニーズは消
費者の間に常に存在します。そのようなニーズが存在するなら、行政と
して“キチンとそれらに対応した基準やガイドラインを作りましょう”
ということが実情と思われます。農薬の安全性とは少し別の観点から、
行政の中に“農薬は安全”と言う課と“農薬の使用を減らしましよう”
と主張する課とが隣り合わせに居を構えるという『奇妙な現象』が生じ
ていると私は理解しております。

それにしても、皆様は苦労し、手間隙をかけて有機栽培農産物や特別栽
培農産物を作っているのですから、通常の作物より高い価格で付加価値
を付けて販売して下さい。また、有機栽培であるという理由のみで、
人の健康に良いとは言えませんので、生産する作物の安全性には慣行栽
培の場合と同様に十分に注意を払って下さい。』
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by agsanissi | 2008-04-27 05:30 | 参考記事
2008年 03月 11日

海外に農地保有?!

「世界的な食糧危機、なすすべのない韓国」という記事が朝鮮日報に載っている(08/03/09、
参照)。
世界的に食糧問題が緊急の課題として浮上しているが、穀物の海外依存度が高い韓国は
この状況にまったく対応できていない。日々高騰を続ける穀物価格が物価を押し上げるアグ
フレーション(農業+インフレ)に直面しているのはもちろん、金を払っても穀物を買うことが
できず、韓国国民4700万人の食卓が脅威を受ける食糧安全保障問題に直面する恐れが
現実化している
」と書いている。

・穀物ショックは、一時的な需給不均衡の時期さえ過ぎ去れば解決するような問題ではない。
韓国国内や海外で農地を確保して直接農業を営むか、あるいは安定した輸入先を確保する
という根本的な対策が必要だ。
・(FAOは、安全な穀物在庫率として18-19%を推奨しているが)韓国の主な穀物在庫率
(2007年基準)はコメ13.7%、小麦11.8%、トウモロコシ5.3%、大豆10.6%など、FAO
が定める基準をはるかに下回っている。また国内消費に国産が占める割合(自給率)も、小麦
0.2%、トウモロコシ0.8%、大豆13.6%にとどまっており、海外からの輸入に多くを頼って
いる状況だ。
・食糧安保次元での備えを以前から続けてきた日本は、東南アジア・中国・南米など世界各国
に1200万ヘクタールの農地を確保
している。日本国内の農地面積の3倍に達する規模だ。
・しかし韓国の海外農地開拓は非常にわずかだ。10の民間企業や団体がロシア沿海州などに
数百から数万ヘクタール規模の農地を所有しているが、食糧不足を解消できる次元の規模で
はない。しかし国内での増産も容易ではない。

この記事で、特に注目したのは、日本が「世界に1200万ヘクタールの農地」を確保している
という点だ。「食糧安保次元での備えを以前から続けてきた」という指摘は、日本で指摘される
自意識とは、かなり落差がある。が、多分、これが事実なのだろう。
どのような確保なのか?当然、商社その他が農産物の様々な契約生産に乗り出していること
は想像に難くないが、実際に1200万ヘクタールを確保しているというデータは始めてみた。

このようなデータは、どこで、どのように調査しているのか知らないが、事実とすれば、日本の
農業問題は、全く違った様相を呈してくる。形は異なるとはいえ、食料生産に関しては、かつて
の大英帝国のような立場に立つことになる。この場合、国内の農業生産は世界市場とは全く
別の方面に特化しなければ、早晩、生き残ることは不可能になろう。
こんな貴重なデータを知らなかったとは、我ながら、随分、迂闊な話だ。(但し、朝鮮日報の
早とちりの可能性は捨てきらない、08/03/13追記)
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by agsanissi | 2008-03-11 08:37 | 参考記事
2008年 03月 11日

水をめぐる資源戦争

柴田明夫氏の分析を元に土地及び水が20-30年ほどのスパンで見て食糧生産のネックに
なり得る、とは「食料自給を考える」の第10、11回(08/01/21、22)で見たところ。
折り良く、08/03/10のNBonline(参照)に【日本は実は「水の輸入大国」だ】と題する柴田
明夫氏の【水戦争】の書評が載っている。石油・穀物価格が高騰し、長いデフレのトンネルを
抜けた(「抜けた」のか?)途端、あっという間に史上最高値を更新し、資源戦争の様相を呈し
始めたこの時期、この種の本を出版するには格好の時期だ。尤も、そんな騒ぎの渦中では、
僕は噂だけで満足し、高みの見物を決め込むが...。

「空気と水はただ」というのが長年の日本人の一般的な考え方だった。経済的観点からも金銭
で捉えにくい存在だったと言っていい
。書評は、そんな書き出しで始まっている。

さて、ポイントは何か(以下、「・」印の引用は全て「書評」から)?
・柴田明夫著『水戦争』は、そんな常識が一変しつつあることを明らかにしている。著者いわく
「いまや世界の水資源はエネルギーや金属、食料にも増して資源化している」というのだ。さら
に、そして「将来、原油のように取引所で取引される商品となる可能性も否定できない」とまで
言い切っている。
・欧州連合(EU)が二酸化炭素の排出権取引制度を始めた2005年1月、経済の常識は大きな
転換点を迎えたとみるべきだ。二酸化炭素は言うまでもなく酸素の燃えカスである。その排出権
が取引所に上場され、1トン当たり何ユーロという値段が付き始めたのである。ということは、
実際は酸素の使用に値段が付いたのと同じである。

商品生産は、販売が目的で、消費が目的ではない。やがて販売が一般化されるとともに、事態
は転倒し、販売されるものは商品となり、本来は商品生産の対象ではないし、商品でさえない
ものまでが市場で販売され、販売する権利さえもが商品化される。サブプライム・ローンの焦げ
付きなど、最初からババ抜きのババを売り買いしているようなもので、やがて焦げ付くことは
(ローンの組み手以外は)誰もが承知しながら、危うい橋を渡っている。
そんな世の中だから、空気が売られようが、酸素が売られようが、水が取引所に上場されよう
が、いまさら驚くには当らない。とはいえ、「ここまで来た」ということは、はっきり認識しておく
必要はある(尤も、いざそれが「どこまでか」となると、良く分からない)。

日本の水消費量、
・実は、日本はあまり水資源を使わない国であるという。比較的豊富に水資源があると思われ
がちだが、一人あたりの1年間に利用される水の量は、飲み水、生活用水、工業用、農業用水
を合わせて731立方メートルと、極度の「水不足」の国並みであるという。
・ただし、この計算にはカラクリがある。日本は食料消費量の過半を輸入に頼っている。つまり、
形を変えた膨大な量の水を輸入していることになるのだ。この食料輸入=水輸入があるから
こそ、日本は深刻な水不足に直面しないで済んでいるというのである。

参考:家庭用水、工業用水、農業用水の世界の水消費量について、「偏在する水資源
―世界各国の水消費量―」(参照)というサイトがある。このサイトは、四年前に書かれたもの
だが、「水供給事業の国際的展開が始まっており、サービス事業への国際的な参入ばかりで
なく、貿易商品としての輸送も見られる」と指摘した後、「ただし、水の確保は、権利か、他の
商品と同様に売買されるべきものかの議論
は残っている」と、かなり寝惚けたことを書いて
いる。生きるに不可欠だという意味では食糧も同様であり、事態はそんな懸念を遥かに超えて
進んでいる。

水をめぐるビジネスの現状
・希少化する水を巡って、すでに世界の大企業はビジネス展開を始めているのだ。その実例を
紹介している第3章が、本書の白眉である。
・「ミネラル・ウォーター」を巡っては、スイスに本拠を置く食品最大手のネスレや、フランスの
食品大手ダノン、米国の飲料大手コカ・コーラ、ペプシによる熾烈な競争が始まっている。これ
らの飲料水企業は、先進国市場より、むしろ安全な水道水が確保できない中国やインドなどの
新興国市場において著しい成長を遂げている、という。
・「ウォーター・バロン(水男爵)」と称されるフランスのスエズ、ヴィヴェンディ、ドイツRWE傘下
の英テームズ・ウォーターの3社が、世界各国で民営化された水道事業を買収していること
などにも触れられている。この3社ですでに世界の2億7000万人に飲料を供給しているという
から驚きだ。
・この本の冒頭にも出てくるが、ペットボトルのミネラル・ウォーターは1リットル200円以上
する。ガソリンは上がったとはいえ160円。牛乳も200円以下で買える。そういう意味では、
現段階でも水はガソリンや牛乳よりも高価格で売れる「もうかる商品」、つまり収益性の高い
ビジネスに成長しているのだ。

水は、食料と違って、自給率という概念が問題にされることはない。しかし、水もまた我々の
知らぬ間に、自給できぬ国になるやも知れない。単なる杞憂かしら...。




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by agsanissi | 2008-03-11 05:43 | 参考記事
2008年 03月 07日

農業政策の薮にらみ

山は、まだ真っ白で農作業も始まらないのに、いろいろ野暮用で頭の交通整理に忙しい。
尤も、実際に農作業が始まると、ある種の作業を除けば、ひたすら単純作業の繰り返しで、
そのほうが却って「脳」作業には好都合だという面もある。

何度も書くけれど、僕は農業問題とか農業政策は「天気」と一緒だと見なしている。
東北北部沿岸地帯は春から夏にかけて、常習的な海霧(ヤマセと云う)に襲われる地域で
(尤も、僕が入植してからの十数年間にも、海霧が陸地にまで入ってくる回数は、近年はやや
減ったようだ)、特異的に気象条件の厳しいところだ。その沿岸部の中でも、普代という地域は、
北緯40度線上という地球的規模の特異性と地形的な特異性とが、各々どの程度まで係って
いるのか分からないが、沿岸部の他の地域とは違った特異的傾向を示す場合が少なくない。
こんな気象条件と新開発農地(地力が乏しい)の厳しさとが相俟って農環境としては、決して
望ましい環境とは云いがたい。
そんなこともあって「天気」の観察には、相当な関心を払っている。とはいえ「天気」を変えよう
などと阿呆なことは考えたこともない。「一緒」とは、そういう意味だ。
ひたすら観察し、その中で生き延びていくことが出来ればそれで良しと考えている。人為的所作
という意味では違いはあるが、与件としか見なさないという心の距離を保ちたいというのが本音
だ。「生き延びる」という表現は、やや厳しいようにも見えるが、そのための必死の努力そのもの
が"生きてある証"と心得ている。
別段、これは僕の人生観を書いているのではなく、農業問題とか農業政策に対する僕の立場
距離の置き方を書いているに過ぎない。以上は余談...

さて、今日は信州地湧仙人が夙に指摘する「農村の多様性」に係る農業政策の整合性に焦点
を当てた重要な論文を紹介しておく。
Rieti経済産業研究所のサイトに掲載された山下一仁氏の「農村振興政策の指導原理」
参照、05/07/25)が、それだ。本文を読んで考えて頂くのが良いが、要点だけ摘記しておく。
まず「経済政策の基本中の基本原則は、1つの問題にはそれに直接ターゲットを絞りそれを
直接解決する政策を採るということである
」と指摘した後、フランスの農業経済学者の言葉を
引用する。
全ての経済政策の基本原則の1つは、目標と手段との間の整合性という原則である。この
原則の意味することは、いかなる政策についても、最良の手段とは最も直接的に目標を達成
するような手段であるということである


判りきった当たり前の話のようにも見えるが、実際にはそうではないから、改めて指摘する必要
がある。政策の基本方針においては「目標と手段」は整合性を持っているが、現場の実施段階で「目標と手段」において整合性が失われる可能性はしばしばある。「目標」というのは、観念的
なもので頭の中にある。「手段」は現実に適用されなければならない。これは戦略と戦術におき
代えても起こりうるし、我々の日常生活でもおきる。

しかし「基本方針」において最初から整合性がないとすれば話にならない。
山下氏は、まず、60年代から30年以上にわたって続けられた米政策に不整合性があったこと
を指摘する。(以下引用は▽、◆は僕)
過去の農政の誤りはこの経済政策の基本を忘れた、あるいは知らなかったことである。
農家所得の向上を図る(原文は「回る」とある)のであれば、直接所得に効果を与える政策を
採るべきであった。しかし、生産者米価の引上げ、生産調整による価格維持カルテル等価格
支持という間接的な政策により農家所得を向上させようとしたために、米の消費の減少、供給
の拡大、これによる食料自給率低下、構造改革の立遅れによる国際競争力の低下等大きな
副作用を生じてしまった

◆この批判には、ある程度、後知恵という側面があることは否めない。数十年前に、このような
批判を展開できたかどうか、仮に出来たとして受け入れられたかどうか、それはまた別問題だ。

しかし、未だにこの批判は受け入れられていないし、この誤りは引き継がれている。
「食料・農業・農村基本法」(99年制定、03年最終改正)で「目標と手段」において、政策的な
股裂き状態に陥っているというのが、この論文の趣旨だ。
食料・農業・農村基本法の総則中にある第5条をみると、「農業の有する食料その他の農産
物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ充分に発揮されるよう、農業の生産条件の整備
及び生活環境の整備…により、農村の振興が図られなければならない」とあり、あくまで主体は
農業の振興であるように思われる

◆この法律の名前は、食料と農業と農村を有機的なつながりのある一体のものとして捉え、
農業・農村の振興を図ることが食料の安定供給の土台になるという考え方を表明したものだ
ろう。この場合、二つの問題点がある。一つは、農業を営む場としての農村の一体性は既に
失われており、農業の振興と農村の振興とは必ずしも一体のものではない。
二つ目は、その結果でもあるが目標を「総合的」に捉えていると云えば体裁は良いが、実際に
は土台において一体性が失われているために、政策目標を曖昧にし、かつ政策目標と手段と
が整合性を欠く結果に陥らざるを得ない。

1950年代前半まではこのような混乱は起こらなかった。農村は農業が営まれる場で
あった。農業の振興は農村の振興と同義だった。.....
しかし、混住化が進み、農家経済自体も兼業化の進展により農業に依存しなくなると、比重が
低下した農業の振興は農村の振興と同じではなくなった。農家経済を向上させ農村を活性化
させようとすると、農地はむしろ転用して企業を誘致した方がよい。農業は振興ではなく縮小が
望ましくなる。過疎化を避けようとすると、少数の担い手に農地を集積させて規模拡大を図り
農業のコストダウン・振興を行なうよりも、農業の効率が悪くても兼業農家が多数いてくれた
方が望ましい。兼業化の進展等により、今では中山間地域でも農家所得は勤労者世帯を上
回っている。こうして農家経済が向上し、農村が豊かになる一方で、農業は衰退した

◆非常に、大雑把な総括をすると、農業政策はその対象となる農業の営まれる場としての農村
の基本的変化を政策的視野に入れていないし、そもそも「農業の営まれる場としての農村」と
いう捉え方が、現実にマッチしているのか、していけるのかという認識を欠いているということに
なる。そもそも都市と農村という二分的・対立的な捉え方に留まっていて良いのか?
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by agsanissi | 2008-03-07 06:11 | 参考記事
2008年 03月 02日

アジアに広がる食料品価格の高騰/2

少し間が空いたけれど、2/18の参考記事の続き。

○アジアで食料価格高騰、貧困層に大打撃(08/02/12、参照
・FAOの統計によると2007年、食料価格は世界全体で40%近く上昇し、ミャンマーやパキ
スタン、インドネシア、マレーシアなどで抗議デモが相次いだ。
・悪天候の影響で最も大きな打撃を受けているのがバングラデシュで、前年はサイクロンに
より6億ドル(約640億円)相当の稲作が被害を受けた。今年のコメ価格は前年比70%増と
急上昇、1キロ当たり50セント(約53円)前後となっているが、同国の国民の1日の生活費
は1ドル(約106円)に満たない。
○食料品価格の高騰が更に深刻に、ベトナム株情報(07/12/06、参照
・ハノイ市の市場における肉類や水産物、米、食用油、乾物などの生活必需品の価格は一斉
に値上がりし、豚肉価格は1キロ当たり2,000~4,000ドン(~約28円)上がって、キロ4万
5,000~5万5,000ドン(~約380円)で推移している。ガソリンの価格上昇による運送料
上昇のため、食料品価格の上昇はいかんともし難いという。
・市場の小売店では、このまま行けば2008年旧正月の肉類の価格は、現在の価格の倍
程度、1キロ当たり8万~10万ドン(~約690円)に値上がりすると予想している。
・先週で水産物の価格はキロ当たり1万~1万5,000ドン、米の価格はキロ当たり2,000ドン、
野菜、果物の価格はキロ2,000~4,000ドン、食用油の上昇は激しく、1箱当たり2万2,000
ドン、それぞれ上昇したという。
○ミッチーナにおける食料品価格の高騰、ブログ記事(07/08/28)
・ビルマでは、政府による燃料値上げのあおりを受けて食料品や生活必需品の価格まで高騰
している。カチン州ミッチーナでは、米は1袋1,000チャット(約100円)~2,000チャットだっ
たが、今では1万9,000チャット~2万2,000チャットにまで値上がりした。また、食堂で1回
食事をするのに300チャットあれば済んでいたものが、今では800チャット~1,000チャット
かかるようになった。このほか、肉類、食用油、自転車、オートバイ、自動車部品なども軒並み
値上がりした。
・ミッチーナにおける値上げ後の国産燃料の価格は、1ガロン(約4.5リットル)あたり天然ガス
が2,500チャット、軽油が3,000チャットであるが、一般市民は国産燃料を手に入れにくく、
さらに割高な中国産燃料の使用を強いられている。中国産燃料は、1ガロンあたり天然ガスが
4,500チャット、軽油が4,800チャットである。
○[オピニオン]穀物戦争/東亜日報(08/02/20、参照
・650ウォンだった辛(シン)ラーメンが今日から750ウォン、750ウォンのチャパゲティ(即席
麺)は850ウォン、セウカン(スナック菓子)は700ウォンから800ウォンに値上がりする。サイ
ダー、ジュース、コーヒー、ヨーグルト価格の値上げも控えている。ドルベースの農産物の輸入
物価指数は、昨年12月ベースで前年比35.8%、今年1月食料品の消費者物価指数は、前年
比2.9%上昇している。昨年、全国世帯あたり月平均実質所得は2.5%増にとどまった。主婦
たちのため息も増えるばかりだ。世界を襲っている穀物ショックのためだ。
・先月14日、インドネシアの首都ジャカルタの大統領宮の前では、市民、労働者1万人あまり
がデモを行った。前年度に125%跳ね上がった大豆の値段がさらに50%値上がりし、食品
メーカーの工場が閉鎖に追い込まれるや、街頭に飛び出したのだ。ニューヨークタイムズ紙
は、「世界の随所で物価上昇を糾弾する集会が相次いでいる」と報じている。国連食料農業
機関(FAO)が、国際市場で取引される60食品の輸出価格を踏まえ、食品価格指数を算出
してみたところ、06年14%アップから昨年37%と高騰している。
○食糧価格高騰。その抑制に大急ぎで取組み始める政府/ロシア・ノーボスチ通信社
(07/10/16、参照
・金融アナリストの評価では、ロシアの本年通年のインフレ率は9-9,5%に達すると予想して
いる、昨日、この予想は新しい経済発展相のナビウリナも認めた。
・政府では、価格加速は外部要因のためであると確信している。発展途上国からの食糧品に
対する需要の逼迫が原因であるとしている。とりわけ、中国とインドからの需要の逼迫が著し
い。そして生物燃料製造用に食糧品が積極的に農業に利用されていることも一因だ。また、
EUが自国農業のための輸出奨励金を提供し資金援助するのを止めた為輸出業者は高い
価格で輸出しなければならなくなったことも価格高騰につながっている。結果は周知の如くだ。
ロシア統計局のデータでは、本年初めから、食糧品の最低摂取量の価格は17%上がった。
独立系専門家はさらなる、著しい価格高騰がありうると言っている。平均価格で、植物油と乳
製品では60%、パン製品では40-45%高騰している。
○食料品価格の高騰続く?政府内でもインフレ対策にさまざまな見方? (ロシア) 08/02
/08、ジェトロ、参照
・2007年の消費者物価上昇率(前年12月比)が11.9%になるなど、インフレが加速している。
政府は2007年10月以降、主要食料品価格の統制や輸出入関税の操作といった対策を実施
してきたが、これまでのところ効果は十分に出ていない。インフレの原因については、食料品
価格高騰のほか、マネーサプライの増加、エネルギー価格の引き上げなどさまざまな考え方
があり、対策についても政府内での合意が形成されていない。

○FAO食料需給見通し、プレスリリース(07/11/07、参照、pdf)
・FAOの最新の分析によると、国際穀物価格は世界の多くの国での食料インフレーションに
より上昇しているとしている。「殆どの穀物は、最近数年間よりも逼迫した供給状態にあり、その
一方、需要は食料・家畜飼料・工業利用のため増加の一途である。」と報告書は述べている。
今期始めより既に低レベルだった在庫量は、世界の穀物生産量が辛うじて利用量に見合う分
しかないことから、現在の低いレベルが続くもの、と予測している。 又、2006年に農産物価格
は高騰したが、一部産品ではそのペースを上回る上昇が本年では見られるとした。
・穀物等主要作物の国際価格高騰の波紋は、食料供給チェーン全体に連鎖・拡大しており、
パン・パスタ・肉・ミルク等の基本食料品の小売価格を押し上げている。FAOは、世界が現在
のような広範囲に及ぶ共通の食料品価格インフレーションを経験することは極めて稀なことであり、輸出国・輸入国、また先進国・途上国を問わず、農産物価格の今後の動向について議論
を活発化することとなる、と分析している。
・石油価格の最近の急激な高騰は、農産物の生産資材価格の上昇とバイオ燃料へのこれら
農産物の需要拡大という形で、農産物の価格を一層押し上げている。
Food Outlook は、石油価格高騰と環境問題対処の要望の高まりという両面から、原料、
特に砂糖、メイズ、菜種、大豆、ヤシ油やその他油糧種子作物、そして小麦の需要が今後さら
に高まるものと予測している。

以上は、石油及び穀物価格の高騰をきっかけに中国、東南アジア、ロシアなどで食品価格
の高騰が広がっているという話だ。一方、日本は石油及び食料品は輸入に依存している。
1973年の石油価格の高騰の時は、消費者物価は「狂乱物価」というほどに急騰した。現在は
じわりと消費者物価は上昇してはいるものの、石油や穀物価格の急騰振りから想像するほど
には上がっていない。例えば、小麦の政府売渡価格は平均30%引上げられるが、その消費者
物価指数に与える影響は0.03%と、農水省は試算している。
さて、この違い、イ.70年代との相違、ロ.アジア各国との相違は何に由来するのか?
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by agsanissi | 2008-03-02 09:18 | 参考記事