2011年 01月 03日
まず、外観品質 1.土砂率 ・多湿や土壌条件の他、ソウカ病、粉状ソウカ病、象皮病の病害、及び皮目肥大、粗皮、ネット、亀の甲症などの生理障害に伴う土の落ちにくい 状態。機械の操作法および調整に伴う問題。土壌の単粒化。 ・対策は、病害及び生理障害は、腐熟堆肥のすき込みと輪作の確立。また充分な培土で比較的乾燥気味の条件で育てる。 2.腐敗 ・土壌病害または疫病による腐敗。「皮目肥大の起きやすい排水不良条件及び不良培土条件」という共通の土台がある。⇒経験的にも病害芋 の多くは表皮の損傷(その原因がなんであれ)を伴っている。これは表皮が内部組織の保護膜になっていることを考えれば当然。土壌条件と しては高pHと多湿条件に注意。粘土質土壌では、気象条件と土壌水分の変化との間にどんな相関関係があるか、定量的に観察のこと。 3.発芽 ・収穫期の芽が伸びるのは、二次生長のひとつの形、生長末期に高温乾燥が続き、早期に強制休眠に入ったとき、またはその後の低温に 伴う雨があったとき。対策としては充分な培土(芋の周辺地温を17-22度に保つ)と水もちのよい土つくり(適量の堆肥のすき込み)⇒今年の ワセシロの二次生長に伴う変形・奇形・コブ・出目および発芽は酷い。キタアカリ及び男爵芋と播種時期は、せいぜい一週間程度の違い しかないが、こっちには二次生長の兆候は殆ど無い。キタアカリは、生長が途中でストップしたようで、全般的に肥大が悪く、小芋が圧倒的。 男爵は、全般的に順調な生育と判断している。ワセシロは、三回の播種経験しかないが、過去二回は形質の良い大きなイモが採れるという 印象だったが、それをすっかり覆す経験になる。8月半ば以降のかつてないような「高温乾燥」条件がワセシロの生長末期とぴったり重なった ということか。これについては、もう少し経験を重ねないと。一方、今年の男爵は、中心空洞がかつてないほど多い。L、2Lクラスにはかなり 頻繁に発生したようだ。ちなみに「十勝コガネ」を参考に頂いたが、MからL以上まで、ほぼ全部に中心空洞がある。 4.機械受傷 ・10度以下での低温下の作業を避けること、「イモは生ものである」という意識を持つこと、更に完熟イモ収穫すること。完熟していれば4メートル のバラ済み圧力にも耐えられる。 5.病虫害 ・主要なものはソウカ病、象皮類似症(亀の甲症)、粉状ソウカ病で、いずれも土壌病害で前二者は細菌性病害でpHが5.6以上、比較的乾燥条件 で発生しやすく、後者は菌類病でやや酸性で多湿条件で発生しやすい。ソウカ病と粉状ソウカ病を混同して間違った対策をしている例がある。 ・基本的な対策は、イネ科作物の後作とする輪作の確立と完熟堆肥の適量すきこみ。皮目肥大を起こさないような生育条件の確保。 6.変形と緑化 ・二次生長による変形は生育後半に高温乾燥が続き、その後に低温多湿という気象条件の時に発生しやすい。また休眠の浅い品種は発生しやすい。 ・近年の変形はクロアザ病のをなくせば、大部分は解消する。 7.粒ぞろい ・すべての加工用品種で株当たり茎数を4本にする技術&株間を30センチに揃え、短期間に斉一に出芽するような均一な圃場を目指す。 参考:イモの病害&生理障害による塊茎被害の図版は、「ジャガイモ博物館」(参照)の項目42、43の「塊茎の異常」を参照すると良い。 イモの品種特性は、同じく「ジャガイモ博物館」の「品種解説」(参照)が良い。「北海道の畑作物・優良品種」(参照)から、1965年以降 新たに開発されたジャガイモの品種の特性一覧が見られる。 **************************** 【日々雑纂】 ・早朝、寒さの厳しい時は速歩で歩くと、ちょっと息苦しさを感ずるけれど、今朝は「いくらでも速く歩ける」ような感触があった。 尤も、単なる「思い込み」に過ぎなかったことは記録を見ると明らか。昨日は5時33分から39分間歩いて146Cal消費している (3.74Cal/分)のに対して、今日は5時46分から36分間で125Cal(3.47Cal/分)。この間の心拍数は昨日が平均94/最高109 に対して、今日は91/104。明らかに緩いテンポ、そのくせ気持ちだけは飛ぶように歩いた。よく解釈すれば許容限界の拡大? ・また、一般的に「寒い」時のほうが「温かい」時より、他が同じ条件なら単位消費カロリーは高いように思うが、実際には温かいほど 心臓への負荷が低いのか、より速く、従って単位消費カロリーはより高くなるようだ。昨日の昼間、13時53分から36分間に154Cal (4.23Cal/分)消費して、この間の心拍数の変化は98/116だった。 ・Braudelの「The perspective of the World」の第6章The industrial revolution & growthを拾い読みする。 産業革命とは、18世紀後半、イギリスの動力革命&機械革命によって始まり、ついでヨーロッパに波及し、19世紀にはアジアで 唯一日本に波及した近代工業社会の基礎を築いた経済的・社会的(次いで政治的)変革、と単純に理解できるほど明瞭な歴史的 事実ではないし、またマルクス主義者の想定するような生産力の発展に対応する「生産関係の変革」という枠組みで単純に理解 出来るような歴史的過程でもないということがよく判る。一見、瑣末な歴史的事実の集積のごとく見えるが、無類に面白い。 ・日経新聞に「秋丸機関」の報告書の話が載っている。電子版ではさわりしか読めないが、「秋丸機関の全貌」(参照)に詳しい。 単に現実を直視できぬ人間的弱さと見るか、実証的精神の欠如とみなすか、特定の理念を掲げる国家の倒錯観念と見るか?? ・まだ読んだことはないが、猪瀬直樹「昭和16年夏の敗戦」も同じテーマを扱っていたはずだ。Amazonの紹介に「緒戦、 奇襲攻撃で勝利するが、国力の差から劣勢となり敗戦に至る…。日米開戦直前の夏、総力戦研究所の若手エリートたちが シミュレーションを重ねて出した戦争の経過は、実際とほぼ同じだった!知られざる実話をもとに日本が“無謀な戦争”に突入 したプロセスを描き、意思決定のあるべき姿を示す」とある。
by agsanissi
| 2011-01-03 08:52
| ジャガイモ
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