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農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

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2011年 11月 15日

ダイズ刈り取り

◆今日からダイズ刈り取りの予定
・今朝は風が強い。朝の冷え込みは然程でもないが(1.2度/3:57、8時台には3度まで上がる)、風が殊の外冷たい。ダイズの刈り取り
予定で、西1-東6-東8と見てまわる。西1はスズカリ、他は黒大豆。どこも葉はすっかり落ちているが、豆を噛んでみると、やや早いかな
という印象。黒大豆の方は、すっかり丸くならないで地球軌道のように、やや長円形
・ダイズの刈り取り適期というのもあるが、余裕のあるときに刈り取っているのが現状で、適期を気にしたことはまるでない。これでは不味
いかなと反省したのは、去年が初めてでやや過乾燥気味で「皮剥け」しやすかったため、買取を断られたのがきっかけ。尤も、買取拒否
は、皮剥けが本音かどうかは業者の胸の中だけれど。
・写真は10/21と今日、先月はまだ青い葉が多少は残っていたが、今ではスッカリ落ちて莢だけになった。珍しく目立つ雑草も殆どなく
見事なでき。しかし豆そのものは、やや小粒。
・大きな土塊がゴロゴロしていて、慎重運転(倒伏モード)。2時間で1袋(350キロ)。午後はスピードアップ、1時間で1袋。
・15時で刈り取りは終わりにする。日中最高気温は11度、5月以来の低温で、かつ風が強いため肌身にしみる。
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・11/14、コンバイン整備。先々週、コンバインを機械倉庫から引き出したところ、左右の制御ができなくなっている。前進・後進以外は右も
左も融通が利かない。進むか退くか、まるで「神学論争」のような硬直ぶり。当然、旋回はできないから圃場に向かうことすら出来ない。
・電磁スイッチで丸印のピストンを上下させて、油圧で左右のクローラの動きを制御して舵を切る。ところが、このピストンが全く作動しない。
・スイッチか、油圧か、他の原因かなどいろいろ試している内、原因は最も単純なスイッチレバーのワイヤーが錆び付いていて動かない
事に気づき交換する。過去数年間の、旋回時の苦労(力の入れよう)が嘘のようにスムーズに回転するのに今更ながら感激!!
・知らず知らずに進行し、そのゆっくりとした結滞の故に、結滞を結滞とも思わず、ある日突然停止して驚く。まさに動脈硬化の怖さだな。
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【日々雑纂】
壊滅的打撃、反対派はTPP参加によって農業は壊滅的打撃を受け、「農業が崩壊すれば国が崩壊する」とまで云う。僕はTPP推進派
ではないけれど、ちょっと変だなと思う。三陸沿岸の漁業は、今度の津波で文字通り壊滅的打撃を受けた。これを機会に止める漁業者も
いるだろうし、復興も遅々として進まないいらだたしさも、現場には確かにある。反面、予想外の早さで復興しているなとの印象も受ける。
・僕の知っている漁師たちも、殆ど船を流されてしまったけれど、これで絶望してへこたれてしまった人間は一人もいない。今日明日の金
が必要で、一時、漁を離れて出稼ぎに出た人もいるし、他に職を求めた人もいる。でも、ケロッとした顔で「いつかまた、海にでる」という。
・この壊滅的打撃で、三陸沿岸の漁業は二度と立ち上がれないとか、東北は決定的な地盤沈下を避けられないと公言する声を、少なくと
も僕は聞かない。
・ところが、まだ交渉も始まっていない、従って内容も不確定なTPP交渉に参加すれば、農業は壊滅的打撃を受け、結果、国が崩壊する
とまでいう。一方は天災であり、それ自体は避けようがない。他方は、政治的災害であり、多少は選択幅があり、被災を避けられる可能
性はゼロではない。
・要するに、TPP絶対反対なら、推進派の政府を交代させる政権打倒運動しかない。TPP交渉を自分に有利に利用しようとする条件的
反対なら具体的要求事項を掲げて積極的に介入するしかない。「壊滅的打撃」などのおどろおどろしい看板を掲げて絶対反対を叫ぶだけ
では、まさに「神学論争」を挑むに等しい。

青年と老人、【アミエルの日記】(岩波文庫・第一分冊)、1848/03/15の節に、こんなことが書いてある。「一人ひとりにその仕事が
ある。我々は皆人類の仕事にたづさわり、人類の使命を見出してそれを実現することに努めている。靴の底を縫う靴屋も幾多の仲介を
経て人間のうちの神の生活を大きくする役に立っている。生命の上昇的変形、前進的精神化、これが我々の義務だ」
ここには、同年2月のミュンヘン暴動にも、ウィーンやベルリンの三月革命にも、一言も書かれていない。アミエルの日記に時代精神
がどれほどの影響を与えていたか知る由もない。とは云え、27歳の青年の心意気を読み取れる。

・たまたま拾い読みしたエッカーマンの【ゲーテとの対話】(岩波文庫・第三分冊)、1830/10/20にサン・シモン主義に触れている。
エッカーマンがサン・シモン主義の要諦は「各人が、自分の幸福を築くための不可欠の条件として、全体の幸福のために働かなけれ
ばならないということのようです」と指摘したのに対して、ゲーテは「私の考えでは、だれしも、自分の足元からはじめ、自分の幸福を
まず築かねばならないと思う。そうすれば、結局間違いなく全体の幸福も生まれるだろう。とにかく、あの説は私には全く非実際的で
実行できないことのように思うね。...もし、めいめいが個人として自分の義務を果たし、めいめいがその身近な職業の範囲内で有能かつ
有為敏腕であるなら、全体の福祉の向上するだろう。私は、作家という天職に付いているが、大衆が何を求めているかとか、私が全体の
ためにどう役だっているかなどということは決して問題にして来なかった」
82歳のゲーテの円熟した境地と27歳の青年アミエルの心意気との対比は、全体主義と個人主義との対比とも読み取れる。エンゲル
スはサン・シモン主義を空想的社会主義と批判したが、ゲーテが非実際的という意味での「空想的」ではない。社会主義の失敗はさて
おきアミエル的意味での「義務」の精神もエッカーマンの要約した意味でのサン・シモン主義の精神も「一人は全体のために、全体は一人
のために」を標語に掲げた北朝鮮のチョンリマ運動の根底にはあったように思えるが、その社会的実験は最も醜悪な姿を晒している。


by agsanissi | 2011-11-15 08:58 | ダイズ


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