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農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

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2008年 05月 01日

「毒」とはなにか?

以前、「土を考える」を書いていたときに農薬の毒性に関連して「毒」とは何か?をきちんと書い
ておかなければと考えていたのだけれど、未だに果たしていない。

化学合成された物質を忌避して、天然素材のものなら安心する素朴な心情は、まあ「反科学
主義」の流れとして理解できないことはない。西洋と東洋では「自然」の受け止め方自体が
違っているだろうし、これはまた僕の単なる直感なのだが、科学する態度そのものに微妙な
違いの影を落としており、科学的客観主義といっても一様ではないのではないか。

これは余談として、ある物質が「毒性」を持っているかどうかを判断することは、それほど単純
なことではない。天然にない合成物質は、自然にとって毒だという考え方もあるが、これは明確
で分かりやすいけれど、これは単なる信念のようなもの。他人の信念をけなすつもりはないが、
天然と合成との境界線は、アダムとイブがリンゴの実を食べて以来、微妙な問題だし、本質的
な意味では科学的合成物など何もない。こういう哲学的話は脇においても、「毒性」を計るには、
必ず量と質を問題にしなければならないが、農薬の「毒性」を問題にする議論には「質」だけを
云々する偏頗な議論が多い。僕なりの考え方をまとめるのは、またいつかのことにして、4/28
の農協新聞に「毒性とは何だろうか」という関連したコラムが載っているので、問題提起として
紹介しておこう。

以下引用。
いったい毒とはなんでしょう? という問いに対し、多くの方が「そりゃ簡単な質問だ。飲めば
すぐに死んでしまうものを言うのだよ」とお答えになるようである。はて、そうであろうか。確か
に青酸カリのように飲めばイチコロのようなものがあり、毒に対しては怖いイメージがつきま
とう。けれども、この世には色々な物資があり、天然物質や化学物質やらそのどれもが多か
れ少なかれ毒性を持っているのである。このことは、幾度となく農協新聞さんでも取り上げ
られているので、多くの読者の方がご理解なさっていると思う。
 そう、毒というものは、「あるかないか」ではなく、「強いか弱いか」で判断しなければならない
ものである。農薬にしろ、医薬品にしろ、物質が持つ毒性を上手に使っているに過ぎない。逆に
いうと毒性があるからこそ、薬にもなるのである。昔から、何の役にも立たないことを指して
「毒にも薬にもならない」というではないですか。
 ところが、現在の農薬に対する反応をみていると、「虫が死ぬから毒だ」とか「草が枯れるから
人間にも影響があるだろう」といった非科学的なものが多いような気がする。人それぞれに考え
方があるので、全否定するつもりはないが、それが「全て正しい」と思いこむのはどうかと思う。
農薬の毒性試験って「これでもか!」というぐらい安全性に関する試験データが求められ、虫は
死ぬけど人やトンボには大丈夫だとか、草は枯らしても人は枯らさないなどの証明データが
きちんと整備されている。
 ADIや基準値にいたっては、動物実験で毒性を示さないという量からさらに100倍も1000倍
も安全見越した数値が採用されている。トンボは、世の中に農薬ほど特性や安全性が明らかに
されている物質はないと思うのだがいかがであろうか?
参照

# by agsanissi | 2008-05-01 06:19 | 考える&学ぶ
2008年 04月 29日

ジャガイモ播種手順

昨日、ジャガイモの袋詰めをしていると、「いつまで何やってるのよ?!」と云われてしまった。
口癖のように「早植え、早植え」と云ってるのを揶揄されたのだ。
「ゴールデンウィークに播くようじゃ、止めた方が良い」等といいながら、さて掛かってしまった。

気象条件もあるし、体力条件もあるし、昔は、こうなれば焦りに焦ったが、焦らなくなったのが、
進歩か退歩か、年相応の知恵か?

22~24日と三日間に2.6トンほど播いて、24日の昼過ぎから25日にかけて雨、26日は晴れ
たが条件が悪く、27日は俄か雨、28日に1トン播種。実際の播種時間は1~2時間だが、準備
に時間がかかり、中々、思うに任せない。

ジャガイモ播種手順_c0048643_3523294.jpgジャガイモ播種手順_c0048643_353385.jpg










まずは、地面に広がった芋を23キロ程度の小袋に詰める。ただ詰めるだけではなく、詰め
ながら最終点検をする。一見、立派だが芽の動きの悪い芋、表は異常なしだが裏返せば
腐れのあるもの。以前は、人に頼んでいたが、安心して任せらる人がいない。
選別眼が、年取った人は「もったいない」という意識が先に立ち、若い人は機械的になるし
と、なかなか難しい。結局、自分でやることになる。

ジャガイモ播種手順_c0048643_465291.jpgジャガイモ播種手順_c0048643_473893.jpg









今度は小袋から200キロの袋に詰め替え、播種機の芋タンク(100キロ×2)に詰める。
この詰め替えの二度手間を何とかしたいと、昔から考えているが、良い知恵がない。
ここまで準備すれば、後は簡単。
この畑の最大長は300メートルあるが、両端10メートルを落として280メートル、これを
4.2キロ/hで走って4分、往復に10分かからない。13年前、この畑に初めてジャガイモ
を植えたときは、肥料をまいて、土をかぶせ、種芋を置いて、土をかぶせ、一工程を終わ
らせるに、往路に半日、復路に半日、12時間労働で一往復したのを思えば夢のよう。
280メートル÷30センチ≒930、930×4×50グラム≒180キロ、6往復で1トン強。
1トンの芋を播くのに、芋と肥料(100キロのタンクが芋タンクの前にある)をつめる時間を
入れても1時間強で充分。

ジャガイモ播種手順_c0048643_430931.jpg播種跡は、こんな風に平畝になる。地温の上がりにくい時期は、
芋の出芽時期を早めるために平畝にしておくのが合理的だ。
除草をかねて、中耕カルチを三度ほど繰り返し、徐々に畝を
盛り上げ、今からだと6月第一週までに最終培土をして25cm
ほどの高さに盛り上げる。
畝が湾曲しているのは、地盤がやや軟弱なためですね。

# by agsanissi | 2008-04-29 04:39 | ジャガイモ
2008年 04月 27日

農薬の「安全性」に関する面白いお話

「農薬」に関する面白い話が、25日発行のシンジェンタ・ホット・ニュース、Vol.80に載っている。
参照

農薬についての僕の一般的な考え方は、他でも書いたことがあるが、医薬品一般に対するのと
基本的に変わらない。必要なら使うけれど、不要なら使わない。使う必要のないような生活習慣
を心掛けるのが一番だけれど、使わないことを「原則」とするのは、時に深刻な危険を招く。
農業の場合、消費者が「無農薬栽培」を求めるのは単なる過剰保険で、「過剰」な要求に充分に
見合うだけのコストは生産者の心情なり信念なりによって負担されている。
農薬の一般的な「危険性」は、環境に対する負荷とそれを使用する農業生産者に対するもので、
残留農薬による健康被害の可能性は、事故や誤用を除けば、殆どない。
簡単に言うと、そんな風に考えている。

シンジェンタ・ホット・ニュースに福山大学梅津憲治客員教授が「農薬と安全」という連載記事を
書いておられる。今回は第10話で、有機栽培農家や消費者の素朴な質問というテーマだが、
この疑問が素朴で、真っ当で、行政の無節操というか、二股膏薬というか、八方美人というか、
要するに無原則を衝いていて
、実に面白い。
シンジェンタは世界的な農薬会社で「梅津」というのは農薬学者で、農薬会社のエピゴーネン
だろと思われる方は、最初から目を瞑って自分の世界を狭くしておくのが宜しい。

以下引用。
「先生の説明が正しければ、農薬の作物残留や国民の農薬摂取の実態に
問題がないようですね。それでは、何故、行政は“農薬を使用しない農
業”や、“農薬の使用を半分にする農業を推進するのでしょうか。
国はやはり、残留農薬は人の健康に悪影響を及ぼしていると判断してい
るのではないでしょうか。」

全国各地で開催される「食や農薬の安全性」に関する講演会に招かれて
行なった講演中に、有機栽培農家や消費者から回答に窮する素朴な質問
を受けることが多々あります。その一つが、「作物への農薬残留の実態
や消費者の残留農薬摂取の実態に関する検証結果から、残留農薬は国民
の健康に対し悪影響を及ぼしていないと科学的に言えます」いう趣旨の
説明を行なった際に、有機栽培農家から出される質問です。「本当は問
題があるのでしょ。 作物に残留する農薬は国民の健康に悪影響を及ぼ
しているのでしょう。国や地方行政は問題を隠していませんか? そう
でなければ、農薬を使用しないあるいは使用を半分にする農業を行政が
推進する筈がないでしょう!」というものです。本当に真面目に有機栽
培や無農薬栽培(現在は、特別栽培という用語が使用される)に取り組
んでおられる農家の方々に納得していただくのは容易ではありません
が、通常以下のような回答を行なっています。

『私もあなたと全く同じ疑問を持っています。国は、科学者を総動員し
て、各種の安全性データを基に、農薬ごとに残留農薬の1日摂取許容量
を決め、それに基づき作物への農薬残留基準を決定しております。
その基準を基に、「種々の農産物における農薬残留量や残留頻度がこれ
これ以下ですので、国民の健康に全く悪影響がございません。国民の残
留農薬の摂取量は健康に影響を及ぼすようなものではありません。」と
言っておきながら、一方で、“残留農薬が国民の健康に悪影響を及ぼし
ているとの印象を与える”農薬の使用を半分にする農業や有機農業を推
進するという自己矛盾を犯してきました。 「この現象をどのように説
明するのですか」と行政の代表者に質問しても、適切な答えを得たため
しがございません。講演会後にこれをやらないと “予算がとれません
ので!” という冗談めいた答えが返ってくることもあります。』
以上のような返答だけでは、一生懸命に有機農業や特別栽培に取り組ん
でいる栽培農家の方が納得しませんので、私なりに以下の内容の追加説
明を行なっています。

『農薬や残留農薬は消費者の健康にとって問題がないといくら説明し
ても、やっぱり農薬はいやだ。農薬を使用せずに、あるいは使用を半分
にして生産した特別栽培農産物や有機栽培農産物に対するニーズは消
費者の間に常に存在します。そのようなニーズが存在するなら、行政と
して“キチンとそれらに対応した基準やガイドラインを作りましょう”
ということが実情と思われます。農薬の安全性とは少し別の観点から、
行政の中に“農薬は安全”と言う課と“農薬の使用を減らしましよう”
と主張する課とが隣り合わせに居を構えるという『奇妙な現象』が生じ
ていると私は理解しております。

それにしても、皆様は苦労し、手間隙をかけて有機栽培農産物や特別栽
培農産物を作っているのですから、通常の作物より高い価格で付加価値
を付けて販売して下さい。また、有機栽培であるという理由のみで、
人の健康に良いとは言えませんので、生産する作物の安全性には慣行栽
培の場合と同様に十分に注意を払って下さい。』

# by agsanissi | 2008-04-27 05:30 | 参考記事
2008年 04月 26日

追肥効果が見えてきたかな?

内陸部は、今朝は軒並み氷点下、藪川・区界などは氷点下5~4度まで下がっている。
沿岸部では普代は、やや低いほうで+1.3度。

追肥効果が見えてきたかな?_c0048643_4245986.jpg追肥効果が見えてきたかな?_c0048643_4403976.jpg追肥効果が見えてきたかな?_c0048643_4413290.jpg









こうして三枚を並べて見ると、やや追肥効果が見えてきたかなという気がする。
左は、4/15の追肥直前のもの。隣の二枚は昨日の午後、幾分、傾向は残っているが改善された。

ついでにナタネの話だが、今年はすっかり消えてしまった。
去年のうちは、弱々しいながら出芽していた。ところが、今年戻って見ると、殆ど消えていた。
播種時期が遅すぎたのだろうか、雪がなかったために寒さにやられたのだろうかなどと疑問
に思っていた。東23のソバ跡に、その前の年に播種したナタネのこぼれた種子がきれいに
出芽して、かなりの大きさになっていたものもすっかり駄目になってしまった。
ところが、一部、冬前にかなりの大きさ(15~20センチ)になっていたものは元気に伸びている。
やはり播種時期が遅すぎたせいだろうか、と考えていたところに
岩泉の方が来て、9月に播いたナタネが、去年内はきれいに揃っていたのに、今年になって
「すっかり消えてしまった」と話していた。普代と同様、雪がなかったそうだ。
ナタネは、意外に寒さに弱いのかしら?

# by agsanissi | 2008-04-26 05:01 | 小麦
2008年 04月 25日

農機管理組合/下

従来の農協の「管理」ぶりには、誰も納得していない。
そこへ持ってきていきなり「投げ出したい」と云い出せば、「はい、そうですか」とは行かない。
11日の会議は、結局、埒開かず。農林商工課の「農家の皆さんだけで話し合って見たら」
という提案で、翌12日に集まる。

石橋を叩いても他人が渡って安全を確かめるまでは絶対に渡らない人、他人の言うことには
何よりも先ず反対意見を云う人、一代で社業を起こした豪の人、抜け目のない人、一見破天荒
に見えながら豊かなコモンセンスの持ち主と自認する僕など五人十色の多士済々、外見だけ
は、これで一体まとまるのかと思いきや、そこは利に聡い面々だから(強欲な人と利に疎い人
は端から不参加を表明)、どんなに有利な話か、少なくとも不利益にはならないことが分かれば
さっとまとまるはず。
・トラクター類の更新は、事実上、不可能と考える(自分の寿命との競争だな)
・個人のみの使用するアタッチメント類の管理責任は個人に帰する
・共同利用のトラクター及び耕起関係のアタッチメント類のみ共同管理する
・自主的に管理・補修し、耐用期限を最大限引き延ばすよう努力する
・組合員の利用料は燃料実費+定期メンテナンス費用とする
その他、農協所有の機械倉庫は無償で貸与する、管理権の移管に際しては農機類を整備・
修理するなどを条件に、農機管理組合を発足させ、自主的に管理すると、簡単に一決。

農協が「管理権を投げ出す」ことに、どんなに不満たらたらを述べようと、客観的に考えて
見れば、7台のトラクター(18、37、54、68、75、90、100馬力)を初めとする百種類近くの
農器具類(使えないもの・使わないものを整理して、最終的に42種類になった)を無償で、
しかも倉庫付属で、管理権を移管したいというか、「是非とも、管理を引き受けて頂きたい」と
辞を低くくして頼み込んでくるなどという、べらぼうに有利な話が何処にあるだろうか??

単に、駆け引きとしてのみならず、本心から「不満」を持っているかの形跡が伺えるのは
農機銀行の便利さにすっかり甘えて、おんぶに抱っこの状態で過ごして来てしまったために、
経営者なら自分の使用する設備機械類を保守管理するという当たり前の基本原則を忘れて
しまったためではないのか?!

ともあれ、07年は
・管理組合を発足させる
・細目は、役場、農協、普及所、組合代表で年明け後に詰める
と決まった。(三回で終わる積もりだったが、まだ終わりそうにないな)

# by agsanissi | 2008-04-25 06:50 | 機械類