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農のある風景/作業日誌/ようこそ!!荒木農場へ

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2007年 07月 30日

政治的天気

16.2/19.2度、日照ゼロ、濃霧注意報と低温注意報。

僕は、政治は天気と一緒だとしか見ていない。この考えには風土の影響が大きい。東北北部
沿岸地方の気象条件は、かなり厳しい。歴史的に冷害の常襲地帯で、食糧生産が絶対的に
不足する時代には飢饉の常襲地帯だった。農民・漁民等一般の庶民は「生き延びる」のに
必死で「豊かに生きる」なんてのは夢の夢。この記憶は、60代70代以上の世代には、今でも
しっかり染み付いている。沿岸部の稲作農家を廻って去年の古米を買い集めている穀物業者
が話していたが、毎年七月中頃からお盆の時期にかけて買い集めるが、今年はまだ一粒も
集まらないそうだ。七月前半にヤマセが入り低温注意報が続いたせいで、今年の米が取れる
かどうかの懸念で売り控えているためだ。それほど冷害の辛い記憶が染み付いているし、冷害
に備えている。しかしこの経験は、僕にとっては、農業で生きていこう決めてからの十数年程度
のもので、政治についての考えは、その前の数十年の経験が土台になっている。

農業は政治からも、天気からも影響を受ける。だからといって天気に期待して経営方針を決め
る訳にはいかない。どちらかといえば最悪の場合を想定して、良ければそれに越した事はない
と考える。政治についても、ほぼ同じ立場を取っている。
政治に何かを期待してはいないし、何かを期待して特定の政党を選んだこともない。農業だけ
に限定して考えれば、選べないこともないが、政策全体の整合性や政党そのものの性格を
含めて考えると選べないし、選ぶに値する政党もない。尤も、代議政治の原則は消去法で最悪
のものから消去していって、最後に残ったものを選ぶほかはないが、それであっても国際社会
に於ける日本の立場なども含めて考えると、やはり天気と一緒と見ておくに越した事はない。
何かを期待すれば、必ず裏切られる。しかし天気には、人一倍関心を払っているし、その流れ
の変化を読むことには人一倍努力を払っている。政治も同じこと。だから政治的無党派層に
属するが、政治的無関心層ではない。というより百姓になる前の最大の関心事は政治だった。
半世紀近く前には、政治的理想主義を抱いていたこともある。こうあってほしいとか、こうしよう
とかではなく、はっきりこうあるべきだという理念を持っていた。しかしやがて政治的理想主義
は、それがどんなに立派な看板を掲げていようとも、必ず一般庶民には耐え難い災厄をもたらす
以外の何物でもないことを悟って以来、政治には寛容と良い意味での無節操(と云って悪けれ
ば柔軟性)の精神が不可欠だと考えるようになった。以来、政治は僕にとって自ら演ずる対象
ではないのはもち論、研究する対象ですらなく、専ら観察する以外の如何なる関心も持って
いない。「天気と一緒だ」とは、そういう意味だ。

今回の参議院選挙で、自民党が後退するのは周知の事実だった。しかし過半数すれすれ、
無所属や小政党を取り込んでギリギリ過半数に達するか達しないかの程度、言い換えれば
民主党がこんなに躍進するとは考えていなかった。
民主党の躍進を支えたのは、自民党支持層の内自民党に投票した人がわずか6割強に留ま
り、約四分の一が民主党に投票したこと、また無党派層の過半数が民主党に投票したのに
対し、自民党に投票したのはわずか14%程度に留まった、この流れの変化である。しかし
この流れがまだ大きなうねりになっていない事は、投票率がさほど伸びていないことを見れば
分かる

一人区での自民党の惨敗に象徴されるように、主に農村部で従来の自民党支持層が民主党に
鞍替えし、都市部の無党派層が民主党に流れたことが五選挙区で二議席取る躍進につながった。
結果的に、自民党の歴史的な惨敗を読み切れなかった要因は二つあると思っている。小泉さん
は「自民党をぶっ壊す」と云っていたが、実際、従来の派閥を梃子にした集票システムが機能
しなくなってしまい、代わって小泉的政治マジックで飛躍的支持を獲得した。律儀な番頭タイプ
の安部さんには、こんな芸当は望むべくもなく、せいぜい仲良しクラブのお友達を庇ってともに
討ち死にするくらいが関の山。要するに小泉マジックによる集票方式が、それにあやかるどころ
か全く裏目に出たこと、これが一つ。
大規模経営に的を絞った品目横断的経営安定対策と小規模農家も含めた集落営農などの
自民党の農政が、農村部で全くそっぽを向かれ、反対に販売農家に(生産費と市場価格の
差額を)直接支払う「戸別所得補償制度」の創設を謳った民主党の農業政策が、広範な支持
を獲得したこと
。言い換えれば農村部での自民党に対する憤りまたは落胆が予想以上に厳し
かったこと、これが二つ目。
それで、これからどうなる?もともと政治的才覚と指導力を欠如しているが、参院で多数派を
失ったことによる政治的混迷。国際的には、少なくとも北東アジアでは米国は対中国の覇権
争いにここ数十年全神経を注がざるを得ず、その争いの波間に日本は浮かぶか沈むかの
瀬戸際にある
。国内政治に奔命に振り回される安部内閣にもち論、それに対処しうる能力は
期待すべくもない。

by agsanissi | 2007-07-30 18:45 | ミミズの寝言


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