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2008年 02月 18日

アジアに広がる食料品価格の高騰/1

【豚肉価格の上昇にみる労働力過剰時代のおわり:先進国にさしかかる中国】と題する
アジア経済研究所のレポート(08/02/14、参照)がある。
金融当局は、この数年市場からの過剰流動性の解除に躍起になっている。こうした金融
当局の動きに加え、計画委員会が直接価格抑制への態度をみせたことは、政府が短期的
な暴騰を非常に恐れていることがわかる。この政府の動きが、インフレ心理を冷やすことが
できるのか、より加速させるのか、見ものである。このように、インフレ問題はオリンピックを
前にして、非常に緊急性を帯びてきた。

と書いている。

表題から推測できるように、過剰流動性のような単なる金融的・貨幣的現象ではなく、中国
経済の構造的変動に伴うインフレだから、簡単には収束できないというのが筆者の見解だ。
インフレを、どう分析するかは別としても、「今起こりつつある大きな変化」の分析は面白い。

中国経済の構造変動は別としても、食料品価格の高騰は酷いようだ。
WEBサイトから、ランダムに記事を拾ってみると、

○中国:食糧価格暴騰、動乱の導火線に(07/12/16、参照)、大紀元日本
・人民元高により、中国における消費者物価指数が顕著に上昇している。特に、食糧や油の
価格が暴騰しており、都市住民の生活への圧力が顕著に高まっている。また、奇妙なことに、
これにより、農民の収入が増加しているわけでは決してない。香港の評論の指摘によると、
1年がもうすぐ終わろうとしている現在、一部地区において、競い買い、買いだめの動きが現れ
ている。食糧価格の暴騰は、中国社会の動乱を導く危険性があるとメディアは指摘している。
○チャイナ・レポート/(08/02/08、pdf、参照
・ インフレは07 年に入って加速しました。消費者物価指数(CPI)は4%台を突破した後、
11 月には10 年来の高水準となる前年同月比6.9%の上昇率を記録し、12 月も同6.5%
でした。特に、基本食材の価格急騰が顕著で、肉類(豚肉、牛肉、羊肉とその製品)は38.8%、
穀物は6.6%、卵は11%と価格が急騰しました。07 年通年のCPI 上昇率は政府による当初
目標の3.3%を大きく上回る4.8%でしたが、基本生活用品の上昇幅が大きいため、市民が
体感した物価上昇圧力は統計数字以上のものがありました。
・ 上海市内の大手スーパーに足を運ぶと、豚肉はこの1 年ほどで500 グラム8 元(約120
円)程度から15 元(約225 円)へと、88%もの値上がりをみせています。世界的にビジネス
を展開しているマクドナルドの代表的な商品であるビッグマックの価格は07 年初めの11 元
から11.5 元(約172 円)へと4.5%値上がりしました。コカコーラも例外ではなく、ボトル入り
(600ml)コカコーラの小売価格も2.5 元(約37.5 円)から2.8 元(約42 円)へと12%高く
なりました。
・ 食品価格の高騰を中心としたインフレはこのままで更に進めば、市民生活、特に低所得者
の生活に深刻な影響を及ぼし、社会不安にも繋がる恐れがあります。国務院全体会議(内閣府
閣僚会議に相当する)において温家宝首相は、「当面の最重要目標は商品市場の供給と価格
の安定を確保すること」とその重要性を強調しました。
○中国で食料品高騰、民心の動揺懸念、朝鮮日報(07/11/15、参照
・中国では食用油の小売価格が過去1年で40%も上昇していた。
・中国国家統計局が13日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)が前年同期に比べ6.5%
上昇し、社会消費品小売総額も同18.1%の急激な伸びを示したことで、インフレの危険信号
はますます鮮明になった。CPI上昇率は1996年12月以降、11年ぶりの高水準となった。
・基礎食料品は平均17.6%も値上がりし、特に豚肉(55%)、家きん類(38%)、野菜(30%)
などの高騰が目立った。このため、一部では食料品価格の高騰が民心の動揺を招き、天安門
事件のような大規模な騒乱に発展することを懸念する見方も出ており、中国政府は神経をとが
らせている。

c0048643_1192484.jpgどこから転載したか
忘れてしまったが、
視覚的に見るには
このグラフが良い。
典拠は、ウッカリ
失念したので悪し
からず。





しかし、このような食料品価格の高騰は中国だけではないようだ。
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by agsanissi | 2008-02-18 10:41 | 参考記事
2008年 02月 15日

中国社会事情

今日のNBonlineに、「第1回 上海の公園で婿を探す、A女の父母たち」が載っている。
連載第一回の開始だ。

中国にも「負け犬」はいた。自らの力で高い社会地位を勝ち得、年収も男に負けない。
容貌も美しい。そんな隙がない彼女=「A女」たちには、なぜか結婚相手が見つから
ないのだ。悩みは深く、自慢の娘に結婚相手を探そうと、数千人の父母たちが、日本
で言うところの「釣書」を持って公園に集まるほど。この現象の背景にはなにがある
のか。


面白い、といっては語弊があるかもしれないが、断然面白い。
僕の、最初の感想は、「中国もここまで来たか」というもの。中国社会は、人間研究
には掛替えのない標本だ。何故なら、本音を剥き出しで曝け出してくる赤裸々さが
あるからだ。その点、日本のような分かり難さ(お上品さと言い換えても良い)がない
からだ。従って、第二の感想は、本音はどうであれ、日本では絶対にここまでやる奴
はいないな、というもの。

筆者も書いている。
日本人にはできない行動だと思う。
それならなぜ、中国人にはできるのだろう。


簡単な概要くらい、摘記を作って紹介したほうが良いかもしれないが、概要など紹介
出来る内容ではない。文章の運び、会話、展開そのものが面白いのだから、そんなも
の摘記を作ってどうなる?

登録しないとログイン出来ないかもしれないが、ともかく一読の価値はある(参照)。
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by agsanissi | 2008-02-15 07:53 | 参考記事
2008年 01月 28日

「経済の一流国とは?」

「残念ながら、もはや日本は、経済は一流、と呼ばれるような状況ではなくなった」
との大田弘子経済財政担当相の発言(1/18、国会での経済演説)に関して、
JMM「村上龍、金融経済の専門家たちに聞く」(08/1/28号)で、
「経済の一流国」の条件、定義とはどのようなものが考えられますか?という設問が
出されている。それに対する回答の中から、興味深いものを拾っておく。

▽水牛健太郎氏
・かつて「一等国」という言葉がありました。日露戦争で、大国ロシアを破った高揚感が流行ら
せた言葉です。「日本も一等国になった」とあちこちで言われました。そこに反映されていた
のは、欧米列強の圧力の中で開国し、植民地化の危機を逃れるために国づくりをしてきた日本
が、列強の一つであるロシアを辛くも破り、ようやく一息ついたという安心感だったでしょう。同時
に、「一等国」という、今となっては子供っぽい響きからは、幕末以来の欧米への劣等感が言葉
の裏にあることが、生々しく感じられます。
・「経済が一流」という言葉は、この「一等国」という言葉の戦後版だと思います。
・「一流」という言葉の中にあるのは、太平洋戦争で完敗した日本が、経済発展を遂げ、世界に
名の知られる電気製品や自動車を生み出す国になれたということへの誇りでしょう。誇りを持つ
のは当然だと思いますが、それが、いつまでたっても欧米への劣等感やアジアへの優越感と裏
返しになっているところに危うさ
を感じます。
・日露戦争の数年後、夏目漱石は『三四郎』を発表しました。熊本の高等学校を卒業して上京
する三四郎は、汽車の中で、漱石自身をモデルにした広田先生に出会います。広田先生は、
こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめです
」といい、「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と反論する三四郎に、「滅びる
ね」と言い放ちます。そして、「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……日本よ
り頭の中のほうが広いでしょう。とらわれちゃだめだ
。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひい
き)の引き倒しになるばかりだ」と教え諭します。

▽三ツ谷誠氏
・第二次大戦後の世界は冷戦崩壊以後急速に溶解しつつあり、特に情報領域での技術発展を
背景にグローバル化の波が国民国家や国民国家の連合組織としてのG5、G7的な枠組みを呑
み込みつつあるのが、21世紀が直面する現実だと思います。その現実に対してG7はG8という
形でロシアも呑み込み(或いは近い将来には中国も呑み込み)、連合機構・調整機構ではな
い、もっと別の「帝国」という表現でしか言い表せない新しい権力形態として世界を支配しつつあ
(或いは既にしている)ということではないでしょうか。
大田大臣の発言は、このままでは日本は国家全体としてはグローバル化する世界への適合性
を失い、国家単位では経済的に沈み込んでしまう、という危機感を広く伝えようとしたものだと思
いますが、そもそも国民国家的なものが前時代の遺物になりつつある世界で、再度国民とし
て、国家としての覚醒を訴えるということが何の意味を持つのか、そこには疑問を感じます。
・関東圏の経済規模は180兆円を超え、そのGDPはG7構成国のカナダやイタリアにほぼ匹敵
するのであり、関東圏だけの一人当たりGDPはどうか、という感じで物を考えると、また違った
角度で世界が見えてくる気がします。少し古い数字ですが、2003年度の東京都民の一人当た
り所得は426万円(同年度の沖縄は204万円)であり、国家としての日本が地盤沈下しても
世界経済に浮かぶ都市としての東京はその輝きを失っていない
、というようなことは当然考えら
れる訳です。
・世界経済に適応した企業に勤務している人間とそうでない人間とでも、所得において或いは
所得に反映されない豊かさの享受という意味で開きはあるのであり、国家という単位を離れた
現実認識が益々求められている
ように感じます。シンボリックマネージャーという言葉が一時期
人口に膾炙していましたが、弁護士は国家を超えて弁護士として同様の社会的な地位・経済を
享受する。投資銀行家は投資銀行家として同様に社会の或る階層を構成する。一方で労働者
は結局の処、労働者であり、国家は異なっても同様の貧苦に喘いでいる。今こそマルクスを!
ではありませんが、グローバル化する経済の実相とはそのようなものではないでしょうか。

▽山崎元氏
・結論から言うと、国単位で経済が一流であるかないか、という言い方・考え方には違和感
あります。
・財政金融政策だけでなく規制や法制も含めて、経済政策には適否があり、良し悪しを評価しよ
うとすることは大切です。経済政策の主体は国なので、国ごとに一流、二流があってもいいで
しょう。例えば、今の日本の状態で、金融引き締めと消費税の増税を目指すことは不適切で
しょうし、こうした状況を指して、「日本は二流以下だ」と呼ぶのは構いません。しかし、この
場合、真にいけないのは経済政策の立案・実施主体である政治であり、「日本の経済政策は
二流以下だ」と言うのが適切でしょう。
・「日本経済が一流であるか(ないか)」という言い方には、本来、企業同士、個人同士が競争し
ているにもかかわらず、国同士が競争をしていて「日本の国際競争力」というものが存在するか
のような、よくある誤解につながりやすい面があるように思います。この誤解は、「国の(国際)競
争力」の名目を借りて私企業のメリットに国を利用しようとする論法に利用されやすいので要注
意です。
・経済活動にあって優れた個人もいれば、そうでない人もいます。これらの様々な人々を、単に
日本国民として十把一絡げにして、「日本は経済で一流と言える・言えない」という表現で評する
のはいかがなもの
でしょうか。大田大臣には、「日本の経済政策は二流以下だ」と言い直
した上で、さらに問題点と批判の対象をより具体的に言明することを期待したいと思います。

◆吟味すべき興味深い発言がいろいろ見られる。まあ、僕が意図的に引き出した面もないでは
ないが、一様に指摘しているのは「国」または「国民国家」という単位での一流国、二流国という
捉え方は、もう実態に即してはいないとの指摘だ。
このような考え方が、何の違和感もなしに語られる背景は、云うまでもなくグローバリゼーション
の進展の結果だ。そして、グローバリゼーションの席捲によって、日本の農業はすっかり呑み
込まれて壊滅するかに叫ぶ人等がいるが、僕はそうは考えない。
グローバリズムに身を委ねれば、「食料自給率」などは、形骸化した分母に囚われた非合理的
妄念に過ぎないと見えるし、グローバリズムの負の側面に注目すれば、形骸化した「国民国家」
に代わる新たな分母の発見に努めざるをえない
、と「食料自給を考える」の第八回で指摘したが、
これからは地方の活性化のためにも、何らかのスケールの地域共同体を「新たな分母」として
育てていく必要があるし、そこにこそ農業の生きるべき道があると考えている。
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by agsanissi | 2008-01-28 22:41 | 参考記事
2008年 01月 28日

記録写真

大紀元の08/01/17に掲載された画像を転載した(参照)。

中国の環境問題を「告発」するなどの意図は全くない。どこの国にせよ、大工業の発展途上
では同じことをやってきたし、数十年前に「社会主義国に公害問題は全くない」などの神話が
実しやかに罷り通ったことがあるが、それが真っ赤なウソと知れわたって久しい。
二重のウソは、社会主義とは名ばかりで、その実態はいわば「国家資本主義」とでも云うべき
もので、遅れた開発途上国が資本を国家官僚の下に集中し大工業の育成を図る国家統制
経済の変型に過ぎないという点にある。ウソというより「思い込み」というべきか?
だから「真の社会主義を」などと、いまだに幻想を追っている向きもあるが、19世紀後半から
20世紀半ばにかけて被抑圧民族と労働階級に「解放」の夢を与えてきた輝きを、既に失って
しまって、代わるべき旗は千路に乱れている。
以上は、単に回顧的余談....民間用のgoogle earth の提供する画像の解像度の凄さと
このまま記憶のかなたに流してしまうには惜しいなと思って記録に留めたにすぎない。
「大紀元」という新聞に関しては、ウィキペディアに
大紀元は2000年5月、アメリカのニューヨークで法輪功を支持する華僑たちによって設立
された。 日本では東京都台東区に事務所を置き、中国語版を2001年、日本語版を2005年
から発行
」という解説が載っている。

c0048643_8185497.jpgc0048643_8191386.jpgc0048643_8193152.jpg








写真解説は、左から(画像をクリックすると拡大します)、
・アモイ杏林汚水処理場(赤い囲んである)からの廃水が海へ排出されている様子。左側
にある川と、色が全く違っている
・山東省・日照市の工場から流れ出た廃水が、主要排水通路を通じて、東海へ排出される
(右下)
・曹娥江下流は銭塘江と合流し、さらに海へと流れる。左側にある企業からの廃水が気に
なるところだ。汚水処理場か

c0048643_8374641.jpgc0048643_838996.jpgc0048643_8382938.jpg








・天津市大沽地区廃水排出用川(赤線のすぐ上の部分が海へ排出される)
・廃水の排出通路になってしまった福建省・福州市の晋安川。福州市区(上)から流れ出て、
南下し閩江(下)と合流
・無錫市、新旧運河の合流場所(左上は都市中心部を通過した旧運河)
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by agsanissi | 2008-01-28 08:47 | 参考記事
2008年 01月 26日

二極分化?

12回目の記事で「いわゆる先進諸国とBRICs諸国との対応は、二極分化する可能性がある
のか?」と書いた。穀物を始めとした資源価格に関わることでもあり、関連記事を摘記しておく。

▽1/25の「人民網日本語版」
・国家統計局は24日、おおまかな統計によると、2007年の国内総生産(GDP)は24兆6619
億元に上り、前年比11.4%増加し、増加率(成長率)は前年を0.3ポイント上回ったと発表し
た。増加率は5年連続で10%を超えた。国民経済は急速な成長、構造の最適化、利益の上
昇、国民生活の改善などが進む良好な運営状況にあるという。
・農業生産が安定的成長を続けており、穀物生産は再び豊作を記録した。通年の穀物総生産
量は5億150万トンに達して、前年比350万トン(0.7%)増加した。

▽1/25「北京週報」
・中国政府は物価が上昇し続け、インフレを引き起こす可能性が出てきたことに対して深い憂慮
を示し、08年に入って半月内に多くの物価安定策を次々に打ち出した。これらの政策は、少な
くとも春節(旧正月)期間に物価が大幅に上昇するのではないかという庶民の懸念を払拭できる
ものだ。
・08年1月1日から、中国は小麦、トウモロコシなど57品目の穀物原料およびその製粉商品に
ついて1年間、輸出暫定関税の徴収を始めると同時に、一部の穀物・製粉に対して輸出割当額
許可証による管理を実行し始めた。
・中国人民銀行は、経済学者の建議を受けて、人民元の上昇ペースを加速させることになる。
一部の経済学者が、人民元の上昇ペースを加速させることが輸入商品の価格を下げ、インフレ
を抑制させることにつながると主張しているためだ。人民元の対ドル基準値は07年12月30日
の7.3046ドルから、わずか半月間で1月17日には7.2418ドルへと急速に上昇
し、ほぼ一日
おきに高値を更新した。
・1月16日、中央銀行(中国人民銀行)は1月25日から預金取扱金融機関の人民元預金準備
率を0.5ポイント引き上げ、15%とすることを決定したと発表。これは、中国の銀行ではこれま
でで最高の数値だ。
・07年12月のCPIは依然として高水準の見込みで、08年に入って一部の地方で少数の企業
による談合値上げ、買いだめ・売り惜しみ、価格つり上げといった現象が生じているという。
・周副司長は「当面、中国の財政収入と外貨準備の増加速度は比較的速く、経済力とコントロ
ール能力は明らかに強化されている。穀物は4年連続して豊作となり、備蓄には余裕がある。
食用豚、搾油原料の生産は回復途上にある。生産財の供給能力は大幅に向上し、絶対的多数
の工業消費財は供給が需要を上回っており、市場供給と価格の安定を保証する自信も能力も
ある」と明かした。
しかし現在、市場では法律違反、規則違反の価格がますます目立ってきており、市場価格の秩
序を乱し、企業経営の秩序を乱している
。関連する法律、法規の規定に基づき、市場価格の監
督、管理を強化し、市場主体の価格行為を規範化すると同時に、行政手段によって法律、規則
に違反する行為を取り締まり、市場経済の正常な秩序を維持することが必要だ。

▽1/24「FINANCIAL TIMES」、ダボス会議(NBonline から)
・今週、スイス・アルプスのリゾート地ダボスに集まる企業経営者や政策立案者は、グローバル
経済の強さや企業収益の明るい展望にまつわる昨年の歓喜を味わうことはないだろう。今年の
会議のテーマは、「協調的イノベーションの力(The power of collaborative
innovation)」だが、実際は政治的、経済的な不確実性の恐怖に議論が集中することは避け
られない。
金融界の情勢がこの1年で激変したため、世界経済フォーラムの運営者は金融の安定や銀
行のリスクに関する議論の場をいくつも用意した。
・もう1つ、参加者の心理の移り変わりを示す兆候は、今年の議題に加わった新たなテーマに
見られる。世界のコモディティー資源を巡る競争である。今年のダボス会議では初めて、食品
供給に関する議論の場が用意される。最近の農産物の急騰や、それによって新興国で政治的
課題が浮上
していることを受けて、活発な議論が繰り広げられることだろう。

▽1/25「Business Week」、ダボス会議(NBonline から)
・米モルガン・スタンレー(MS)のアジア代表を務める著名エコノミストのS・ローチ氏は、「世界
市場の混乱と米国で始まった景気減速は、サブプライムローン(サブプライム)と信用市場のバ
ブルが弾けた結果
であり、問題の解決にはかなりの時間がかかる」と指摘。
・ローチ氏はBusiness Week誌の取材に応じて、こう語った。「過去8年の間に我々はたくさ
んのバブルを経験
してきた。すべてのバブルが相互に関連している。いずれも無責任な中央銀
行が過剰流動性をもたらした結果
であり、その先頭を走ったのがFRBだ」。
・ローチ氏の考えでは、米国に限らず、英国をはじめとした多くの国が、実質所得ではなく、(住
宅から株式、芸術品に至るまで、あらゆるものの資産価格が上昇する)バブルの中で生活する
のに慣れきってしまった。
・高度成長を続ける新興国からの参加者は、米国人よりもずっと前向きだ。インドのカマル・ナ
ート商工大臣は会場廊下での立ち話で、「インドは米国を襲い始めたような痛みを全く感じてい
ない
」と語った。
・世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミタル(MT)のCFO(最高財務責任者)を努め
るアディテヤ・ミタル氏もこの意見に同意し、「インドや中国といった国々はかなり経済的な勢い
をつけており、その勢いは衰えそうにない
」と話している。
・ペルシャ湾岸地域も展望は明るい。「湾岸地域の経済成長は極めて力強いため、湾岸地域に
おける商機獲得をイスラエルとパレスチナの和平合意を促す説得材料にできるかもしれない」。
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by agsanissi | 2008-01-26 15:15 | 参考記事
2008年 01月 19日

「農産物の急騰は日本を変える」?

08/1/18のロイター日本語版に、モルガンスタンレー証券/経済研究主席R・フェルドマンの
「農産物の急騰は日本を変える」(参照)と題する分析が載っている。レポートの狙いは、農産物
価格急騰によって、日本農業構造に変化が起き、そこに新たな投資チャンスが発見されるはずだ、というものだ。世界的な投資家の目が日本の農業にどういう眼を向けているか、その一端を
伺う資料として掲載しておく。◆の部分は、僕の評価

・いまの農政は変化を余儀なくされている
ここ数カ月の農産物価格の急騰は日本を大きく変えるだろう。世界の農業分野では、生産性を上げないと食糧安全保障はない、という認識が広がっている。日本が今の農政を継続すれば、地方の困窮化はさらに深刻になる一方である。

・世界的な農産物急騰の原因は何か?
世界人口が70億人になったことが農産物価格急騰の基本的な原因だという意見があるが、
これはデータと整合性がない。1950年前後に世界人口は約20億人で、2000年は約70億人
に増加したが、その50年間に農産物の実質価格は続けて低下傾向にあった。むしろ農産物
供給が需要より早く成長した、という反マルサス派の見方が正しかった。
では、何が原因か?理由は基本的に3つある。1つは、研究開発の成果の広がりがゆっくりであることだ。確かに遺伝子組み換え品種は、米国などで生産性を上げている。しかし、大半の国はこのような技術をフルに利用していない。各国の気候事情に適応することが遅れれば、
供給は「伸びる需要」に追いつかない。
 もう1つの理由は、途上国の所得水準が上昇し、肉の需要が大きく増加していることである。たん白質工場として、家畜は効率が非常に悪い。専門家の計算では、牛肉100グラムを作るには、飼料を少なくとも1000グラム使わないといけない。当然、13億人の中国、11億人のインドの人たちが肉を食べだすと、飼料の需要が何倍も上がる。豚肉は牛肉より、鶏肉は豚肉より効率が良いが、それでもかなり悪い。
 3番目の理由はもちろんエネルギーだ。今の農業はかなりエネルギー集約的になってはいるが、加えてバイオ燃料が今のエネルギー価格の下でようやく採算が合うようになってきた。(補助金はもちろんあるが、これは国防の目的と思ってもいい。)バイオ燃料という技術進歩は、エネルギー価格が農産物価格を引っ張る効果をもたらした。(ただし、バイオ燃料が利用される分、原油価格の上昇が抑えられる。)
◆「食料の未来を描く戦略会議」の第一回会議(07/07/17)の配布資料「今、我が国の食料
事情はどうなっているのか」(参照)の分析と、概ね一致しており、特別に注目すべきほどの分析
ではない。但し、50-60年以上にわたって続いた国際的な農産物の実質価格の低下傾向
は、基本的に転換したのかどうかは注目点である。

・農産物の急騰で進む流通などの構造調整
農産物価格の急騰は、食糧品の投入市場、産出市場、流通経路などの構造調整を促す。これは代替商品、補完商品、投入価格が全てつながっているからこそ起きる。(この部分の詳細は
全部省略する)

・価格急騰で生まれる日本農業改革のチャンス
これだけ動く農産物市場だが、価格変動に鈍感な日本の制度は変わるか、という疑問はもちろんある。しかし、私は、かなり変わるだろうと思っている。
日本の農産物の生産性は、高いレベル(野菜、果物)もあるが、農場の規模からいうと生産性を改善する余地は大きい。農産物が安いときは、低い生産性の機会コストが小さい。しかし、農産物が急騰すると、機会コストも急騰する。補助金をもらうか、生産性を上げるかという計算は変わる。
食糧保障、安全保障の問題もある。インド、ロシア、中国は既に品目によって輸出禁止を実施している。日本の農産物備蓄が足りなくなるかという心配も当然ある。食料品を地政学的な武器として使うことはなくても、充分な食料品を市場から取れるかという心配はある。国内生産を増やすことは時間がかかるので、解決策にならない。
結局、長年の「低生産性農業」を自己利益の道具としてきた役所、政界の戦略は、グローバルな農産物価格の急騰で崩れている。農地法の改正、農業委員会の廃止などの政策が正しい。地方活性化、物価上昇の抑制、安全保障で「一石三鳥」の政策と言える。反対するのは、生産性を抑えて得してきた既得権益の享受者だけだろう。
◆下線部分の評価は、中々面白いし、正鵠を得ているかも知れぬ。
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by agsanissi | 2008-01-19 14:02 | 参考記事
2008年 01月 04日

穀物をめぐるニュース二件

中国財務省は、1月1日から一年間
「小麦やコメ、大豆など穀物と穀物製品の8種類57品目に5―25%の輸出関税を課す」
と発表した。税率は麦類が20%、麦類製粉が25%、コメ、トウモロコシは5%など。
中国では、昨年末から消費者物価指数、特に食品価格指数が大幅に値上がりしている。
輸出関税の引き上げは、穀物輸出をセーブして国内消費に振り替えるための措置。
(07/11の食品価格指数の前年同期比は+18.2%、同じく消費者物価指数は+6.9%)

一方、米国農務省は「07年の農家収入が前年比48%増の875億ドル(約9兆9000億円)
になる」と予想、過去最高だった04年の実績を上回る見通しとのこと。
その要因は、「ガソリン代替燃料エタノールの原料となるトウモロコシ価格の上昇」で、トウ
モロコシの作付面積が戦後最大の水準に広がった影響で、ほかの穀物にまで供給不足
への警戒感が台頭。小麦が年初から2倍、大豆が同7割近く上昇した、とのこと。
(Nikkei Netから)

一時的な投機ブームによるものか、多少とも長期的な穀物需給の逼迫に基づくものか、
まだわからない。尤も、身近では餌代の高騰で牛屋さんなどが屑麦、屑ダイズ、屑芋など
求める声をちらほら聞く。
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by agsanissi | 2008-01-04 06:11 | 参考記事
2007年 12月 16日

稲作農業

このところ朝の冷え込みが緩んできたような気がするが、これで平年並みか。
昨日から来年用の種芋の保管作業(点検・箱詰め)を始めた、3-4日の予定。
これで今年の農作業は、すべて完了。
開発農地の付属施設のような形で、機械銀行が設置されており、農協が管理してきた。
この機械銀行の「管理運営をどうするか」という問題が、今年の夏あたりから再燃し、
更に12月になって農協の大合併に伴って、農協は「機械銀行の管理運営を手放したい」
と尻に火がついた勢いで求めてきた。今後の運営主体を、どこが担うか、どんな方法で
運営していくか、この問題の基本的な方向を、年内に定めておく必要がある。この見通し
を付ければ、文字通りすべの作業は完了。
**********************

「食料自給を考える」は、まだ頭の中でもやもやした形で、すっきり形が見えない。いざ
書き始めれば、問題点がはっきり見えてくるような気もするが、焦ることもあるまい。
「認識革命るいNETWORK」に「新しい農のかたち」と題する会員制ブログがある(参照)。
11/18と19のブログで「食糧自給率問題を考える」を扱っており、ここで池田信夫ブログ
に寄せられた批判的コメントを紹介している(参照)。19日号の最後に「食糧自給率を
考える上でキーワード」を10点指摘している(参照)。参考記事として掲載しておく。

団藤保晴氏の今日の「ブログ時評」に「専業農家の救出を急がねば稲作は崩壊」(参照
という記事が掲載されている。
僕は、稲作農業のことを扱ったことがない。稲作のことは殆ど知らないし、村全体の販売用
の出荷量も百袋程度と身近に稲作百姓がいない。というわけで扱ったことがないが、考える
素材として参考記事として指摘しておく。
要点は、
1.2000年当時はまだ「豊作貧乏」の段階だったが、いま起きている収入激減はコメの商業
生産をしている専業農家に廃業を迫る。明日に見えるのは稲作崩壊だ。
2.米価下落阻止にしか関心がない農協の運動に疑問
3.新たに始まった集落営農によって、コメ生産調整のたがは緩み、「望ましい作付面積」156
万ヘクタールに対して全国で7.1万ヘクタールの過剰作付けが発生した。これによって年々下
がっている米価の下落に拍車がかかった。
4.民主党は全ての主要農産物販売農家に対し農業者戸別所得補償をすると訴えた。政府・
与党も切り捨てたはずの小規模農家への対策を考え始めた。しかし、農業、特に稲作にとって
焦眉の急はコメ専業農家を窮地から救出する対策ではないか。
5.現在の集落営農では専業農家は痛めつけられ、いずれ廃業に追い込まれよう。
関連記事として、上記「新しい農のかたち」の12/02に「役人が机上で計画したものを全国に
当てはめる農業政策はもはや通用しない」(参照)が掲載されている。
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by agsanissi | 2007-12-16 07:46 | 参考記事
2007年 12月 03日

尻に火がついた?

明け方から本格的な雪になった。「大雪に関する気象情報」が出され、明日の未明にかけて
雪は降り続き、大雪になる可能性。

「品目横断的経営安定対策」について、07/08/08のコメント欄(参照)で、
農水省幹部は、品目横断は「今後十年は見直しはない」と断言したそうですが、参加対象外
の農家の不満が大きいこと、制度自体の内的矛盾も大きいこと、足元の政権自体が俄かに
不安定になったことなどの理由で、早晩、見直さざるを得ないことになりそうですね。

と書いた。
この「今後十年は見直しはない」という発言は、本省が出先機関の職員を集めて開いた会議
での話を参加者から聞いたもので、参議院選挙前のものだ。
いまは、「今年中」という期限で、大車輪で見直し作業に入っているそうだ。
・安部首相の辞任で、俄かに政局が不安定になったこと
・農村地帯の議員の尻に火がついたこと
・新米の落札価格の値下がりが「新制度」への不満に油を注いだこと

先日の鳩山氏の発言に次いで、12/01付け朝日新聞WEB版に
担い手を育てる狙いで今春始まった国の新農業政策で主産地ほど小麦農家の年間所得が
下がることが分かった。全国収穫量の6割を占める北海道では3割以上減る農家が続出する
見通し。国の助成金が近年の収量増を十分反映しない仕組みに変わったため。(中略)
助成金のもとになる単価の算定は、その年の品質に応じた方法から、過去7年間(北海道の
場合98~04年)の10アール当たりの収量(単収)などに基づく方法
に中心を変えた。国際
ルールに従うためで、市町村別に農水省が決める。(中略)
北海道の単価は05、06年の直近2年の単収に基づく場合に比べ、産地120市町村の8割が
マイナスとなり、20%以上減は55市町に上る。国内産地2位の福岡、3位の佐賀両県もマイ
ナスの市町村が大半で、佐賀では23市町中10%以上減が22市町(うち20%以上減が5市
町)あった。

という記事が出ている。
この記事の見出しは「小麦農家で所得3割減が続出 北海道など深刻 新農政で」という
かなりショックなもの。その割りには、「年間所得」とか「単価」という言葉を、かなり無造作に
使っていて、実際に何が「減収」になるといってるのか、理解できない。
麦の所得に関して、「品目横断的経営安定対策」で、何がどう変わるか、概略的に云うと
18年産までは当該年の「販売収入+麦作安定基金」という構造だったものが、
「販売収入+過去の生産実績に基づく支払い+当該年産の生産実績に基づく支払い」という
構造に変わる。更に、この内の「過去の生産実績に基づく支払い」が麦収入の七割程度を
占めるように制度設計されている。
この内、「過去の生産実績に基づく支払い」の部分が、朝日の指摘する「過去7年間(北海道
の場合98~04年)の10アール当たりの収量(単収)などに基づく方法」に相当するようだ。
「過去7年間」というのが、何を根拠に書いているのか知らないが、実際には平成16-18年
の3ヵ年の平均収量に基づいて算定する。朝日の記事の「所得3割減」が、この三つの構成
要素の全部を合計したものを問題にしているのか、「過去の生産実績に基づく支払い」だけを
問題にしているのか分からない。記事から判断すると後者のような気もするが、これを「年間
所得」というとすれば、明らかな間違い。
朝日記者の頓珍漢な理解では「品種改良や技術革新が進む小麦の主産地では、単収が増
える傾向。06年など直近の高い数字が算定に使われずに過去の低い数値が採用され、助
成金が下がる」ことに問題があると見ているようだが、2年や5年で技術革新が進んで、単収
が急に上がるわけがない。本当の問題は、07/06/29「小麦の作柄」(参照)に書いたように
・過去の生産実績の算定基準を、小麦の検査基準が異常に厳しくなった直後の3ヵ年に固定
する点にある。
・朝日の云うように、仮に過去7年間であれば、相対的に「検査基準が異常に厳しくなった」点
の不利益は緩和される(農水省の説明を見れば分かるように、7年は間違い。参照)。
・平成16-18年に固定せず、移動平均方式にすれば、その後の技術改善が反映されるが、
制度設計はそうなっていない。
という点にある。

鳩山氏の指摘にしても、朝日の記事にしても、何を問題にしているのか、そもそも「品目横断
的経営安定対策」の中身をどれほど理解してるのか危うい。
そもそも「助成金のもとになる単価の算定」方式が変わることで、小麦の年間所得が全体とし
て減収になる可能性があることは「品目横断的経営安定対策」の制度設計の基本に関わる
ことで、最初から分かりきっている。「新聞」記事どころか旧聞に属することは、
僕の06/09/15、06/09/20、06/09/16、06/09/18、07/06/29の記事などを見てもら
えば分かる(カテゴリー分類の「参考記事」や「小麦」から簡単に参照できる)。

大騒ぎするにしても、制度設計の中身を理解もせず、ただ所得の減収だけを担ぎまわって、
一時金の支払いなどでお茶を濁し、制度の基本をそのまま据え置かれたのでは堪らないな
というのが、僕の率直な感想だ。
鳩山氏は、この点を承知してかどうか「法律を変えるのはすぐにはできなくても、緊急対策で
きちんとしのいでいかなければならない」と弥縫策でごまかすことを示唆している。
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by agsanissi | 2007-12-03 12:01 | 参考記事
2007年 11月 27日

「品目横断的経営安定対策は詐欺に近い」?!

11/24付け読売新聞WEB版に、
鳩山法相は24日、福岡県大川市で講演し、大規模農家を対象に今年度に導入された品目
横断的経営安定対策について「自民党と農水省でやってきた品目横断は詐欺に近いと思う」
と批判した。(中略)
法相は「今年の場合、麦で言えば2割増産した人が2割、3割減収になっている」と指摘した
上で、「結果として増産して減収になるというようなことは、どこかに嘘(うそ)がある。法律を
変えるのはすぐにはできなくても、緊急対策できちんとしのいでいかなければならない」と述
べた。

という記事が出ている。
実際の交付金の申請はこれから行われるわけで、麦の販売収入が確定するのは年度末
になる。下線部の指摘、実際に法相がこういう指摘をしたのかどうか、またどういう統計に
基づいて指摘したのか分からないが(個別事例としては、当然あり得る)、
・なぜ、今の時期にこういう指摘をしたのか?
・これを指摘したのが、なぜ、法相なのか?
・単なる個人的思い付きなのか、アドバルーンか?
趣旨の分かりにくい記事だが、参考記事として掲載しておく。
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by agsanissi | 2007-11-27 22:34 | 参考記事