2006年 01月 30日
今日いただいたとびらさんのコメントは、ちょっと面白いことが書いてあるので、またまた 書きたくなった。 まず、「風来さんとは逆に」と書かれている点は、誤解されているのではないかと思うので、 この点の釈明から。斎藤さんの書かれていることは、まさにその通りで施肥設計に基づいて 戦略的に「有機物を圃場に入れる」必要があるのに、実際はそうではなくて「有機物は入れ さえすればよいという安心立命がある」という意味で書いています。 ですからとびらさんの仰るとおり「きっちり土壌分析して、不足を補い過剰を減らしていく ことの提唱」と受け取っていただいて良いわけです。 また「有機物は入れさえすればよいという安心立命」は、量と質はつねに一体として考えな ければならないのに過不足関係なしに「入れさえすれば安心」という考えは可笑しいのじゃ ないか、という意味でもあります。以上は釈明。 次に、とびらさんの引用した「農業界には、有機は安全だ、いくら入れても大丈夫だという、 有機信仰がまかり通っているけど、土壌環境の破壊はこの無知な有機物の大量投入を続けた 結果だ 」という有機農業に対する批判の一節。 これは、いろいろな誤解のうえに、ちょいと見当違いな非難を有機農業にぶつけているので 書いておく。 多分、この人は明示的には書いていないけれど有機物を畜糞・鶏糞などの意味で使っている のではないかと思う。あるいはもう少し広げて生物由来の肥料の意味だろうか。 しかし「無機物と有機物」にも書いておいたように、いまでは有機物にはそんな意味は全く 含まれていない。有機物とは炭素を含む高分子化合物のことで、そこに含まれている炭素と 窒素の割合(C/N比として表される)はいろいろ。 一方、ここに云う「土壌環境の破壊」で問題にしているのは、多分、いわゆる地球環境とし ての「土壌汚染」を、具体的には窒素の過剰投与(あるいは投棄といっても良い)によって 硝酸態窒素やアンモニア態窒素が河川に流亡する問題やリン酸富化を問題にしているのだろ う。とすれば、問題は「無知な有機物の大量投入」ではなく、有機物を家畜糞尿と誤解した 「無知」と家畜糞尿投入を有機農業と誤解した一知半解の合作責任だろう。 例えば、普通の有機物、すなわち稲ワラ、麦わら、野草、木屑などをいくら大量投入(大量 投入といっても、普通の有機栽培ではそんなに大量投入できはしない)しても、作物栽培に は不具合が出るにしても、それが即「土壌環境の破壊」につながるわけではない。 さらに「農業界には」と始まるけれど、日本の農業界では、幸か不幸か、有機農業は微々たる 存在。その中でも畜糞などを大量投入できる有機栽培農家はさらに限られる。とすれば「土壌 環境の破壊」を有機農業に求めるのは、お門違いもはなはだしい。
by agsanissi
| 2006-01-30 16:59
| ミミズの寝言
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