2006年 06月 07日
雨音に目覚める。カッコーと雉が、まだ夜明け前からしきりと鳴いている。夜中にしては明るい し、明け方にしては暗すぎると、布団の中でしばし戸惑い。雷・濃霧注意報が出ている。 二台あるジョンディア・トラクターのファンベルトが、この二週間ほどのうちに相次いで切れた。 ファンベルト交換に、二人・三人かかりで延べ7時間くらいかかっただろうか。 通常のファンベルトは、エンジン・ファン・ダイナモ をつなぐ規格品のVベルトを使っている場合が多い。 ところが写真中央に見えるベルトで、ファンやダイナ モのほか、その他回転部をやたらにつないだ長い 一本ものの特殊ベルトで、構造も特殊だ。 ウッカリ注文すると目玉が飛び出るほど高い。一桁 間違いでないかと思うことがある。こんなものは「規 格品を使ってくれ」と思うが、仕方ない。 さてベルトが来たものの、一台目ではこのベルトをどうやって入れるかですったもんだ。 ファンとカバーの間にも、ファンカバーとラジエーターとの間にも、数ミリ程度の隙間しかなく ベルトが通りそうに見えない。マニュアルには、ベルトをかける構造図は載っているが、どこ を通すかは書いてない。ファンの羽根かラジエーターを外すほかなさそうだと、あれこれ考え ているうちに元自動車修理工が来た。 「ラジエーターでは大掛かり過ぎる、ファンの羽根だろう」と、外しにかかるが、ビスの位置が 悪く普通のレンチでは使えない。レンチの先端部を切って、何とか使えるように改造して、 いざ回そうとするがファン本体が回転するから、簡単には緩まない。 ここも何とかクリアして、ビスは全部外れた。いざファンの羽根を外そうとしたら、前にずれる が、あと何ミリか軸が長くファンは外れない。 行き詰った。さて、どうするか??「行き詰ったときは単純に戻れ」とばかり、ファンカバーと ラジエーターとの間の何ミリかの隙間を通すしかない。このカバーがあと5ミリ余分に動けば 簡単にここから入りそうだ。仮にここから入れるとすれば、「こんな微妙な隙間の開け方を するはずがない」と考えたのが間違いのもと。 いざ通してみれば、「なるほどここだ」と納得できないこともない。 二台目のファンベルトも、まもなく切れた。 二度目は、一台目にあれほど時間をかけたのが 嘘のように、10分ほどですんなり通った。 ところが一難さって、また一難。 通常、ベルト部には、ベルトを通した後、ベルトを 張るためのバネのテンションが付いている。 構造が一台目とやや違って、テンションのような ものはあるが、エンジン本体に固定してある。 全部の回転部を通そうとすると、ベルトが僅かに短くて通らない。マニュアルにはAutomatic Tension と書いてある。エンジンをかけると自動的にテンションが作動する構造だとは想像 出来るが、ベルトをどうやってかけるか分からない。 ダイナモを見ると、エンジン本体に三点で固定してあり、これを緩めれば僅かに内側に回転 する構造になっている(写真には、腕のようなものが出て、取り付けてある二点が見える)。 これがテンションの役割を果たしているのだろうと、ビスを緩めてみる。 確かに内側に回転する。ところが、あとベルトの厚み分だけ余裕がなく、ベルトが通らない。 三ミリといったところか。ダイナモを外してしまって通すほかはない。 しかしスッカリ外してしまっては、ベルトを通した後にダイナモを取り付けられるのか? ともあれ、まずは通さないことには話にならない。後は後のことだ。 ここもいざやってみると、意外にすんなりいった。 しかしそこへ行くまでの試行錯誤と、そんな ことやって元に戻せるのかという不安と、これしかないだろうと見極めるまでの疑いと、要する にやったことのない素人の悲しさ。なんとベルトの交換だけに、ほぼ一日がかり。 それにしても、どこもかしこも、あと数ミリの余裕があれば、楽に修理出来るものばかり。これ ほど余裕のない限界的な設計をする設計屋の見事さには感心するほかない。
by agsanissi
| 2006-06-07 06:13
| 機械類
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