2011年 03月 01日
・日本人は”二つの人種”に分けられる、日本人は2つの“人種”に分けられると思います。日本国内のことしか分からない人と、海外の ことを知っている人です。この2つの人種は、お互い日本語を使っているのに、言葉が通じないんですね。(日経ビジネス、11/03/01 「学ばない日本」に明日はない、中国人ジャーナリスト・莫邦富氏の言葉から、参照) ・異所性脂肪、昨日の続き、どうやら昨年3/06に放送されたNHK番組「追跡! AtoZ “肥満は悪くない?”」以来、サイト上でも話題に なっているらしい。10年12月には『異所性脂肪-メタボリックシンドロームの新常識-』(日本医事新報社、参照)という専門書も刊行された。 出版社の内容紹介には ●皮下脂肪・内臓脂肪に次ぐ「第三の脂肪」といわれる異所性脂肪。 その「脂肪毒性」が、日本人の糖尿病や脂肪肝の原因として注目されています。 ●日本人は皮下脂肪の貯蔵能が低いために異所性脂肪が蓄積しやすいのです。 ●異所性脂肪の蓄積と「脂肪毒性」のメカニズムを最新の研究にもとづいて紹介します。 ------- と紹介されている。 河盛隆造(順天堂大学大学院[文科省事業]スポートロジーセンター センター長)氏は、「書評」に 医学の進展は今、とても早い。細胞を用いての新発見が直ぐに臨床医学に応用されている。その代表例が「異所性脂肪」研究である。 特に日本からの新規な発表が多い分野といえよう。.... 脂肪組織以外の臓器の細胞内に蓄積する脂肪が「異所性脂肪」であり、それぞれの臓器に対して直接的に毒性を発揮し、インスリン 抵抗性や炎症といった臓器障害を引き起こすことが明らかになってきた。さらに異所性脂肪蓄積状況は、「全身的な肥満」とは独立して 認められ、その時々の代謝状態や動脈硬化進展を決定していること、加えて治療介入により短時間でダイナミックに変化することなどが 明らかとなってきた。(参照) と書いている。要するに「異所」とは脂肪細胞以外の臓器内の細胞の意味のようだ。この場合、すべての臓器細胞なのか、特定の臓器細胞 に限られているのか? この論文集の筆者の一人門脇孝教授は、09年6月創刊号『月刊糖尿病』で、次のようなことを書いておられる。 ・糖代謝は膵β細胞,肝臓,骨格筋が主要な調節臓器となっている. ・エネルギー過剰に対する脂肪組織,膵β細胞,肝臓などの小胞体ストレスや酸化ストレスは一種の適応現象と考えられ,このような ストレス応答の破綻として糖尿病の発症をとらえる研究が展開している. ・エストロゲンを豊富に有する閉経前女性では皮下脂肪を蓄積する予備能が十分で,余剰なエネルギーを皮下脂肪として蓄積するため 内臓脂肪は蓄積しにくい.一方,エストロゲンが不足する男性や閉経後女性では皮下脂肪を蓄積する予備能が制限されているため, 余剰なエネルギーは内臓脂肪に蓄積しやすい. ・内臓脂肪蓄積がある一定の量に達すると,蓄積しきれない余剰のエネルギーは肝臓と骨格筋に蓄積し,異所性脂肪沈着を起こすに至る. ・肝臓や骨格筋の異所性脂肪沈着は本来,脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンによって燃焼されるべきものであるが,内臓脂肪蓄積 状態下の肥大脂肪細胞ではアディポネクチンが低下し,炎症性のサイトカインが上昇し,異所性脂肪沈着とインスリン抵抗性を増悪させる 方向に作用している.(参照) 要するに、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積される許容限度を超えた余剰エネルギーの摂取がインスリン抵抗性と相俟って不完全燃焼に陥り 「肝臓と骨格筋」などの臓器細胞内に蓄積・沈着する状態を指しているようだ。 ・「異所性脂肪」の概念自体は、ごく最近のものか、07年6月発行『糖尿学-基礎と臨床』の索引には、この言葉は載ってない。但し、「脂肪 毒性とインスリン分泌」と題して、1994年に遊離脂肪酸(FFA)の膵ベータ細胞障害作用に注目して「脂肪毒性」という概念を提唱したことを 紹介している。すなわち「過剰なFFAが脂肪組織以外の組織(肝、骨格筋、膵β細胞)に作用した結果、耐糖能が悪化することを「脂肪毒性」 といい、特にインスリン分泌に及ぼす悪影響を膵β細胞脂肪毒性と呼ぶ」119.p ⇒要するに、この段階ではまだ余剰FFAの脂肪組織以外の組織に対する「作用」として認識されていたものが、沈着・蓄積された状態として 「異所性脂肪」として概念化されたということか。 ・2/24の「再び脂肪の悪魔?」の記事とも関連するけれど、ここでもやはり「脂肪」が悪者にされる気配だ。別段、脂肪摂取を推奨する気は サラサラ無いけれど、食事による血糖値管理のために「糖質制限」をすれば、どうしたって脂肪によるカロリー摂取の割合は増える。 脂質摂取の割合の高さが、即「異所性脂肪」の沈着に直結するのかどうか、日本の糖質制限食の第一人者ドクター江部のもとにはNHKの 放送直後に早速質問が寄せられている。それに対し、「糖質+脂肪」が最悪のパターンだと答えている。 糖質を摂取してインスリンが大量に追加分泌されているときに脂質を摂取すると、筋肉細胞中のリポタンパクリパーゼが抑制されて脂肪酸を 上手く利用できないので、食事由来の血液中の中性脂肪が高値となり長く持続します。これが異所性に蓄積する可能性が高いです。 「糖質+蛋白質」なら、インスリンが大量に追加分泌されていても食事由来の脂質はないので、血液中の中性脂肪がそれほど高値となること はありません。ですから、異所性に脂肪が蓄積することは少ないでしょう。 まあ、血液中のブドウ糖を筋肉が利用して余った血糖は、インスリンが脂肪組織に中性脂肪として蓄えますが・・・。 参考:肥満と循環器病(札幌厚生病院循環器科)
by agsanissi
| 2011-03-01 08:19
| 日々雑纂
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